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ベトナム建設省が管轄する全454件の行政手続きを総点検し、そのうち157件(約35%)の廃止・簡素化・地方移管を提案した。空港の開港・閉港手続きの撤廃など航空分野の大幅な規制緩和も盛り込まれており、ベトナムのビジネス環境改善に向けた動きが一段と加速している。
建設省が達成した改革の全容
2026年4月の業務報告会議において、建設省官房長のラム・ヴァン・ホアン氏が成果を発表した。建設省は2026年4月中に管轄下の全454件の行政手続きを緊急に見直し、157件について廃止・簡素化・権限移譲を提案した。これは全体の約35%に相当する。
さらに注目すべきは、投資・事業分野についても大幅な削減を提案している点である。具体的には、19の投資・事業業種(全体の30%)の削減、および249件の投資・事業条件のうち102件(約41%)の撤廃を提案した。この成果により、建設省は第2回党中央委員会総会の結論第18号(18-KL/TW)に基づく目標を達成した3つの省庁の一つとなった。
2026年5月以降も、行政手続き・事業条件・コンプライアンスコスト・書類処理期間のさらなる実質的削減を継続する方針である。同時に、権限の地方移譲を推進しつつ検査・監督を強化し、国家管理の実効性を高めるとしている。
海事法典の整備と航空分野の規制緩和
建設省はベトナム海事・内水路法典の政策文書を政府に提出し、2026年4月1日付の政府決議第77号(77/NQ-CP)として承認を得た。現在、同法典の草案作成を進めている。
とりわけ注目されるのは航空分野の規制改革である。建設省が政府に提出した空港・飛行場に関する政令草案では、航空分野の全26件の行政手続きのうち14件について簡素化・削減・権限移譲を実施する内容が盛り込まれている。
廃止が提案された10件の手続きは以下の通りである。
- 空港・飛行場の開港手続き
- 空港・飛行場の仮登録証明書の発行
- 空港・飛行場の登録証明書の発行
- 空港・飛行場の登録証明書の内容変更
- 空港・飛行場の登録証明書の再発行
- 天災・疫病・環境汚染・航空事故等の緊急事態における空港の一時閉鎖手続き
- 改修・拡張・修繕のための空港の一時閉鎖手続き
- 空港インフラの一部の一時閉鎖手続き
- 空港敷地内の総合配置図の承認手続き
- 空港内活動車両のナンバープレート発行手続き
また、航空専用車両・機材の安全技術・環境保護に関する品質証明書の発行手続きは、建設省からベトナム検査登録局(Cục Đăng kiểm)へ移管される。航空専用機材に対する同証明書の発行義務そのものも一部撤廃される方向である。
権限移譲については、2022年8月30日付の首相決定第1015号に基づき、空港事業許可証の発行および再発行の2手続きが建設省からベトナム航空局(Cục Hàng không Việt Nam)へ移管される。
政令草案の基本方針として、企業の事業活動への過度な介入を排除し、公平・透明・安全かつ効率的な投資環境を整備すること、複数の許可証による管理から事後検査(ハウキエム)への転換を図ること、そしてICAO(国際民間航空機関)の国際基準との整合性を確保することが掲げられている。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の建設省による大規模な行政手続き改革は、複数の観点からベトナム市場にポジティブな影響を与えうる。
不動産・建設セクターへの影響:建設省は不動産開発の許認可を管轄する中核省庁であり、事業条件の41%削減は、不動産デベロッパーの許認可取得コストと期間を大幅に短縮する可能性がある。ビンホームズ(Vinhomes、VHM)、ノバランド(Novaland、NVL)、カットグループ(Khang Điền、KDH)といった上場不動産企業にとって、プロジェクトの着工・販売スピードの改善につながりうる材料である。
航空・空港関連セクターへの影響:空港の開港・閉港手続きの廃止や事業許可権限の航空局への移管は、空港運営会社であるベトナム空港総公社(ACV、上場コード:ACV)の事業展開を円滑化させる。ロンタイン(Long Thành)新国際空港の建設が進む中、こうした規制緩和のタイミングは極めて重要である。
FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げにおいて、ベトナム政府のビジネス環境改善への取り組みは、定性的な評価材料として重要な意味を持つ。行政手続きの簡素化、事後検査への移行、国際基準との整合性確保といった方向性は、外国人投資家の市場アクセス改善と制度の透明性向上を示すシグナルとして、格上げ審査にプラスに作用する可能性がある。
日本企業への影響:ベトナムに進出している日系建設・不動産・インフラ企業にとって、許認可手続きの簡素化は直接的なメリットとなる。特に空港インフラ整備に参画する日本のゼネコンや設計コンサル企業にとって、政令レベルでの手続き削減は事業遂行の予見可能性を高めるものである。ベトナム政府が掲げる「組織の精鋭化(ティンゴン・ボーマイ)」路線の一環として、今後も各省庁で同様の改革が続く見通しであり、中長期的にベトナムの投資環境は着実に改善していくと考えられる。
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出典: 元記事












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