ベトナム政府が医療分野の規制を大幅緩和へ——営業許可・行政手続きの簡素化で投資環境改善

Cắt giảm, đơn giản hóa nhiều điều kiện kinh doanh thuộc lĩnh vực y tế
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ベトナム政府は、医療分野における営業条件や行政手続きを大幅に削減・簡素化する新たな政府決議(Nghị quyết)第21/2026/NQ-CPを公布した。2026年4月29日から2028年1月1日まで有効となるこの決議は、医療ビジネスへの参入障壁を引き下げ、行政権限の地方分権を進める画期的な内容である。外資を含む医療関連事業者にとって、ベトナム市場の魅力がさらに高まる可能性がある。

目次

決議の全体像——医療行政の権限を省レベルへ大幅移管

今回の決議は大きく3つの柱から成る。第一に行政権限の地方分権(phân cấp)、第二に営業条件の削減・簡素化、第三に行政手続きの処理期間短縮である。

まず地方分権について、省・中央直轄市レベルの人民委員会主席(Chủ tịch UBND cấp tỉnh)に以下の権限が移管される。

  • 健康食品(thực phẩm bảo vệ sức khỏe=サプリメント等)の広告内容確認証の発行
  • 病理検体の輸入申請の承認
  • 医療従事者の診療・治療に関する開業許可証の新規発行、再発行、延長、変更、停止、取消
  • 私立病院の営業許可証の再発行・変更(勤務時間の変更、名称・住所の変更で所在地に変更がない場合。政令第96/2023/NĐ-CP に基づく)

これらの権限分権に関する規定は2026年7月1日に施行される。従来、中央政府(保健省)レベルで処理されていた手続きが省レベルに降りることで、処理のスピードアップと地方の自律性向上が期待される。

営業条件の大幅削減——6分野で規制撤廃

決議の第二の柱として、以下6分野の営業条件(điều kiện kinh doanh)が撤廃される。これは2027年7月1日から施行される。

  • 検査室におけるバイオセーフティ(生物学的安全性)に関する営業条件
  • 予防接種サービス
  • 医療系人材養成における実習訓練機関
  • オピオイド依存症の代替薬物治療サービス
  • HIV相談・検査サービス
  • 診療・治療サービス

これらはいずれも、従来は個別の営業許可や条件適合の証明が必要だった分野である。規制が撤廃されることで、民間事業者の参入が容易になり、特にクリニックや検査機関の開設ハードルが大きく下がることになる。

行政手続きの処理期間短縮——新規営業許可の具体的フロー

決議は診療・治療分野の行政手続きについても処理期間の短縮を明確に規定している。具体的には以下のような手続きが対象となる。

  • 実習指導機関としての要件を満たす診療施設の公表手続き(政令第148/2025/NĐ-CPに基づく)
  • 外国の機関が発行した開業許可証の承認審査手続き(政令第96/2023/NĐ-CP)
  • 診療施設の新規営業許可証の発行手続き(同政令)

新規営業許可証の発行フローは以下の通りである。申請者は1セットの申請書類を提出し、法令に定められた手数料を権限機関に納付する。受理後、受付票が交付される。書類の修正・補充が不要な場合、受付日から40日以内に現地での条件審査および技術項目リストの審定が実施され、審定記録が作成される。審定記録の発行から10営業日以内に新規営業許可証が発行され、技術項目リストの承認決定も同時に出される。修正・補充が必要な場合はその内容が審定記録に明記される。

許可証発行後5営業日以内に、発行機関は自らのポータルサイトおよび「診療活動管理情報システム」上に、施設名、住所、責任者の氏名と開業許可番号、営業許可番号、専門活動範囲、活動時間を公表する義務がある。

営業許可証は2部作成され、1部は申請者に交付、もう1部は発行機関が保管する。ただし電子的に結果が返却された場合はこの限りではない。

病院の等級分類——暫定格付けと2年以内の正式審査

新たに営業許可を取得した施設が病院形態の場合、許可証発行と同時に「基礎レベル(cấp cơ bản)」への暫定格付けが行われる。暫定格付けの有効期間は2年間であり、期限満了の60日前までに正式な専門技術等級の格付け手続きを申請しなければならない。この仕組みは、新設病院に一定の猶予を与えつつ、質の担保を図るバランスの取れた制度設計といえる。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の決議は、ベトナム政府が掲げる「ビジネス環境改善」の方針を医療セクターにおいて具体化したものである。投資家およびビジネスの観点から、以下のポイントが注目される。

1. 医療関連銘柄への追い風:ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する医療関連企業——例えばDHG(ハウザン製薬)、IMP(イムエクスファーマ)、医療機器・病院運営関連の銘柄——にとって、営業条件の緩和は事業拡大の余地を広げる。特にクリニックチェーンや検査機関を展開する企業にとっては、出店のスピードが加速する可能性がある。

2. 日系企業への影響:日本の製薬企業や医療機器メーカー、病院運営企業にとって、ベトナムでの事業展開がより容易になる。特に予防接種サービスやHIV検査サービスの営業条件撤廃は、これらの分野で技術力を持つ日系企業にとって参入機会の拡大を意味する。既にベトナムで展開する日系クリニック(ロータスクリニック等)にとっても、許可更新手続きの簡素化はオペレーション面の負担軽減につながる。

3. FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げにおいて、行政手続きの透明性・効率性の向上は間接的にプラス評価を受ける可能性がある。特に「ビジネス環境の予測可能性」が高まることは、海外機関投資家の信頼感を醸成する重要な要素である。

4. 地方分権の意義:権限の省レベルへの移管は、ハノイやホーチミン以外の地方都市における医療インフラ整備の加速につながる。地方の人民委員会が独自に許可を出せるようになることで、地方の医療投資が活性化し、ひいてはベトナム全体の医療水準の底上げと地方経済の発展に寄与すると考えられる。

ベトナムは高齢化社会への移行が始まっており、医療需要は今後も拡大が見込まれる。今回の規制緩和は、その需要に応える民間投資を促進するための重要な制度改革として位置づけられる。施行時期が2026年7月(権限分権)と2027年7月(営業条件撤廃)に分かれている点にも留意しつつ、段階的な変化を注視していく必要がある。


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出典: 元記事

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