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ベトナム暗号資産市場を形作る6つの法令——税率・会計・ICO解禁の全容を解説

6 văn bản pháp lý đang định hình thị trường tài sản mã hóa Việt Nam
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ベトナム財務省・国家証券委員会の幹部が、暗号資産(仮想通貨)市場を規律する6本の法令体系の全容を公式に説明した。デジタル技術産業法による「暗号資産」の法的定義から、ICO(Initial Coin Offering)の容認、会計基準、税制まで、かつて「法的グレーゾーン」とされたベトナムの暗号資産市場がいよいよ制度化の段階に入った。推定1,500万口座、年間取引額約2,200億ドルという巨大市場の行方を左右する重要な動きである。

目次

フォーラムで示された6つの法的枠組み

2026年5月12日に開催されたフォーラム「Digital Trust in Finance 2026」(テーマ:AI時代における金融デジタル信頼の構築)において、国家証券委員会・暗号資産取引市場管理委員会の常任副委員長であるトー・チャン・ホア氏が、ベトナムの暗号資産市場を形作る6つの法的文書について詳細に説明した。以下、その要点を整理する。

①デジタル技術産業法——「暗号資産」の法的承認

最初の柱となるのがデジタル技術産業法である。この法律はベトナムで初めて「デジタル資産」「仮想資産」「暗号資産」の概念を定義し、これらがベトナム法の下で保護される「資産」であることを公式に認めた。従来、暗号資産は法的地位が不明確で、企業が投資・事業活動を行う際に大きな障壁となっていたが、この法律により法的基盤が確立された。

②改正投資法(143/2025/QH15号)——業種としての正式認定

投資法143/2025/QH15号により、ベトナムで初めて「暗号資産の投資・経営」が正式な業種として認定された。ただし「条件付き事業分野」に分類されており、参入には一定の要件を満たす必要がある。ホア氏によれば、以前は暗号資産関連ビジネスを行おうとする企業が業種登録の段階で行き詰まるケースが多かったが、この問題が解消された。

③政府決議05/2025/NQ-CP——市場運営の包括的フレームワーク

政府決議05号は、暗号資産取引市場の構築における最も重要な基盤文書と位置づけられる。同決議は、暗号資産の募集・発行・取引所の組織・関連サービスの提供といった活動範囲を明確に規定し、国家管理の責任分担も定めた。

特筆すべきは、ベトナムで初めてICO(Initial Coin Offering)の概念が導入され、実物資産を裏付けとした暗号資産の発行が認められた点である。これはセキュリティトークン的なアプローチを許容するもので、不動産や商品などの実体資産をトークン化する道が法的に開かれたことを意味する。

④通達15号——暗号資産の会計基準

財務省が発行した通達15号は、暗号資産市場の参加者に対する会計原則を定めたものである。対象は以下の3グループに分類される。

  • VASP(暗号資産サービス提供事業者):取引、発行、募集、カストディ(保管)、自己売買などの活動について、貸借対照表上の記載方法が具体的に規定された。
  • 発行体:発行する資産の本質に基づいて適切な会計処理を行う。
  • 機関投資家:企業が暗号資産を自社資産の一部として投資目的で保有・申告することが可能になった。

ホア氏は「以前は企業が暗号資産を購入しても『その他の資産』に分類せざるを得なかったが、新規定により資産項目として明確に計上できるようになった」と説明した。

⑤通達32号——暗号資産の税制

通達32号は、暗号資産に関するVAT(付加価値税)、法人所得税、個人所得税の取り扱いを具体的に定めている。税率は以下の通りである。

  • ベトナム法に基づき設立・運営される法人:税率20%
  • 外国法に基づき設立された機関投資家および個人投資家:税率0.1%

全ての申告は国家公共サービスポータルおよび公安省の納税者管理システムと連携し、申告漏れを防止する仕組みが構築される。

⑥通達41号——源泉徴収の仕組み

通達41号により、暗号資産サービス提供事業者(VASP)が、外国法人投資家および個人投資家に代わって税金を納付する「源泉徴収」方式が採用された。これにより、個人投資家は自ら複雑な税務申告を行う必要がなくなり、市場参加のハードルが大幅に下がる。

情報開示と投資家保護の強化

ホア氏は、決議05号に基づき暗号資産サービス提供事業者には全活動の公開・透明性が義務付けられていることを強調した。具体的には以下の点が求められる。

  • 広告・マーケティングは正確かつ誤解を招かないものであること
  • 手数料体系および第三者との契約内容の全面公開
  • 業務プロセスの変更は全て公表し、当局が厳格に監督する
  • 発行体は目論見書(プロスペクタス)に準じた情報開示を行う
  • 投資家の注文を自社の注文より優先して執行する
  • 投資家の資産はベトナム民法に基づいて保護される

また、VASPが営むことのできる4つの事業領域として、①取引市場の運営、②自己売買、③資産のカストディ(保管)、④発行プラットフォームの提供——が明示された。取引所は上場させる暗号資産を自ら選定する権限を持つが、当局は「流動性が高く市場で広く取引されている資産を優先的に扱い、詐欺リスクを抑制するよう」求めている。

急成長するベトナムの暗号資産市場

ベトナムの暗号資産市場は2017年以降、ユーザー数が急増してきた。2025年時点の取引口座数について、ある調査では約900万、別の調査では2,100万とされるが、当局は約1,500万口座が妥当な推計とみている。2025年の年間取引額は約2,200億ドルに達したとされ、市場の巨大さと成長ポテンシャルを如実に示している。

なお、財務省は現在、暗号資産市場における情報開示および報告に関する追加のガイドライン文書の策定を進めている。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の法整備は、ベトナム金融市場全体にとって極めて大きなインパクトを持つ。以下の観点から考察する。

1. ベトナム株式市場・関連銘柄への影響:暗号資産市場の制度化は、IT・フィンテック関連のベトナム上場企業にとって追い風となる。VASPライセンスの取得を目指す企業や、ブロックチェーン技術を活用するFPTコーポレーション(ベトナム最大手IT企業)などへの連想買いが期待される。また、証券会社がカストディや取引プラットフォーム事業に参入する可能性もあり、証券セクター全体に新たな収益源が生まれ得る。

2. 日本企業・ベトナム進出企業への影響:会計基準と税制が明確化されたことで、日系企業がベトナム子会社を通じて暗号資産関連ビジネスを展開する法的障壁が大幅に低下した。特に、実物資産に裏付けられたトークン発行の合法化は、不動産や製造業のサプライチェーンファイナンスなど、日系企業が強みを持つ領域との親和性が高い。

3. FTSE新興市場指数格上げとの関連性:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナムの資本市場全体の透明性・制度整備が評価されてこそ実現する。暗号資産市場の包括的な法制化は、「ベトナムが金融規制のグレーゾーンを放置しない国である」というシグナルを国際投資家に発信するものであり、格上げ審査にプラスに作用する可能性がある。

4. ベトナム経済全体のトレンドにおける位置づけ:ベトナム政府はデジタル経済をGDP成長の柱と位置づけており、AI・ブロックチェーン・暗号資産の制度化はその一環である。推定1,500万口座、年間2,200億ドルという規模は、同国の株式市場(ホーチミン証券取引所の時価総額約2,000億ドル前後)に匹敵し、税収の観点からも政府にとって無視できない存在となった。「規制して取り込む」というアプローチは、かつて暗号資産を全面禁止した中国とは対照的であり、ASEANにおける暗号資産ハブとしてのベトナムの地位を固める方向に作用するだろう。


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出典: 元記事

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