ベトナム最大の展示センター運営VEFAC、貸付事業で純利益1,400億ドン超—その異色ビジネスモデルを読む

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東南アジア最大級の展示センターを保有・運営するベトナムの国有企業VEFAC(Vietnam Exhibition Fair Center Joint Stock Company)が、2025年第1四半期に税引後利益約1,400億ドンを計上した。注目すべきは、その利益の大半が展示会事業ではなく「貸付事業」から生み出されている点である。展示場ビジネスの裏に隠れた金融的な収益構造が、改めて市場の関心を集めている。

目次

東南アジア最大の国家展示センターとは

VEFACが所有・管理するのは、ハノイ市メーチー(Mễ Trì)地区に位置するベトナム国家展示センター(VEC=Vietnam Exhibition Center)である。同施設は延床面積で東南アジア最大規模を誇り、国際的な見本市や産業展示会、政府主催のイベントなどが数多く開催される。ハノイ西部の新都市開発エリアに立地し、ノイバイ国際空港からのアクセスも良好なため、近年はベトナムの経済成長を背景に利用頻度が右肩上がりとなっていた。

VEFACは、もともと国営企業として設立された経緯を持ち、現在も国が大株主として関与している。展示場の運営だけでなく、広大な土地を活用した不動産関連事業や、余剰資金を活用した金融活動など、多角的な収益基盤を持つ企業として知られている。

第1四半期の業績:利益の源泉は「貸付」

2025年第1四半期の決算によると、VEFACの税引後利益は約1,400億ドンに達した。この数字自体は前年同期と比べても堅調だが、特筆すべきはその利益構成である。同社の収益を押し上げた最大の要因は、本業である展示会やイベントの運営ではなく、手元資金を活用した貸付事業(cho vay)であった。

ベトナムでは、大規模な国有企業や土地資産を持つ企業が、余剰資金を関連会社や第三者に貸し付ける形で金利収入を得るケースが少なくない。VEFACも同様に、保有する潤沢な資金を金融活動に回すことで、安定的な利益を確保している構図である。展示会ビジネスは季節変動が大きく、大型イベントの有無によって四半期ごとの売上が上下するため、金融収益が利益の安定装置として機能しているとも言える。

背景にある「土地利権」と国有企業改革

VEFACの事業を語るうえで避けて通れないのが、同社が保有する広大な土地資産の存在である。ハノイ市中心部に近い好立地に位置する国家展示センターの敷地は、不動産開発の観点からも極めて高い価値を持つ。過去には、同敷地の再開発計画や土地使用権をめぐる議論が度々報じられてきた。

ベトナム政府は、国有企業の株式化(コーポラタイゼーション)や資産の効率的活用を推進しており、VEFACのような土地資産を多く保有する企業は、常に再編・再開発の対象として注目される。同社の貸付事業による高収益は、裏を返せば「本業の展示会事業だけでは十分な利益を上げられていない」という課題を示唆しているとも読み取れる。

ベトナムの展示・MICE産業の成長可能性

一方で、ベトナム全体のMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)産業は、今後の成長が期待される分野である。ベトナムは東南アジアの中でも製造業・輸出産業が急拡大しており、国際的な産業見本市や技術展示会の誘致が政府レベルで推進されている。特にハノイとホーチミン市の二大都市圏では、大型展示場の需要が年々高まっている。

ホーチミン市では、2025年に向けてトゥードゥック市(旧9区エリア)での新たな大型展示・コンベンションセンターの建設計画も進んでおり、ハノイの国家展示センターとの間で都市間競争が激化する可能性もある。VEFACにとっては、本業の展示会事業でいかに競争力を高められるかが中長期的な課題と言えるだろう。

投資家・ビジネス視点の考察

VEFACの業績を投資の視点で分析すると、いくつかの注目ポイントが浮かび上がる。

1. 収益構造の持続性に対する疑問:貸付事業に依存した利益構造は、金利環境や貸付先の信用リスクに左右されやすい。ベトナム国家銀行(中央銀行)が金融政策を変更した場合、同社の収益モデルが大きく揺れる可能性がある。投資家としては、貸付先の内訳やリスク管理体制を注視すべきである。

2. 土地資産の潜在価値:ハノイ中心部に近い広大な土地を保有するVEFACは、不動産再開発が実現した場合には資産価値が大幅に上昇する可能性を秘めている。ベトナムの不動産関連銘柄に注目する投資家にとっては、間接的なウォッチ対象となり得る。

3. FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナム株式市場全体への海外資金流入が加速する。国有企業であるVEFACが上場している場合、流動性の改善や外国人投資家の関心向上が期待される。ただし、国有企業特有のガバナンスや情報開示の透明性については、格上げ基準を満たすための改善が求められる局面も想定される。

4. 日本企業との接点:国家展示センターでは、日本の製造業や技術企業が出展する見本市が定期的に開催されている。ベトナム進出を検討する日本企業にとって、展示会インフラの充実はビジネスマッチングの機会拡大に直結する。VEFACの展示会事業が拡大すれば、日越間のビジネス交流がさらに活発化することも期待できる。

総じて、VEFACは「展示場運営会社」という看板の裏に、土地資産と金融収益という二つの隠れた収益ドライバーを持つ、ベトナムの国有企業の典型的な構造を体現している。本業の成長と資産活用のバランスが、今後の企業価値を左右する鍵となるだろう。


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出典: 元記事

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