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ベトナム株に投資する外資系ファンド「ルーメン・ベトナム・ファンド(LVF)」が5月の月次レポートを公表し、VIC(ビングループ)を除外すれば市場全体が過去3年間で最も割安な水準にあると指摘した。VN-Indexが史上最高値圏を記録する裏側で、大半の銘柄には依然として魅力的なバリュエーションが残されているという、投資家にとって極めて重要な分析である。
5月の市場動向:史上最高値タッチ後に調整
5月のベトナム全株指数(VNAS)は月初から堅調に推移し、3月末から続く回復トレンドを引き継いで、場中ベースで史上最高値となる1,981ポイントを記録した。上昇を牽引したのは大型株、とりわけ銀行セクターとビングループ(Vingroup、ベトナム最大のコングロマリット)傘下のVICおよびVHM(ビンホームズ、不動産開発大手)であった。
しかし月後半にかけて上昇モメンタムが減速し、VNASは1,900ポイントで月末を迎えた。現地通貨建てで-0.69%(USD建てで-0.55%)の小幅下落である。1日あたりの平均売買代金は約8億3,000万ドルと、流動性は引き続き十分な水準を維持した。
外国人投資家の売り越しが続く背景
外国人投資家は5月も売り越しを継続し、年初来の累計売り越し額は25億ドルを突破した。ルーメン・ファンドによれば、グローバルな機関投資家の資金がAI(人工知能)ブームや中東の地政学リスク緩和を背景に先進国市場へ回帰していることが主因である。
この継続的な売り圧力により、多くの大型株における外国人持株比率は数年来の低水準に落ち込んでいる。一方で、国内投資家の資金がこの売りを吸収しており、市場全体の安定は保たれている。ファンドはこの状況を「バリュエーションと本質的価値の間に魅力的なギャップが生まれている」と評価し、市場心理や環境が改善すれば外資が再流入する余地が大きいと見ている。
VICが市場全体の定価を歪めている構造
今回のレポートで最も注目すべき指摘は、VIC(ビングループ)がVN-Index全体のバリュエーションに与える歪みである。VICは現在、VN-Indexの時価総額の約18%を占めるが、指数構成銘柄の連結純利益に対する貢献はわずか約2%にとどまる。つまり、利益の裏付けが薄いにもかかわらず、時価総額のウェイトが極端に大きいため、指数全体のPER(株価収益率)を大幅に押し上げているのである。
VICを除外した場合、市場のバリュエーションは過去3年間で最も低い水準に接近する。一方、VICを含めた場合でも、過去5年間の平均程度にとどまっている。この「見かけ上の割高感」と「実態としての割安感」のギャップこそが、銘柄選別の重要性を物語っている。
Q1/2026決算は好調、利益構造にも変化
ホーチミン証券取引所(HOSE)上場企業の2026年第1四半期決算は、合計利益が前年同期比49.8%増と力強い成長を記録した。特筆すべきは利益構造の変化である。銀行セクターの利益貢献度は約43%にとどまり、過去4年間の50%超から明確に低下した。これはベトナム株式市場が利益源泉の面でより多様化しつつあることを示している。
ファンドは、今後の利益成長を牽引するのは生活必需品、一般消費財、素材、公益事業セクターになると予想している。2026年通年および2027年の上場企業利益成長率は年16〜17%を見込んでいる。
リスク管理面のポジティブ要因
レポートはリスク面についても言及している。市場が調整するたびに買いが入る傾向が見られ、ファンダメンタルズの良い銘柄に資金が蓄積されていることが確認できる。金融システム全体のレバレッジリスクは抑制されており、個人投資家による過度な投機的行動も現時点では顕在化していない。ベトナム国家銀行(中央銀行)も信用成長の監視と銀行システムのリスク管理を主体的に行っており、マクロ経済の安定と持続的成長の両立を図っている。
投資家・ビジネス視点の考察
本レポートが示す最大のインプリケーションは、「指数の水準だけを見て割高と判断するのは早計」という点である。VN-Indexが1,900ポイント前後で推移する中、VICの異常な時価総額ウェイトを差し引けば、多くの優良銘柄は歴史的に見て割安なゾーンにある。
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、パッシブ資金を中心に大規模な外資流入が期待される。現在の外国人持株比率の低下は、格上げ時の買い余力が大きいことを意味しており、中長期投資家にとっては現在の水準でのポジション構築が合理的な戦略となり得る。
日本企業にとっても、ベトナムの消費財・素材・公益セクターの成長は、サプライチェーンの多角化やベトナム内需取り込みの観点から注視すべきテーマである。利益構造が銀行一極集中から脱却しつつある現状は、市場の成熟度が一段階上がったことを意味しており、より幅広いセクターでの投資機会が広がっている。
ルーメン・ファンド自身の5月パフォーマンスは-0.74%(年初来+4.84%)と、VNASの年初来+0.29%(USD建て)を大きく上回っている。銘柄選別型アプローチの有効性が数字で裏付けられた格好である。
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出典: 元記事












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