ベトナム発カフェチェーン「フックロン」が2四半期連続で過去最高益——1日60億ドン超の売上が牽引

Phúc Long lãi kỷ lục quý thứ 2 liên tiếp
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ベトナムを代表するティー&コーヒーチェーン「フックロン(Phúc Long)」が、2四半期連続でEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の過去最高を更新した。1日あたり60億ドンを超える売上高を背景に、EBITDAは前年同期比46%増の1,180億ドンに達した。ベトナム国内の飲料チェーン市場が激しい競争下にあるなかで、同社の収益力の高さが改めて際立つ決算となった。

目次

フックロンとは何者か——ベトナムF&B市場の老舗ブランド

フックロンは1968年にベトナム南部ラムドン省(Lâm Đồng)のバオロック(Bảo Lộc)で茶葉の生産・販売業として創業した、半世紀以上の歴史を持つブランドである。もともとは高品質な茶葉の卸売りで名を馳せていたが、2010年代に入ってから店舗型のティー&コーヒー事業へ大きく舵を切り、ホーチミン市を中心にチェーン展開を加速させた。

2021年には、ベトナム最大手のコングロマリットであるマサングループ(Masan Group、ホーチミン証券取引所上場・ティッカー:MSN)が同社の株式の過半数を取得。マサン傘下の小売プラットフォーム「ウィンコマース(WinCommerce)」が運営するコンビニ「ウィンマート+(WinMart+)」内にキオスク型店舗を展開する「ショップ・イン・ショップ」戦略が始動し、店舗網は一気に拡大した。現在はベトナム全土で数百店舗を展開しており、ハイランズ・コーヒー(Highlands Coffee)やザ・コーヒーハウス(The Coffee House)と並ぶベトナム三大カフェチェーンの一角を占める存在である。

業績の詳細——1日60億ドン超の売上がもたらす収益力

今回発表された四半期決算によると、フックロンの1日あたりの売上高は60億ドンを超えた。四半期ベースに換算すれば、おおよそ5,400億ドン規模の売上高に相当する計算となるが、注目すべきはその収益性の高さである。EBITDAは1,180億ドンに達し、前年同期比で46%の大幅増を記録。これは2四半期連続での過去最高更新となった。

飲料チェーン事業は一般的に、原材料費(茶葉、コーヒー豆、乳製品など)と店舗賃借料が大きなコスト要因となる。フックロンの場合、茶葉については創業以来の自社調達ネットワークを持つことが原価面での強みとなっている。加えて、マサングループ傘下のウィンマート+内のキオスク店舗は、独立型路面店と比較して出店コストが大幅に抑えられるため、利益率の改善に寄与していると考えられる。

ベトナムF&B市場の競争環境

ベトナムは世界有数のコーヒー生産国(ロブスタ種の生産量では世界第1位)であり、国民の間にはカフェ文化が深く根付いている。街角には個人経営の「カフェ」が無数に存在するほか、近年はチェーン型カフェの競争も激化している。

主な競合としては、以下のプレーヤーが挙げられる。

  • ハイランズ・コーヒー(Highlands Coffee):フィリピンの外食大手ジョリビー(Jollibee Foods)傘下。ベトナム全土で約700店舗以上を展開する最大手。
  • ザ・コーヒーハウス(The Coffee House):ベトナムのスタートアップ発のチェーン。若年層を中心に支持を集め、200店舗以上を展開。
  • スターバックス(Starbucks):2013年にベトナムに進出したが、現地ブランドの壁に阻まれ、店舗数は100店舗前後にとどまる。

こうした激戦区にあって、フックロンが2四半期連続で過去最高益を達成できた背景には、マサングループの小売インフラを活用した効率的な出店戦略と、ベトナム消費者の間で根強い「フックロンの茶葉ブランド」への信頼が大きく寄与している。特に「ミルクティー(trà sữa)」カテゴリにおけるブランドポジションは競合他社と明確に差別化されている。

マサングループの戦略におけるフックロンの位置づけ

親会社であるマサングループは、食品・飲料(Masan Consumer)、畜産(Masan MEATLife)、小売(WinCommerce)、鉱業(Masan High-Tech Materials)など多角的な事業を展開するベトナム最大級のコングロマリットである。同グループは「ポイント・オブ・ライフ(Point of Life)」戦略を掲げ、ベトナムの消費者の日常生活におけるあらゆる接点を押さえることを目指している。

フックロンは、この戦略のなかで「店舗への来客頻度を高める集客装置」として重要な役割を担っている。ウィンマート+の店内にフックロンのキオスクを設置することで、日用品の買い物ついでにドリンクを購入する消費行動を誘発し、小売店舗全体の客単価向上に貢献する仕組みである。フックロン単体の収益改善は、マサングループの小売セグメント全体の収益性向上とも直結するため、グループ全体にとっても朗報といえる。

投資家・ビジネス視点の考察

マサングループ株(MSN)への影響:フックロンの好業績は、マサングループの連結決算においてもプラス要因として反映される。MSNはホーチミン証券取引所(HOSE)の主要銘柄であり、VN-Index構成銘柄でもあるため、個人投資家・機関投資家の双方から注目度が高い。F&Bセグメントの利益率改善が確認されることで、中長期的なバリュエーション見直しの材料となり得る。

ベトナム消費市場の回復シグナル:フックロンの1日60億ドン超という売上高は、ベトナム国内の消費マインドが堅調に推移していることを示す一つのシグナルでもある。2025年後半から2026年にかけて、ベトナムの実質GDP成長率は6〜7%台で推移しており、特に都市部の中間所得層の消費拡大がF&B市場を下支えしている。

FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に最終判断が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外機関投資家の資金流入が加速する。その際、MSNのような時価総額の大きい内需関連銘柄は、インデックスファンドの組入れ対象として買い需要が集中しやすい。フックロンの収益改善は、MSNの投資魅力を高める追い風として機能するだろう。

日本企業への示唆:日本のF&B企業にとって、ベトナム市場はASEAN域内でも最も成長ポテンシャルが高い市場の一つである。フックロンの成功は、「現地の消費者嗜好に合致したブランド」がいかに強い競争力を持つかを示しており、日本企業がベトナムに進出する際には、現地パートナーとの連携やローカライゼーションの重要性を改めて認識させる事例といえる。


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出典: 元記事

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