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ベトナム砂糖業界が危機的状況——在庫圧力と密輸品が国内価格を地域最安値に押し下げる

Áp lực tồn kho và đường nhập lậu đang gây áp lực lớn lên ngành mía đường
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ベトナム砂糖・サトウキビ協会(VSSA)の最新報告によると、2025-2026年度の圧搾シーズンがほぼ終了し、国内砂糖生産量は約106万トンに達した。しかし消費の低迷、密輸品の大量流入、さらに高果糖コーンシロップ(HFCS)の輸入拡大が重なり、ベトナムの砂糖価格はアジア地域で最も低い水準に沈んでいる。国内砂糖業界は深刻な構造的危機に直面している。

目次

生産は順調も、消費が追いつかない

VSSAによれば、2026年4月30日までの累計で、業界全体が約1,110万6,000トンのサトウキビを圧搾し、約106万トンの砂糖を生産した。生産量自体は堅調だが、問題は出口にある。2026年4月の国産砂糖の消費量は「近年で最低水準」にまで落ち込んでおり、在庫が急速に積み上がっている。国産砂糖、ASEAN諸国からの正規輸入品、そして大量の密輸品が同時に市場に存在するという、三重の供給過剰構造が価格を押し下げている。

ベトナムの砂糖価格はアジア最安値

国際砂糖機関(ISO)のデータによると、2026年4月の粗糖平均価格はISA指数で14.30 USセント/ポンドと、3月比で0.07 USセント/ポンド下落した。白砂糖の平均価格もISO指数で425.25 USD/トンと、前月の432.69 USD/トンを下回った。ただし月末にかけては、2026-2027年度の供給不足予測やブラジルでのバイオ燃料向け転用拡大、インド産砂糖の減産見通しなどを受けて反発している。

一方、アジア各国の国内砂糖価格をベトナムドン換算で比較すると、その格差は歴然である。

  • フィリピン:約28,177ドン/kg(ベトナム価格の約167%)
  • インドネシア:約27,873ドン/kg(同165%)
  • 中国:約19,434ドン/kg(同115%)
  • ベトナム:約16,892ドン/kg

ベトナム国内では、白砂糖が16,000〜16,600ドン/kg、精製糖が17,000〜17,600ドン/kgで取引されている。VSSAは、この低価格は生産能力の問題ではなく、密輸品と出所不明の砂糖が市場を支配していることが主因だと指摘する。

密輸の実態——ラオス国境の「砂糖街道」

2026年4月、VSSAは報道機関と共同で、クアンチ省ラオバオ(Lao Bảo)のセポン川(sông Sê Pôn)沿い地域を現地調査した。ここはベトナム・ラオス国境を越える砂糖密輸の最大のホットスポットの一つである。

調査によると、国際国境ゲートから約3kmのラオス側ダンサワン(Dansavanh)地区には、常時3,000〜5,000トンもの砂糖が集積されている。密輸グループは渡し舟でセポン川を渡り、1回あたり3〜5トンの砂糖を小分けにして運搬。ベトナム側に入った砂糖は、国境沿いの民家や約15カ所の仮設倉庫(各2〜5トン収容)に一時保管された後、バイク・小型トラック・長距離バスに紛れ込ませる形で内陸部へ運ばれる。密輸組織は多層的な見張り体制を敷き、当局の動きを監視しながら、摘発を巧みに回避しているという。

ダナン市では2026年4月10日、タイ・ミットポン(MITR PHOL)ブランドの精製糖6トンが押収され、販売業者に7,000万ドンの行政罰が科された。しかしこれは氷山の一角に過ぎない。SNS上では出所不明の砂糖が公然と販売され、各地の卸売市場ではタイ産密輸糖や「ラベルなし・産地表示なし・賞味期限なし」のいわゆる「3無(ba không)」砂糖が依然として広く流通している。

もう一つの脅威——HFCSの急拡大

密輸に加え、高果糖コーンシロップ(HFCS)の輸入増加も国内砂糖業界を圧迫している。税関データによれば、2026年4月のHFCS輸入量は約21,432トンに達した。輸入の大部分は飲料メーカーによるもので、これらの企業はかつて国産精製糖の大口顧客であった。VSSAは「工業用砂糖市場はすでにHFCSに大きく奪われ、民生用市場は密輸品に圧倒されている」と危機感を示している。

今後の見通し——5〜6月も供給過剰が継続

VSSAは、2026年5月・6月も国産砂糖・正規輸入品・密輸品の三重供給過剰が続くと予測している。協会は当局に対し、密輸品の取り締まりと無伝票取引(脱税行為)への厳格な対処を強く求めており、「これ以上の対策の遅れは、国内砂糖産業の販売先が深刻に縮小する」と警告している。

投資家・ビジネス視点の考察

ベトナム株式市場における砂糖関連銘柄としては、タンタインコン・ザーライ砂糖(SBT)やクアンガイ砂糖(QNS)などが上場しているが、今回の報告が示す構造的問題は、これら銘柄の中期的な収益見通しに対して明確なネガティブ要因である。在庫増・販売量減・価格低迷の三重苦は利益率を直撃し、2026年度決算への影響は避けられないだろう。

一方、世界的には2026-2027年度の供給不足が予測されており、国際価格の反発余地はある。しかしベトナム国内価格が国際価格と連動しにくい構造——すなわち密輸品とHFCSが価格形成を歪めている構造——が解消されない限り、国際価格の上昇がベトナム企業の業績改善に直結するとは限らない。

日系企業の視点では、ベトナムで食品・飲料事業を展開する企業にとって、原料糖の調達コストが低水準にとどまることは短期的にはプラスに映る。しかし、出所不明の原料がサプライチェーンに紛れ込むリスクには十分な注意が必要である。品質管理・トレーサビリティの確保が一段と重要になる局面だ。

2026年9月に判断が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げとの直接的関連は薄いものの、密輸対策や市場の透明性向上といったガバナンス面での進展は、ベトナム市場全体の信頼性評価にも影響し得る。砂糖業界の問題は、ベトナム経済が抱える「制度的インフラの未整備」という構造的課題の縮図とも言える。


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出典: 元記事

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