ベトナム航空(HVN)2026年第1四半期は増収増益—中東情勢による燃料高騰が今後の焦点に

Vietnam Airlines quý 1/2026: Chủ động thích ứng trước biến động của thị trường quốc tế
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ベトナム航空(証券コード:HVN)が2026年第1四半期の業績を発表した。テト(旧正月)の繁忙期を追い風に連結売上高は3兆7,500億ドン超、税引後利益は4,514億ドンと好調を維持した一方、第2四半期以降は中東紛争に起因するジェット燃料の急騰が重くのしかかる見通しである。国営フラッグキャリアが直面する「攻めと守り」の両面を読み解く。

目次

第1四半期:テト需要と国際線回復で二桁成長

2026年第1四半期、ベトナム航空は約4万3,000便を運航し、690万人超の旅客を輸送した。前年同期比で便数は11%増、旅客数は約12%増である。特にテト期間中は1日あたり660〜670便というピーク運航を実施し、前年同期比13%超の増便となった。

国際線の伸びが顕著で、第1四半期の国際線は前年同期比28.6%の成長を記録した。現在、欧州向けにはエアバスA350およびボーイング787のワイドボディ機で11路線の直行便を運航しており、2026年6月16日にはハノイ〜アムステルダム直行便を新規開設する。さらに7月1日からはハノイ〜モスクワ線を週4便に増便する計画である。

ボーイング737-8を50機発注——中長期の競争力強化へ

戦略面では、ベトナム政府高官の訪米に合わせてボーイング737-8を50機購入する契約を締結した。老朽化が進むナローボディ機の刷新を図るもので、燃費効率の向上と中長期的な運航コスト削減を狙う。ベトナム航空はかねてからエアバスA321neoとボーイング787を軸にフリート近代化を進めてきたが、今回の大型発注はボーイングとの関係強化という地政学的な意味合いも持つ。

定時運航率・国際評価でも存在感

2026年3月の出発定時運航率(OTP)は80.4%に達し、ベトナムの航空業界トップとなった。前年同期比で22%の改善である。また、AirlineRatingsによる「世界で最も安全なフルサービス航空会社トップ25」で19位にランクインしたほか、スカイチーム・アライアンスからも表彰を受け、アジア太平洋トップ500企業にも選出されるなど、ブランド価値の向上が続いている。

財務ハイライト:連結・単体ともに堅調

連結ベースでは売上高3兆7,500億ドン超、税引後利益4,514億ドン。親会社単体では売上高2兆9,500億ドン超、税引後利益3,948億ドンであった。国際線需要の力強い回復が業績を牽引した格好である。なお、2026年3月以降に中東紛争がエネルギー市場に影響を及ぼし始めたものの、第1四半期時点ではその影響は限定的であったとしている。

第2四半期以降:燃料費高騰が最大のリスク

問題は第2四半期以降である。航空会社の運航コストに占める燃料費の割合は30〜40%と大きい。2026年4月末時点でジェット燃料(Jet A1)の価格は1バレルあたり190〜220ドルで推移し、地政学リスクが高まった局面では240ドルを突破する場面もあった。通常時の80〜90ドルと比較すると約3倍の水準である。

ベトナム航空によると、燃料価格が計画比で1ドル/バレル上昇するごとに年間300億ドン超のコスト増が発生する。現在の価格水準が継続すれば、利益率は大幅に圧縮される可能性が高い。

これに対しベトナム政府は、燃料輸入先の多様化、価格安定化基金の活用、航空燃料関連の税・手数料の調整など複合的な対策を講じている。ベトナム航空自身も複数のシナリオに基づく柔軟な運航計画を策定し、路線の最適化やコスト管理の徹底で対応する方針を示した。同社は2026年通年で二桁成長の維持を目標に掲げている。

投資家・ビジネス視点の考察

HVN株への影響:第1四半期の好業績はポジティブだが、市場の関心はすでに第2四半期以降の燃料コスト増に移っている。燃料価格が高止まりする限り、短期的には株価の上値は重いと見るのが妥当である。一方、テト効果が剥落する第2四半期の実績が市場予想を上回れば、見直し買いの余地もある。

ボーイング50機発注の意味:大型発注はキャッシュフローへの負担となるが、旧型機からの切り替えによる中長期の燃費改善効果は無視できない。また、米越経済関係の文脈で政治的なシグナルとしても読める。日本の航空機リース会社やMRO(整備・修理・オーバーホール)関連企業にとっては商機となりうる。

FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場への格上げが実現すれば、ベトナム株全体への海外資金流入が加速する。HVNは時価総額が大きく流動性も比較的高いため、インデックス組み入れの恩恵を受けやすい銘柄の一つである。ただし、燃料リスクによる業績の不確実性がバリュエーション面でのディスカウント要因となる可能性もある。

ベトナム経済全体の文脈:航空旅客数の二桁成長は、ベトナムの観光業・サービス業の回復が本格化していることを裏付ける。ハノイ〜アムステルダム線の開設に象徴される欧州路線の拡充は、欧州からの観光客・ビジネス客の取り込みを狙うもので、ベトナム政府が推進するビザ緩和政策とも整合する。日本企業にとっても、ベトナムへのアクセス向上は駐在員の利便性やサプライチェーンの効率化に寄与する。


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出典: 元記事

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