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米経済誌フォーチュン(Fortune)がベトナムを「東南アジアで最も注視すべき観光市場」と位置づけた。国際旅客数の急増、ビザ政策の緩和、そして質の高い観光開発戦略が高く評価されている。観光セクターはベトナムGDPの約1割を占める重要産業であり、今回の評価は同国経済全体にとっても大きな追い風となる。
フォーチュン誌が注目する3つのポイント
フォーチュン誌がベトナム観光を高く評価した背景には、大きく3つの要因がある。
第一に、国際旅客数の力強い回復と成長である。ベトナムはコロナ禍からの観光回復で東南アジア域内でも際立ったペースを見せており、2024年に入ってからも前年同期比で高い伸び率を維持している。中国・韓国・日本といった近隣アジア諸国からの旅行者に加え、欧米からの長距離旅行者も増加傾向にある。
第二に、ビザ(査証)政策の大幅緩和である。ベトナム政府は2023年8月にe-Visa(電子ビザ)の滞在可能日数を30日から90日に延長し、対象国も大幅に拡大した。さらに、日本を含む主要13カ国の国民に対しては、ビザなしでの滞在期間を15日から45日へと延長している。この政策転換は、長期滞在型の観光やデジタルノマド層の取り込みにも寄与している。
第三に、質の高い観光開発戦略である。ベトナム政府は単なる旅客数の増加だけでなく、1人当たり消費額の引き上げを重視する方針を打ち出している。フーコック島(Phú Quốc、南部の大型リゾートアイランド)やダナン(Đà Nẵng、中部の沿岸都市)、ニャチャン(Nha Trang、南中部の人気ビーチリゾート)などでは、高級リゾート開発やゴルフツーリズム、医療ツーリズムなどの高付加価値分野への投資が進んでいる。
ベトナム観光の競争優位性
東南アジアにはタイ、インドネシア(バリ島)、フィリピンなど強力な観光競合国が多い。そのなかでベトナムが差別化できている要因として、以下が挙げられる。
まずコストパフォーマンスの高さである。タイやバリ島と比較して宿泊費・飲食費が依然として割安であり、欧米の旅行メディアでも「コスパ最強のデスティネーション」として頻繁に取り上げられている。次に、文化・自然資源の多様性である。北部のハロン湾(Vịnh Hạ Long、ユネスコ世界遺産)、中部の古都ホイアン(Hội An)、南部のメコンデルタ(Đồng bằng sông Cửu Long)まで、南北約1,600キロにわたる国土に多彩な観光資源が点在する。さらに、インフラ整備の進展も見逃せない。2025年中の開業を目指すロンタイン国際空港(Long Thành、ホーチミン市郊外の新空港)は、完成すれば年間旅客処理能力を大幅に拡大し、観光受入キャパシティのボトルネック解消に貢献する。
日本との関係
日本はベトナムにとって主要な訪問客送出国の一つであり、ベトナムも日本人にとって人気の渡航先として定着しつつある。LCC(格安航空会社)のベトジェットエア(VietJet Air、ホーチミン証券取引所上場・ティッカー:VJC)やベトナム航空(Vietnam Airlines、ティッカー:HVN)が日越間の直行便を増便しており、アクセスの改善が旅客増を後押ししている。また、日系ホテルチェーンや旅行会社のベトナム進出も加速している状況である。
投資家・ビジネス視点の考察
観光セクターの成長は、ベトナム株式市場において複数のセクターに波及効果をもたらす。
航空関連銘柄では、ベトジェットエア(VJC)やベトナム航空(HVN)が直接的な恩恵を受ける。国際旅客の増加は搭乗率と単価の両面で業績を押し上げる要因となる。ホテル・リゾート関連では、ビングループ(Vingroup、ベトナム最大手のコングロマリット、ティッカー:VIC)傘下のヴィンパール(Vinpearl)リゾートチェーンや、サイゴンツーリスト系列の企業群が注目される。不動産・インフラ分野では、リゾート不動産の開発を手がけるノバランド(Novaland、ティッカー:NVL)やフーコック島周辺で大規模開発を進めるサングループ(Sun Group)関連が関心を集める。
また、小売・消費関連も見逃せない。観光客の増加は飲食、土産物、コンビニエンスストアなど消費全般を底上げする。空港免税店を運営するSASCO(ティッカー:SAS)なども恩恵銘柄の一つである。
マクロ的な視点では、観光収入の拡大は経常収支の改善に寄与し、ベトナムドンの安定にもプラスに働く。2026年9月に判定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けても、観光産業の発展は「経済の多角化・安定性」を示す材料としてポジティブに評価される可能性がある。外国人投資家がベトナム市場全体を再評価する際、観光セクターの成長ストーリーは分かりやすいテーマとなるだろう。
日本企業にとっても、ベトナム観光市場の拡大はビジネスチャンスである。ホテル運営、旅行プラットフォーム、飲食チェーンの展開、さらにはインフラ整備へのODA・民間投資など、多面的な参入余地がある。ベトナム政府が「量から質へ」の転換を掲げる今、日本が得意とするホスピタリティのノウハウや高品質なサービスへの需要は今後さらに高まると見られる。
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出典: 元記事












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