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2026年5月25日から29日にかけて、日本の旅行企業団がベトナム北部3省・市(ハノイ、ニンビン、クアンニン)を巡るファムトリップ(視察・体験ツアー)が実施された。ハノイ市観光局が主導し、B2B商談会やMOU締結も行われた本イベントは、日越観光協力の新たなステージを象徴するものである。
5日間のファムトリップ——北部ベトナムの観光資源を体感
今回のファムトリップは、ハノイ市観光局がニンビン省観光局、クアンニン省文化スポーツ観光局、およびハノイ・ツーリズム社(Hanoi Tourism、正式名称:ハノイ観光投資株式会社)と共同で企画・運営した。日本の旅行会社関係者を招き、北部ベトナムの代表的な観光地を実際に体験してもらうことで、質の高い旅行商品の開発と両国企業間の協力拡大を目指すものである。
ニンビン省では、ユネスコ世界複合遺産に登録されているチャンアン景勝地群(Tràng An)を訪問し、ケンガー温泉(Kênh Gà)を視察、プルマン・ニンビンに宿泊した。クアンニン省では、世界自然遺産ハロン湾(Vịnh Hạ Long)のクルーズ体験やクアンニン博物館を見学し、ラディソンブル・ホテルに滞在した。ハノイでは、西湖(タイホー)の蓮茶づくり体験、文廟(ヴァンミエウ=国子監、ベトナム最古の大学跡)でのナイトプログラム鑑賞、旧市街散策、バッチャン陶磁器村訪問、「ハノイ五門」をテーマにした観光列車への乗車、さらに首都の食文化体験と、多彩なプログラムが組まれた。
B2B商談会で日越企業が直接マッチング
プログラムのハイライトは、5月28日午後にハノイで開催されたB2B商談会である。ハノイ市観光局、ニンビン省観光局、クアンニン省文化スポーツ観光局の幹部に加え、ハノイ投資貿易観光振興センター、ハノイ観光協会、ハノイUNESCO旅行クラブなど関連団体、そして日越双方の旅行会社が多数参加した。
ハノイ市観光局のチャン・チュン・ヒエウ(Trần Trung Hiếu)副局長は「ベトナムと日本の協力関係は引き続き力強く発展しており、観光は両国の包括的戦略パートナーシップの中でも特に際立った分野の一つである」と強調した。同氏によれば、2026年にベトナムは80万人超の日本人観光客を受け入れており、そのうち約40%がハノイを訪問先に選んでいる。一方、日本を訪れるベトナム人観光客も約70万人に達し、双方向の人的交流が活発化している。
ヒエウ副局長はまた、ハノイが持つ文化遺産、歴史的建造物、伝統的な工芸村、そしてナイトタイムエコノミー関連の観光商品が、特に文化体験や地域の独自性を求める日本人旅行者にとって大きな魅力になっていると述べた。
ニンビン省——日本市場への攻勢を強化
ニンビン省観光局のブイ・ヴァン・マイン(Bùi Văn Mạnh)局長は、ハノイ・ニンビン・クアンニンの3地域が歴史・文化的に密接に結びつき、紅河デルタ(ソンホン・デルタ)文化圏を共有していると説明。交通インフラも整備されていることから、北部ベトナムにおける「観光の黄金三角地帯」を形成しうると位置づけた。
マイン局長によれば、日本はニンビン省にとっても重点的な国際市場であり、過去2年間で東京と大阪において観光プロモーションを連続開催してきた。2026年7月にも大阪で新たなプロモーション活動を予定しているという。同氏は「ベトナムと日本は文化・生活様式・助け合いの精神において多くの共通点を持っており、長期的かつ持続可能な協力関係の基盤となっている」と述べた。また、両国に在住する留学生・研究者・労働者・専門家のコミュニティが、今後の観光協力における重要な架け橋になるとの期待も示した。
Hanoi Tourism社がMOU締結、日本企業向け大幅割引も
ハノイ・ツーリズム社のニュー・ティ・ガン(Nhữ Thị Ngần)社長は、2026年の事業戦略として訪越外国人旅行者の取り込み強化を掲げ、中でも日本を最優先市場と位置づけていると明らかにした。ベトナムは安全な環境、親しみやすい国民性、豊富な観光資源、そしてリーズナブルなコストにより、日本人旅行者にとってますます魅力的な渡航先となっているという。
イベントの場では、ハノイ・ツーリズム社と日本の旅行企業との間で覚書(MOU)の締結式が行われた。さらに、同社はファムトリップ参加企業に対して2026年中のベトナム向け送客契約を15%割引、MOUを締結した企業には30%割引という大幅な優遇を発表し、長期的な協力姿勢を鮮明にした。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のファムトリップは、ベトナム観光セクターの成長ポテンシャルと日本市場の重要性を改めて示すものである。以下の観点から注目に値する。
観光関連銘柄への追い風:ベトナム株式市場では、ハロン湾クルーズ大手のクアンニン・ツーリズム(QNT)、ニンビン省で事業展開するホテル・リゾート関連企業、さらにはハノイの旅行・ホスピタリティ銘柄にとって、日本からのインバウンド拡大は直接的なプラス材料となる。年間80万人超という日本人観光客数は、2019年のコロナ前水準(約95万人)に迫る回復ぶりであり、2026年後半にかけてさらなる上振れも期待できる。
日本企業への示唆:日本の旅行会社にとって、ベトナム北部は「世界遺産+文化体験+手頃な価格」という三拍子が揃った商品造成のしやすいデスティネーションである。30%割引という破格の条件は、送客ボリュームの早期確保を狙うハノイ・ツーリズム社の積極姿勢を示しており、日系旅行会社がベトナムツアーのラインナップを拡充する好機といえる。
FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げが実現すれば、海外からの投資資金流入が加速する。観光インフラの充実と外国人旅行者の増加は、ベトナム経済のファンダメンタルズ強化を裏付ける材料であり、格上げ審査においてもポジティブな要素として評価されうる。
マクロ経済的な位置づけ:ベトナム政府はGDPに占める観光収入の比率を引き上げる方針を掲げており、日本との観光協力深化はその中核戦略の一部である。双方向で合計約150万人規模の人的往来は、航空、宿泊、飲食、小売など幅広い産業に波及効果をもたらし、内需拡大にも寄与する。製造業依存からの産業多角化を進めるベトナムにとって、観光は外貨獲得とサービス業育成を同時に実現できる重要セクターであり、今後も政策的な後押しが続くと見られる。
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