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ホーチミン証券取引所(HOSE)は2026年6月17日、ベトナム証券業界で仲介シェア首位を誇るVPS証券(銘柄コード:VCK)を、信用取引(マージン取引)不適格銘柄リストから除外したと発表した。これにより、HOSEにおけるマージン取引制限対象銘柄は68から67へと1銘柄減少した。業界トップの証券会社がマージン制限を解除されたことは、同社株の流動性と投資家の売買利便性にとって明確なプラス材料である。
VCK株のマージン制限解除の経緯
VPS証券(CTCP Chứng khoán VPS)の株式VCKは、2025年12月16日にHOSEへ新規上場を果たした。上場初日の参照価格は6万ドン/株で、値幅制限は±20%に設定された。ベトナムの規則では、新規上場後6カ月未満の銘柄は信用取引の適格条件を満たさないため、VCKも当初はマージン取引不可の扱いとなっていた。今回、上場から約6カ月が経過し、同社がその他の適格条件もクリアしたことで、HOSEが正式にリストからの除外を決定した形である。
VPS証券の2026年第1四半期業績——増収増益が鮮明
VPS証券の2026年第1四半期の業績は極めて好調である。総営業収益は2兆8,460億ドンに達し、前年同期比63%増。税引前利益は1兆5,470億ドンで、同68%増となった。同社によれば、各事業セグメントが均等に改善しており、スケールメリットを活かした運営効率の向上が寄与しているという。利益率も高水準を維持しており、成長の「質」が伴っている点が注目される。
圧倒的な仲介シェア——全市場で首位
VPS証券は2026年第1四半期、市場全体の流動性が低調な中でも、HOSEの株式仲介シェアで15.32%を獲得し首位を堅持した。さらに、ハノイ証券取引所(HNX)で19.45%、未上場株式取引市場(UPCoM)で24.35%、デリバティブ市場で33.34%と、すべての取引所で業界トップの座を占めている。これは同社の顧客基盤の広さ、デジタルプラットフォームの強さ、そして多様な金融商品の提供力を如実に示すものである。
VinaCapitalの新ETF2本も上場——ただしマージンは未適格
一方、HOSEは2026年6月16日に、VinaCapital(ベトナム大手資産運用会社)が運用する2本のETFを新たに上場させた。具体的には以下の通りである。
- FUEVN50G(ETF VINACAPITAL VN50 GROWTH):VN50 Growth指数に連動。初値参照価格1万1,080ドン。上場口数500万口、上場総額500億ドン。
- FUEMITEC(ETF VINACAPITAL VNMITECH):VNMITECH指数に連動。初値参照価格1万70ドン。上場口数500万口、上場総額500億ドン。
いずれもStandard Chartered銀行(ベトナム法人)が監督機関を務める。値幅制限は±20%。ただし上場から6カ月未満であるため、現時点ではマージン取引の適格条件を満たしていない。この2本の上場により、HOSEに上場するETFの総数は20銘柄となった。ベトナムのETF市場が着実に多様化している証左といえる。
HOSEマージン制限リスト——残り67銘柄の内訳
2026年6月17日時点で、HOSEがマージン取引不適格と指定している銘柄は67銘柄である。その理由は主に以下のカテゴリーに分かれる。
- 警告・管理銘柄:ABS、APH、BCG、DLG、DQC、HVN(ベトナム航空)、LDG、NVT、OGC、TCD、TDH、TLH、VCA、VNEなど
- 上場6カ月未満:AFX、CRV、GEL、HPA、KLB、FUEVN50G、FUEMITECなど
- 税引後利益が赤字、監査意見が「無限定適正」以外、情報開示の遅延など
マージン制限は個人投資家のレバレッジ利用を制限するため、対象銘柄の流動性低下要因となる。逆に、VCKのように制限が解除されれば、信用取引を通じた売買が可能となり、出来高の増加が期待できる。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のニュースは複数の角度から注目に値する。
1. VCK株への短期的インパクト:マージン取引解禁により、レバレッジを活用した買い需要の流入が見込まれる。第1四半期の好業績と合わせ、短期的な株価上昇の触媒となり得る。
2. ベトナム証券業界の競争環境:VPS証券が全市場で仲介シェア首位を独走していることは、SSI証券やVNDirect(VND)など競合他社との差が拡大傾向にあることを意味する。日本の証券会社でベトナム株を取り扱う際のパートナー選定にも影響を与えうるポイントである。
3. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、ベトナム市場全体への海外資金流入が加速する。その際、仲介シェアトップのVPS証券は取引量増加の恩恵を最も受ける立場にあり、VCK株は「FTSE格上げ関連銘柄」として位置づけることもできる。
4. ETF市場の拡充:HOSEのETFが20本に達したことは、ベトナム市場の商品多様性が増していることの表れである。特にVNMITECH指数に連動するFUEMITECは、テクノロジーセクターへのエクスポージャーを提供するものであり、成長テーマへの投資手段として日本の投資家にとっても注視すべきプロダクトである。
5. マージン制限リストの動向:67銘柄がなお制限下にあるという事実は、ベトナム市場にはガバナンスや財務健全性に課題を抱える企業が一定数存在することを示している。投資銘柄の選定においては、マージン適格かどうかを一つのスクリーニング基準として活用することが有効である。
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