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2025年5月27日朝、ベトナム国内の金市場でSJC金塊および純金リング(9999=純度99.99%)の価格が大幅に下落した。開場からわずか2時間足らずで、金塊は概ね80万ドン/ルオン(約37.5グラム)の値下がり、純金リングはブランドによって50万〜100万ドン/ルオンの急落となった。前日26日の終値からの連続安であり、市場関係者の間では米国とイランの緊張激化に伴う国際金価格の変動が背景として注目されている。
SJC金塊:主要各社が一斉に80万ドン引き下げ
27日午前9時30分時点で、SJC社(ベトナム最大の金取引ブランド)は金塊の買取価格を1億5,770万ドン/ルオン、売却価格を1億6,070万ドン/ルオンに設定した。前日終値と比較して買い・売りともに80万ドン/ルオンの下落である。
DOJI(ドージー、大手宝飾・金取引企業)、PNJ(フーニュアンジュエリー、ホーチミン市証券取引所上場)、バオティンミンチャウ、バオティンマインハイといった北部の主要企業も同水準の1億5,770万〜1億6,070万ドン/ルオン(買い・売り)を提示し、同じく80万ドン/ルオンの引き下げとなった。
フークイ社も買い・売り双方で80万ドン/ルオンの下落を反映し、1億5,750万〜1億6,070万ドン/ルオンで取引を行った。
ホーチミン市のミーホン社は買取価格を50万ドン、売却価格を30万ドンそれぞれ引き下げ、1億5,800万〜1億6,000万ドン/ルオンとした。
一方、同じくホーチミン市のゴックタム社が今回の朝方セッションで最も大幅な値下げを実施した。前日26日に既に100万ドン/ルオンの下落を記録していたゴックタム社は、27日朝の開場直後にさらに買い・売りとも90万ドン/ルオンを引き下げ、1億5,660万〜1億5,960万ドン/ルオンとした。北部の業者と比較すると売却価格は最大100万ドン/ルオンも低い水準である。
純金リング9999:PNJが100万ドンの大幅下落
純金リング(nhẫn vàng 9999)市場でも同様の下落基調が鮮明となった。ただし、金塊と比べて業者間の値下げ幅にばらつきが大きく、50万〜100万ドン/ルオンと幅広い。
SJC社は純金リングを1億5,720万〜1億6,020万ドン/ルオン(買い・売り)に設定し、前日比80万ドン/ルオンの下落。フークイ社も同じく80万ドン/ルオン下げて1億5,750万〜1億6,050万ドン/ルオンとした。
最も大きな値下げを実施したのはPNJ社で、買い・売りともに100万ドン/ルオンの引き下げとなり、1億5,750万〜1億6,050万ドン/ルオンで取引された。
DOJI、バオティンミンチャウ、バオティンマインハイの3社は朝方セッションで最も高い価格帯を維持しつつも80万ドン/ルオンの下落を反映し、1億5,770万〜1億6,070万ドン/ルオンを提示した。
ゴックタム社はリングについては50万ドン/ルオンと比較的小幅な引き下げにとどまったが、そもそもの価格水準が1億4,700万〜1億5,050万ドン/ルオンと市場全体の相場を大きく下回っている点が特徴的である。
背景:米イラン緊張と国際金価格の動向
今回の国内金価格の下落には、国際市場の動きが大きく影響している。27日午前9時30分時点で、国際金スポット価格は前日比0.2%超下落し、4,500.3ドル/オンスの水準に後退した。
下落の背景には、米国とイランの間で新たに緊張が高まったことがある。米国による空爆が市場の不安定要因となり、停戦合意の維持に対する見通しに影を落とした。これにより原油価格が急上昇し、インフレ圧力が予想以上に長引く可能性への懸念が広がっている。金は通常「安全資産」として買われるが、原油高によるドル高や金利上昇観測が逆風となり、金価格の調整圧力が強まった形である。
なお、ベトナム国営銀行ベトコムバンクの為替レート(税・手数料込み)で換算した場合、SJC金塊と国際金価格の乖離は約1,604万ドン/ルオンとなっている。純金リング9999については、業者によって584万〜1,604万ドン/ルオンと大きな開きがある。ゴックタム社のような低価格業者では国際価格との乖離が相対的に小さい一方、北部の大手業者では依然として大きなプレミアムが付いている状況である。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナム国内金市場の急落は、いくつかの観点から注目に値する。
第一に、金価格の調整は株式市場にとってはプラス材料となり得る。ベトナムでは個人投資家の資金が金と株式の間で頻繁にシフトする傾向があり、金価格の下落局面では株式市場への資金流入が期待される。特にVN-Index(ホーチミン証券取引所の主要指数)が調整局面にある中で、金からの資金移動が下支え要因となる可能性がある。
第二に、PNJ(フーニュアンジュエリー、銘柄コード:PNJ)は金小売大手として今回のニュースに直接関連する上場企業である。金価格の急落局面では在庫評価損リスクが意識されるが、同社は宝飾品の加工販売が主力であり、金地金の売買差益への依存度は限定的である。短期的な株価変動には注意が必要だが、中長期的にはベトナムの消費市場拡大の恩恵を受ける銘柄として位置づけられる。
第三に、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判断との関連では、金市場の変動そのものは直接的な影響因子ではないが、為替の安定性や資本市場全体の成熟度という観点から、金と為替の連動性には引き続き注意が必要である。ベトナムドンの安定は格上げの重要な前提条件の一つであり、金価格の乱高下が為替市場に波及するリスクは常に意識しておくべきである。
日本企業にとっては、ベトナム駐在員の資産運用やヘッジ手段としての金の位置づけを再考する契機となるだろう。また、金輸入規制や国内プレミアムの高さはベトナム特有の市場構造を反映しており、進出企業がベトナムの金融・投資環境を理解する上でも重要な事象である。
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