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ベトナムの金地金市場で、SJC(ベトナム最大の金ブランド)の売買価格差(スプレッド)が先週末の300万ドン/ルオンから250万ドン/ルオンに縮小した。しかし通常時の150万〜200万ドン/ルオンと比較すると依然として高い水準にあり、市場の不安定さを映し出している。
5月19日午前の金地金市場—全面的な膠着状態
5月19日午前、ベトナムの金地金市場は静寂に包まれた。SJC金地金の売買価格は約1週間にわたり狭いレンジ内での上下を繰り返す「もみ合い」状態が続いている。
午前の取引で、SJC社(ベトナム金宝飾公社)は買取価格を1億6,130万ドン/ルオン、販売価格を1億6,380万ドン/ルオンに据え置いた。11時時点でも前日18日の終値から変動はなかった。
この1億6,130万ドン〜1億6,380万ドン/ルオンという価格帯は、DOJI(ドージー、大手貴金属チェーン)、PNJ(フーニュアンジュエリー、ホーチミン市証券取引所上場の大手宝飾企業)、バオティン・ミンチャウ、バオティン・マンハイといった主要業者でも一斉に採用されており、いずれも18日終値から変動なしであった。
一方、フークイ社は買取1億6,050万ドン、販売1億6,350万ドン/ルオンで据え置いた。
南北の価格差と個別業者の動き
ベトナムの金市場では南北間の価格差が恒常的に存在する。南部(ホーチミン市圏)のSJC金地金販売価格は、北部(ハノイ圏)と比べて60万〜80万ドン/ルオン程度低いのが通例である。
ホーチミン市のゴックタム社はSJC金地金を買取1億6,000万ドン、販売1億6,300万ドン/ルオンで据え置き、17日から19日まで3営業日連続の横ばいを記録した。
ミーホン社は前日18日に買取・販売ともに70万ドン/ルオン引き下げた後、19日午前は小幅に反発。11時時点で買取1億6,150万ドン、販売1億6,320万ドン/ルオンと、前日比でそれぞれ20万ドン、40万ドン上昇した。なお、ミーホン社のスプレッドは170万ドン/ルオンと、他社の250万ドンより狭い一方、前日から20万ドン拡大している。
金の指輪(ヴァンニャン)も横ばい—DOJIだけが突出
金地金と並びベトナムで人気の高い「4つの9」(99.99%純金)の金の指輪も、ほぼ全社が前日から据え置きとなった。
ホーチミン市のゴックタム社は買取1億4,950万ドン、販売1億5,300万ドン/ルオンで、市場最安値を維持。一方、DOJI社は金の指輪(ニャントロン9999フンティンブオン)を金地金SJCと同額の買取1億6,130万ドン、販売1億6,380万ドン/ルオンに設定し、市場最高値となった。販売価格の最高値と最安値の差は実に1,080万ドン/ルオンに達している。
バオティン・ミンチャウ、バオティン・マンハイ、PNJの3社は販売価格を金地金と同等の1億6,380万ドン/ルオンとしたが、買取価格は約50万ドン低い1億6,080万ドン/ルオンに設定した。
SJC社は金の指輪を買取1億6,030万ドン、販売1億6,330万ドン/ルオンで据え置き。フークイ社のみが午前中に買取・販売ともに10万ドン/ルオン引き上げ、買取1億6,060万ドン、販売1億6,360万ドン/ルオンとした。
国際金価格と国内プレミアム
19日11時時点の国際金スポット価格は前日比約0.4%安の3,218.5ドル/オンスまで下落した(※元記事では4,548.5ドル/ozと記載)。ベトコムバンクの為替レート(税・手数料込み)で換算した場合、SJC金地金と国際金価格の乖離(プレミアム)は1,761万ドン/ルオン前後となっている。金の指輪については、ブランドにより681万〜1,761万ドン/ルオンと大きなばらつきがある。
このプレミアムの存在は、ベトナム国内の金市場が依然として国際市場と十分に連動していないことを示すものである。ベトナム中央銀行(国家銀行)はSJC金地金の独占的供給元であり、供給量のコントロールが国内価格の歪みを生む構造的要因となっている。
投資家・ビジネス視点の考察
スプレッドの縮小は市場安定化の兆しとも読めるが、通常水準を上回る250万ドン/ルオンという幅は、流動性の低さや業者側のリスク回避姿勢を反映している。約1週間にわたる狭いレンジでのもみ合いは、投資家が方向感を見極めかねている状況を示す。
ベトナム株式市場との関連では、PNJ(銘柄コード:PNJ)の業績が金価格動向に左右される点に注目すべきである。金価格の膠着が続けば、宝飾品の実需が戻りにくく、同社の売上にも影響し得る。一方で金価格のプレミアムが維持されている間は、金取引業者の利ざやが確保されるため、短期的には業績を下支えする側面もある。
2026年9月に見込まれるFTSE新興市場指数への格上げ判定に向け、ベトナム市場全体の透明性・制度整備が問われる中、金市場の構造的歪み(国内外価格差、SJC独占体制)は改革課題の一つとして注視される。日本からベトナムへ投資する個人投資家にとっては、金関連銘柄への投資判断において、こうした制度的背景を理解しておくことが重要である。
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