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ベトナム鉄鋼「元王者」ポミナが赤字継続、累積損失3,660億ドン超の深刻な実態

'Cựu vương' ngành thép chưa hết lỗ
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かつてベトナム建設用鉄鋼市場でトップシェアを誇った「元王者」ポミナ(Pomina Steel Corporation)が、2025年第1四半期も赤字を脱却できず、累積損失が3,660億ドンに膨らんだことが明らかになった。2010年代前半に業界を席巻した同社の凋落は、ベトナム鉄鋼業界の構造変化を象徴する出来事である。

目次

ポミナとは何者か——「鉄鋼の王」の栄光と転落

ポミナ(ホーチミン証券取引所上場、ティッカー:POM)は、南部ホーチミン市を拠点とするベトナムの大手鉄鋼メーカーである。正式名称は「Thép Pomina」で、主力製品は建設用鋼材(鉄筋・形鋼など)だ。2010年前後には建設用鉄鋼の市場シェアでベトナム国内トップに立ち、「鉄鋼業界の王者」と呼ばれた時代があった。

しかし、その後の市場環境の激変がポミナの経営を直撃する。ベトナム鉄鋼業界では2010年代後半から、ホアファットグループ(Hòa Phát Group、ティッカー:HPG、ベトナム最大の鉄鋼メーカー)が大規模な高炉一貫製鉄所を�kind建設し、圧倒的なコスト競争力で市場を席巻。ポミナは電炉メーカーとしてコスト面で劣後し、シェアを急速に奪われていった。

赤字は止まらず——2025年第1四半期の業績

ポミナが発表した2025年第1四半期の決算によると、同社は引き続き純損失を計上した。これにより累積損失(lỗ lũy kế)は3,660億ドンにまで拡大している。

ポミナの業績悪化は一時的なものではない。ここ数年にわたり赤字体質が常態化しており、毎四半期の決算発表のたびに累積損失が積み上がる構図が続いている。建設用鉄鋼の需要自体はベトナムのインフラ投資や不動産開発に支えられて一定の水準を保っているものの、ポミナにとっては価格競争の激化と原材料コストの高止まりが二重の圧力となっている。

なぜポミナは復活できないのか——構造的な3つの課題

第一に、製造プロセスの問題がある。ポミナは主に電炉(EAF:Electric Arc Furnace)方式で鉄鋼を生産しているが、ホアファットのような高炉一貫製鉄(BF-BOF方式)と比較すると、鉄鉱石から直接製鋼できる高炉方式のほうが大量生産時のコスト優位性が高い。電力コストが高いベトナムでは、電炉方式のコスト負担は特に重くなる。

第二に、財務基盤の脆弱化である。累積損失が3,660億ドンに達したことで、自己資本が大きく毀損されている。設備投資や運転資金の確保が困難になり、競争力の回復に必要な投資を行う余力が失われつつある。銀行からの借入条件も厳しくなっていると見られる。

第三に、競争環境の不可逆的な変化である。ホアファットだけでなく、フォルモサ・ハティン・スチール(Formosa Hà Tĩnh Steel、台湾・フォルモサプラスチックグループ系列の大型一貫製鉄所)など、大規模プレイヤーが市場に参入しており、中小規模の電炉メーカーが生き残れる余地は年々狭まっている。

ベトナム鉄鋼業界の現在地

ベトナムの鉄鋼業界は、東南アジアの中でも急速に成長してきた分野である。都市化の進展、インフラ整備(高速道路、鉄道、空港など)、不動産開発ブームにより、鉄鋼需要は長期的な増加トレンドにある。

しかし、業界内の勢力図は大きく塗り替えられた。ホアファットグループ(HPG)は粗鋼生産能力で年間800万トン超を誇り、ベトナム国内シェアの約3割を占める圧倒的な存在となっている。同社は鋼管・熱延コイルなど製品ラインの多角化にも成功し、輸出比率も高めている。

一方で、中国からの安価な鉄鋼製品の流入もベトナム国内メーカーにとっては大きな脅威である。中国の過剰生産能力に伴うダンピング的な輸出は、ポミナのような体力のないメーカーにとって致命的な圧力となっている。ベトナム政府は反ダンピング関税の適用など防衛措置を講じているが、完全な遮断には至っていない。

投資家・ビジネス視点の考察

■ POM株への影響
ポミナ(POM)の株価は長期低迷が続いており、累積損失の拡大は投資家心理をさらに冷やす材料となる。ベトナム株式市場では、累積損失が資本金の一定割合を超えると上場廃止リスクが浮上するため、今後の四半期決算の動向には注意が必要である。短期的な反発狙いの投機的取引は見られるものの、ファンダメンタルズに基づく投資対象としては極めてリスクが高い状況だ。

■ ベトナム鉄鋼セクター全体への示唆
ポミナの苦境は業界全体の問題ではなく、「勝ち組と負け組の二極化」を示している。ホアファット(HPG)やナムキムグループ(NKG、鋼板大手)など、規模の経済とコスト管理に優れた企業は堅調な業績を維持しており、セクター内での銘柄選別が極めて重要である。

■ 日本企業への影響
ベトナムの建設・インフラ関連に進出している日本企業にとって、鉄鋼の調達先選定は重要な経営判断である。ポミナのような経営不安定な企業からの調達にはサプライチェーンリスクが伴う。日系建設会社やデベロッパーは、安定供給力のある大手メーカーとの取引関係を重視する傾向が一層強まるだろう。

■ FTSE新興市場指数格上げとの関連
2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げは、市場全体に海外資金の流入をもたらすと期待されている。しかし、格上げによる恩恵を受けるのは流動性が高く、ガバナンスが健全な大型株が中心であり、ポミナのように業績が悪化し累積損失を抱える銘柄には直接的な恩恵は限定的と見るべきである。むしろ、市場全体の透明性向上に伴い、業績不振銘柄に対する淘汰圧力が強まる可能性もある。

■ 今後の注目点
ポミナが再建を果たすためには、抜本的な事業構造の見直し——例えば、他社との統合・提携、非中核資産の売却、あるいは特定ニッチ製品への集中——が不可欠である。ベトナム鉄鋼業界の「元王者」がこのまま退場するのか、それとも新たな活路を見出すのか。次回以降の四半期決算と経営陣の戦略発表が注目される。


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出典: 元記事(VnExpress)

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