ベトナム銀行大手VietinBankが利益急伸、首位Vietcombankとの差を縮小—2025年第1四半期決算を読む

VietinBank thu hẹp khoảng cách lợi nhuận với Vietcombank
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ベトナムの国有商業銀行大手VietinBank(ベトナム工商銀行、ティッカー:CTG)が2025年第1四半期決算で利益を大きく伸ばし、長年トップに君臨してきたVietcombank(ベトナム外商銀行、ティッカー:VCB)との利益差を着実に縮小していることが明らかになった。ベトナム銀行セクターの勢力図に変化の兆しが見え始めている。

目次

VietinBankの利益が「ブレイクスルー」

VietinBankは2025年第1四半期において、税引前利益が前年同期比で大幅な伸びを記録した。同行は近年、資産規模の拡大と収益力の強化を同時に進めてきたが、今期はその成果が数字として鮮明に表れた格好である。特に注目すべきは、これまで「利益チャンピオン」として業界の首位を独走してきたVietcombankとの差が目に見えて縮まった点だ。

Vietcombankは長年にわたりベトナム銀行業界で最も高い利益を安定的に計上してきた。外資系企業との取引基盤の厚さ、外貨業務の強み、そして優良な資産の質が同行の競争優位を支えてきた。しかしVietinBankは、信用成長の加速や手数料収入の多角化、リスク管理体制の改善などを通じて着実に収益基盤を強化しており、その勢いが2025年第1四半期に一段と加速した形である。

背景にある銀行業界の構造変化

ベトナムの銀行業界は、国有商業銀行4行(いわゆる「ビッグ4」=Vietcombank、VietinBank、BIDV、Agribank)が長らく中核を担ってきた。このうち上場しているVietcombank、VietinBank、BIDV(ベトナム投資開発銀行、ティッカー:BID)の3行は、ホーチミン証券取引所(HOSE)においても時価総額上位に名を連ね、外国人投資家の注目度も極めて高い。

近年の傾向として、VietinBankはリテール(個人向け)業務の拡大に注力してきた。デジタルバンキングへの投資を加速させ、モバイルアプリ経由の取引件数や非金利収入の伸びが顕著である。また、日本のMUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)が約19.73%の株式を保有する戦略的パートナーであることも、VietinBankのガバナンスや国際的な信用力を下支えしている。この日越の資本関係は、日本の投資家にとっても非常に馴染み深い要素である。

一方、Vietcombankも成長を続けているが、すでに高い利益水準に達しているため、成長率という面ではVietinBankの追い上げが相対的に目立つ構図となっている。Vietcombankは資産の質(NPL比率の低さ)や自己資本比率の高さで業界屈指の評価を受けており、「質」のリーダーとしての地位は依然揺るがない。しかし「量」の面で後発組が迫ってきているのが現在の局面である。

ベトナム銀行セクター全体の好調

2025年第1四半期は、ベトナムの銀行セクター全体にとっても良好な環境であった。ベトナム国家銀行(中央銀行)が緩和的な金融政策を維持する中、信用成長率は政府目標に沿った高い水準で推移している。不動産市場の段階的な回復や、製造業・輸出セクターの持ち直しも、銀行の融資需要を下支えした。

加えて、ベトナム政府が推進するキャッシュレス決済の普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)政策は、銀行各行の手数料収入やサービス収入の底上げにつながっている。VietinBankはこの波を的確に捉え、デジタルチャネル経由の取引が急増していることが利益拡大の一因とみられる。

投資家・ビジネス視点の考察

■ ベトナム株式市場への影響
VietinBank(CTG)の利益急伸は、同行の株価に対するポジティブ材料である。ベトナムの銀行株はVN-Index(ホーチミン証券取引所の代表的株価指数)において最大のウエイトを占めるセクターであり、銀行大手の好決算は指数全体の押し上げ要因となる。特にVietinBankとVietcombankは外国人投資家の保有比率が高く、決算シーズンにおける海外資金の流出入にも影響を及ぼしやすい。

■ 日本企業への影響
前述の通り、MUFGはVietinBankの最大の外国人株主である。VietinBankの収益力向上はMUFGの持分法利益にもプラスに寄与するため、日本側の投資家にとっても間接的に好材料となる。また、ベトナムに進出する日系製造業・サービス業にとって、VietinBankは現地での融資・決済の主要パートナーであり、同行の経営基盤の強化はビジネス環境の安定にもつながる。

■ FTSE新興市場指数への格上げとの関連
ベトナムは2026年9月にもFTSE新興市場指数への格上げが決定される見込みであり、実現すれば大量のパッシブ資金(インデックスファンド)がベトナム市場に流入すると見られている。銀行株は時価総額・流動性ともに最大級のセクターであり、格上げの恩恵を最も直接的に受けるグループとなる。VietinBankやVietcombankの業績改善は、格上げ前の「助走段階」として海外投資家の関心を一段と高める材料である。

■ ベトナム経済全体の位置づけ
銀行業の好調は、ベトナム経済全体の回復基調を映す鏡でもある。GDP成長率が6〜7%台で推移する中、企業活動の活発化が融資需要を押し上げ、それが銀行収益に還元されるという好循環が形成されつつある。今後の焦点は、不良債権比率の管理と、金利環境の変化に対する耐性であり、各行の資産の質が引き続き注視されることになるだろう。


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出典: 元記事

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