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ベトナム食品安全局の汚職事件、元局長2名に控訴審で減刑—総額107億ドン超の収賄の全容

Hai cựu Cục trưởng Cục An toàn thực phẩm được giảm án tù
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ベトナム保健省傘下の食品安全局(Cục An toàn thực phẩm)を舞台にした大規模収賄事件の控訴審が2025年5月27日、ハノイの最高人民裁判所控訴法廷で言い渡された。元局長2名を含む被告34名に対し、いずれも一審より減刑される判決が下された。食品の許認可行政を巡る組織的な賄賂の構図が改めて浮き彫りとなった本件は、ベトナムの反腐敗キャンペーンの象徴的事例として注目を集めている。

目次

事件の概要——2018年から7年にわたる組織的収賄

一審判決によると、2018年から2025年にかけて、食品安全局の幹部・職員らは、食品の製品登録受理証明書、広告内容確認書、GMP(適正製造規範)認証などの審査・発行プロセスにおいて、企業や個人から賄賂を受け取っていた。収賄の総額は107億ドン超に上る。

主犯格とされるのが、元局長のグエン・タイン・フォン(Nguyễn Thanh Phong)被告とチャン・ヴィエット・ガー(Trần Việt Nga)被告の2名である。フォン被告は約440億ドンを、ガー被告は80億ドン超をそれぞれ受領したとされる。控訴法廷は、両被告が「企業からの金銭受領を決定する最高位の役割を担っていた」と認定した。

控訴審の判決内容——全被告に減刑、ただし執行猶予は限定的

控訴審では、被告側が新たな情状を提出したことが考慮された。裁判所は、被告らが「誠実に供述し、反省・悔悟の態度を示し、損害を回復した」点を認め、さらに「不正に得た金銭の全額が国庫に返納済みであり、事件の損害は回復された」と指摘した。フォン被告に至っては自主的に7,000万ドンを追加で国庫に納付している。

主な量刑は以下の通りである。

【収賄罪グループ】

  • グエン・タイン・フォン(元局長):一審20年→16年6カ月(3年6カ月減)
  • チャン・ヴィエット・ガー(元局長):一審15年→12年(3年減)
  • グエン・フン・ロン(元副局長):9年6カ月
  • ドー・フウ・トゥアン(元副局長):3年6カ月
  • ディン・クアン・ミン(元食品安全応用訓練センター長):8年6カ月
  • レ・マイン・フン(元食品製品管理課長):3年6カ月
  • レ・ホアン(元疾病予防局副局長、元課長):3年
  • その他の職員・契約社員:18カ月~3年(一部に執行猶予付き)

【贈賄罪グループ】

  • チャン・ティ・クイン・チャン(薬剤師):3年6カ月
  • グエン・ヴィエット・アイン(バラクタン・ベトナム社元社長):3年
  • ライ・ティ・トゥー・アイン(グレートヘルス・ベトナム社社長):2年6カ月
  • ファム・ドゥック・トゥアン(ノバコ製薬会長):17カ月
  • グエン・クアン・フン(ノバコ製薬元社長):12カ月
  • その他の個人・企業関係者:9カ月~15カ月

裁判所は一審で適用されていた加重情状をすべての被告について取り消した。一方で、食品安全局所属の被告に対する執行猶予の適用は認めず、執行猶予が認められたのは企業・個人側の4名にとどまった。

裁判長の異例の発言——「刑罰以前に内面の罰がある」

裁判長は判決言い渡しの際、「控訴審を通じて見えてきたのは、刑務所に入る以前に、被告たち自身の内面がすでに後悔と苦痛という罰を受けているということである」と述べた。ベトナムの裁判においてこうした情緒的な言及がなされることは珍しくないが、反腐敗運動の中で「処罰と更生のバランス」を意識した発言として受け止められている。

背景——ベトナムの反腐敗キャンペーンと「灼熱の炉」

本件は、故グエン・フー・チョン(Nguyễn Phú Trọng)前共産党書記長が主導した「灼熱の炉」(Lò đốt)と呼ばれる反腐敗キャンペーンの延長線上にある。同キャンペーンは2016年以降、党・政府・軍の高官を次々と摘発し、ベトナム社会に大きなインパクトを与えてきた。食品安全局の事件は、中央省庁の中堅レベルにおいても組織的な腐敗が根深く存在していたことを示す事例であり、保健・食品行政の信頼性に直結する問題として国内で大きく報じられている。

ベトナムでは食品安全に対する国民の関心が非常に高い。街中の屋台文化が根付く一方で、農薬残留や添加物の問題が社会的な懸念材料となっており、食品安全局はその規制の中核を担う機関である。許認可プロセスそのものが「金で買える」状態にあったという事実は、制度の根幹を揺るがすものであり、事件後の制度改革の行方が注目される。

投資家・ビジネス視点の考察

本件は直接的に上場企業の株価を動かすニュースではないが、ベトナムで食品・健康食品・医薬品関連ビジネスを展開する日系企業にとっては、以下の点で重要な示唆を含んでいる。

第一に、許認可リスクの再認識である。食品の製品登録やGMP認証の取得において、従来「非公式な費用」が発生していた可能性がある。事件の摘発により、今後は許認可プロセスの透明化・厳格化が進む可能性が高い。短期的には審査の遅延や手続きの複雑化が生じるリスクがある一方、中長期的にはコンプライアンスを重視する外資企業にとって有利な環境が整備されることになる。

第二に、ベトナムのガバナンス改善の進展である。2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判断において、市場の透明性やガバナンスの質は重要な評価要素となる。反腐敗キャンペーンの継続と具体的な成果は、国際投資家の信頼向上に寄与する要素として位置づけられる。

第三に、食品・ヘルスケアセクターへの影響である。ホーチミン証券取引所に上場する食品関連銘柄(ビナミルク〈VNM〉、マサングループ〈MSN〉など)や、健康食品・医薬品関連企業にとって、規制環境の変化は中長期的な事業戦略に影響を及ぼしうる。特に贈賄側として名前が挙がったノバコ製薬(Novaco)のような中小企業の存在は、サプライチェーン上のコンプライアンスリスクを改めて意識させるものである。

ベトナムは「チャイナ・プラス・ワン」の有力な投資先として日本企業の進出が加速しているが、現地の行政手続きにおける不透明さは依然としてリスク要因の一つである。本件のような大規模摘発が続くことで、制度の浄化が進むことを期待しつつ、進出企業は自社のコンプライアンス体制を改めて点検する必要があるだろう。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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