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ベトナム全国の5G通信速度が2026年5月に前月比約17%低下する中、大手キャリア3社の中で唯一MobiFone(モビフォン)だけがダウンロード速度を12.7%改善させたことが、ベトナムインターネットセンター(VNNIC)の計測データから明らかになった。デジタルインフラの品質動向は、ベトナムのデジタル経済成長やテクノロジー関連投資の行方を占う上で重要な指標である。
5G全国平均速度が大幅低下——430Mbpsに
VNNICが運営する通信速度計測プラットフォーム「i-Speed」のデータによると、2026年5月の全国5Gダウンロード平均速度は430.21Mbpsとなり、4月の516.49Mbpsから86.28Mbps(約17%)低下した。一方、アップロード速度は108.94Mbpsから111.62Mbpsへ微増しており、上り方向の品質は維持されている。
キャリア別ランキング——Viettelが首位も大幅減速
5Gサービスを提供する3大キャリアの順位は以下の通りである。
第1位:Viettel(ベトテル、ベトナム軍隊通信グループ傘下の最大手キャリア)
ダウンロード速度は460.04Mbpsで首位を維持したものの、4月の586.33Mbpsから約22%の大幅低下となった。アップロード速度は安定を維持している。
第2位:VNPT(ベトナム郵政電信グループ)
ダウンロード速度279.76Mbps、アップロード速度43.32Mbps。
第3位:MobiFone(モビフォン)
唯一の「逆行組」で、ダウンロード速度は187.73Mbps(4月)から215.12Mbps(5月)へ12.7%上昇。アップロード速度も34.27Mbpsから36.81Mbpsへ改善した。絶対値では3社中最下位だが、改善トレンドが際立つ。
都市別——ダナンが693Mbpsで全国トップを維持
主要5都市(ハノイ、ハイフォン、ホーチミン市、カントー、ダナン)の中では、中部の港湾都市ダナンが5Gダウンロード平均速度693.79Mbpsで引き続き全国首位を堅持した。以下、ハノイ、ハイフォン、カントー、ホーチミン市の順となっている。ただし5都市すべてで前月比低下(低下幅は15%以内)が見られたものの、いずれも200Mbps以上の水準は確保している。
ダナンが5G品質で突出する背景には、人口密度が相対的に低く基地局あたりのユーザー負荷が軽いこと、またスマートシティ構想の先行都市として通信インフラ整備が進んでいることがある。
モバイル全体(4G+5G)は緩やかな改善傾向
4Gと5Gを合算したモバイル全体の通信品質は、全国平均ダウンロード速度が87.62Mbps(4月は86Mbps)と微増し、改善トレンドが継続している。キャリア別ではViettelが107.73Mbpsで首位、VNPT 72.4Mbps、MobiFone 53.25Mbpsと続く。Vietnamobile(ベトナモバイル)は9.58Mbpsで大きく引き離されている。
都市別では注目すべき動きがあった。ダナンはモバイル全体でも首位ながら、ダウンロード速度が432.66Mbpsから310.58Mbpsへ28%超の急落を記録。一方、ハノイは約61%の大幅改善を見せ、2位に浮上した。カントーとホーチミン市もそれぞれ約17%、約10%の上昇を記録している。ハイフォンは93.93Mbps(4月95.93Mbps)で微減し、グループ最下位となった。
固定ブロードバンド——安定推移、ハイフォンが30%回復
固定ブロードバンドの全国平均は、ダウンロード254.79Mbps、アップロード171.98Mbpsと安定を維持している。
都市別ではハノイが448.08Mbpsで全国トップ。4月に大幅低下を記録したハイフォンは約30%回復し211.39Mbpsに達した。
プロバイダー別ではViettelがダウンロード317.26Mbps・アップロード241.53Mbpsで首位。CMC Telecom(CMCテレコム)がダウンロード268.89Mbpsで2位、VNPTがダウンロード208.58Mbps(前月比約24.75Mbps増)で3位に続く。SCTV(97.77Mbps)、NETNAM(89.01Mbps)がその後に位置している。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のデータから読み取れるポイントは複数ある。
1. 5G速度低下の背景と一時性:全国的な速度低下は、5G商用サービス開始後のユーザー急増による基地局負荷の増大が主因と考えられる。ベトナムは2024年末に5G商用化を本格始動しており、端末普及が進む中で一時的なネットワーク混雑が生じている可能性が高い。中長期的には基地局の増設・最適化により改善が見込まれる。
2. MobiFoneの逆行上昇の意味:MobiFoneは2024年に株式会社化(コーポラタイゼーション)が進められている国営キャリアである。5Gでは後発ゆえにユーザー数が相対的に少なく、基地局あたりの負荷が軽いことが速度改善に寄与した可能性がある。ただし、これはネットワーク効率の改善努力の成果とも解釈でき、今後のIPO(新規株式公開)を見据えたサービス品質向上戦略の一環とみることもできる。MobiFoneのIPOが実現すれば、ベトナム通信セクターの投資機会として注目度が高い。
3. 通信インフラと株式市場への影響:Viettel関連では上場子会社のViettel Global(VGI)やViettel Post(VTP)が存在するが、通信本体は非上場である。VNPTも同様に非上場だが、通信インフラの品質向上はデジタル経済全体の成長基盤であり、IT・テクノロジー関連銘柄(FPT、CMGなど)やEコマース関連企業にとってプラス材料となる。
4. FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げにおいて、デジタルインフラの整備状況は直接的な評価項目ではないが、ベトナム経済の近代化・高度化を示す重要な背景要因である。5G普及によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速は、GDP成長率の押し上げを通じて市場全体のバリュエーション向上に寄与する。
5. 日本企業への示唆:ベトナムに製造拠点やサービス拠点を持つ日本企業にとって、通信品質はDX推進やリモートワーク環境の質に直結する。ダナンやハノイなど通信品質の高い都市への拠点集約が合理的な選択肢となりうる。また、NTTやKDDIなどベトナム通信市場に関心を持つ日本の通信事業者にとっても、市場動向を把握する上で重要なデータである。
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