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ベトナムEC市場が2029年に2900億ドル規模へ—偽造品問題と新法規制の全貌

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東南アジアのEC(電子商取引)市場が2029年までに約2900億ドル規模に達するとの予測が発表された。一方、ベトナムではEC上での偽造品・模倣品の横行が深刻化しており、2026年7月1日に施行される新たな「電子商取引法」がその対策の切り札として注目されている。急成長と消費者保護の両立という難題に、ベトナムはどう挑むのか。

目次

東南アジアEC市場、世界第2位の成長率へ

米調査会社IDCが実施した最新調査「How Southeast Asia Buys and Pays 2026」によると、東南アジアは2029年までにインドに次ぐ世界第2位のEC成長市場になると予測されている。2024年から2029年にかけての年平均成長率(CAGR)は13.2%で、市場規模は約85.4%拡大し、2900億ドル近くに達する見通しである。

デジタル決済の普及も著しい。2029年までに東南アジアのEC取引の約97%がデジタル決済で行われると予測されており、2024年の89%から大幅に上昇する。特に電子ウォレットやリアルタイム送金、地場銀行経由の決済がインドネシア、タイ、ベトナムで強力な成長ドライバーとなっている。

ベトナムで深刻化する偽造品問題

しかし、この急成長の裏側でベトナムでは深刻な問題が顕在化している。オンライン上で本物と偽物の境界がかつてないほど曖昧になっており、消費者は数枚の写真と短い商品説明、そして魅力的な広告文だけで購入判断を迫られている状況である。

ベトナム偽造品対策・ブランド保護協会のグエン・ダン・シン会長は、密輸品や偽造品、知的財産権侵害品がデジタル空間へ急速に移行していると指摘する。違反者はライブ配信、偽アカウント、デジタル広告プラットフォーム、宅配便サービス、決済仲介業者を駆使して取引を行っている。

「偽造品はもはや小規模・散発的なものではなく、ECやSNSを最大限に活用した組織的なチェーンを形成している」とシン会長は警鐘を鳴らす。化粧品、食品、調味料、日用消費財といった生活必需品にまで偽造品が浸透しており、パッケージや商標の偽造にとどまらず、出所不明の原材料が使用されるケースもあり、消費者の健康に直接的なリスクをもたらしている。

国家密輸・商業詐欺・偽造品対策指導委員会の報告によると、2026年の最初の4カ月間だけで、当局は密輸・商業詐欺・偽造品関連で約44,000件を摘発・処理し、1,464件・2,200人以上を刑事訴追している。シン会長はこの数字がEC環境における取り締まりの圧力が増大していることを如実に示していると述べた。

ライブコマースの爆発的普及とその闇

違反者の手口も巧妙化している。複数の販売アカウント、複数の電話番号、複数の入金口座、異なる中継倉庫に活動を分散させ、通報やアカウント凍結を受けると即座に新アカウントを開設し、商品名を変更するか別のプラットフォームに移行して活動を継続する。

特にライブ配信販売、非公開グループでの販売、ダイレクトメッセージ、KOL(キーオピニオンリーダー)やKOC(キーオピニオンコンシューマー)を通じた販売は、追跡や証拠収集を極めて困難にしている。TGM Researchの2025年の調査によれば、ベトナムの消費者の35%がライブ配信ショッピングに参加した経験がある。さらにMilieu Insightの調査では、ベトナムの消費者の少なくとも65%が週1回以上ライブ配信ショッピングを視聴しており、東南アジア平均の48%を大きく上回っている。

商業大学のヴー・ティ・ハイ・リー講師は、偽造品・模倣品・虚偽広告がライブ配信販売における最も深刻な問題の一つであると指摘している。

2026年7月施行の電子商取引法—何が変わるのか

こうした状況を受け、専門家らはデジタル取引エコシステム全体の管理強化を提言している。売り手の身元認証、取引データ・資金フロー・倉庫の管理、違反履歴の追跡に至るまで、包括的な規制が必要とされている。ECプラットフォームも取引の仲介者として利益を享受するだけでなく、リスク管理の責任を強化すべきだとの声が上がっている。

2026年7月1日に施行される新「電子商取引法」は、EC発展政策、ECプラットフォームの定義と責任、越境EC取引に関する規定などを包括的に定めている。同法は新しいビジネスモデルの発展を奨励するとともに、デジタルインフラ、物流インフラ、決済インフラなどEC エコシステム全体のインフラ整備への投資を促進する方針を打ち出している。

商工省が起草した同法の施行細則に関する政令案も注目に値する。第5条ではプラットフォームに対し、ユーザーが個人データの閲覧・修正・削除要求・処理制限を行える方法の公開を義務付けており、消費者のデータ管理権限を強化する内容となっている。

第17条では、プラットフォームは当局からの要請後24時間以内に違反コンテンツを「検査、点検、削除、適時処理」しなければならないと規定。違反商品・サービスの情報を表示前にフィルタリングするためのキーワード更新も求められている。

ライブ配信販売に関しては第12条で、プラットフォームに対し独自の規則策定を義務付け、配信停止やコンテンツ削除の具体的な基準、購入者の安全を脅かす商品・サービスに対する警告ツールの整備を求めている。

さらに第18条では、商品・サービス情報の表示前審査、海外出品者のパスポートまたは同等の法的書類による本人確認、出品者の氏名・納税者番号・所在地の公開を義務化。プラットフォームは商品データを最低1年間、契約データを最低3年間保存しなければならない。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースは、ベトナムEC市場の「成長性」と「制度整備」という二つの側面を同時に浮き彫りにしている。投資家にとっていくつかの重要な示唆がある。

第一に、EC関連銘柄への追い風である。デジタル決済の浸透率が97%に達するとの予測は、FPTコーポレーション(FPT)やモバイルワールド・インベストメント(MWG)など、デジタルインフラや小売テクノロジーに関わる上場企業にとってポジティブな材料となる。物流分野ではヴィエットテル・ポスト(VTP)やジェムアデプト(GMD)なども恩恵を受ける可能性がある。

第二に、新電子商取引法の施行は短期的にはプラットフォーム運営コストの増大要因となるが、中長期的には市場の透明性向上を通じて、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げにおけるポジティブなシグナルとなり得る。制度の近代化と消費者保護の強化は、海外機関投資家がベトナム市場を評価する際の重要な判断材料である。

第三に、日本企業への影響も見逃せない。ベトナムのEC市場に参入・展開している日本のメーカーや小売企業にとって、偽造品対策の強化は自社ブランドの保護につながる好材料である。一方、プラットフォーム規制の厳格化に伴うコンプライアンスコストの増加にも留意が必要だ。イオン、ユニクロ、資生堂などベトナムで消費者向けビジネスを展開する日本企業にとっては、正規品の信頼性が担保される環境整備は中長期的にプラスに働くだろう。

東南アジア全体のEC市場が2900億ドルに向かう巨大な潮流の中で、ベトナムが「成長」と「秩序」のバランスをどう取るかは、同国の投資先としての魅力を左右する重要なテーマである。新法の実効性が問われる2026年後半の動向に注目したい。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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