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ベトナムを代表する格安航空会社(LCC)ベトジェット・エア(Vietjet Air、ホーチミン証券取引所上場・ティッカー:VJC)が、2025年5月5日から大規模な航空券割引キャンペーンを開始する。対象となる航空券は合計1,100万枚にのぼり、うち100万枚はエコノミークラス「Eco」の運賃が0ドンという破格の設定。ベトナムの航空業界における夏の旅行需要獲得に向けた大胆な施策として、市場の注目を集めている。
キャンペーンの詳細——0ドン運賃と30%割引の二本柱
今回のキャンペーンは大きく二つの柱から成る。第一は、エコノミークラス「Eco」カテゴリーにおける100万枚の0ドン航空券の提供である。「0ドン」とは航空券の基本運賃(ベース運賃)部分が無料という意味であり、実際には空港使用料や燃油サーチャージなどの諸税・手数料は別途必要となる。それでも通常運賃と比較すれば大幅な割安感があり、ベトジェットの看板プロモーションとして毎回大きな反響を呼ぶ施策である。
第二の柱は、上位クラス「Deluxe(デラックス)」運賃の30%割引だ。デラックスクラスには無料の受託手荷物(預け入れ荷物)パッケージが付帯しており、荷物の多い家族旅行やビジネス出張層にとって魅力的な選択肢となる。LCCでは手荷物は別料金が基本であるため、受託手荷物込みで30%オフというのは実質的な割引率がさらに大きくなる。
航空券の販売期間は2025年5月5日から7日までの3日間限定。短期集中型のフラッシュセールであり、過去のベトジェットの同様のキャンペーンでは開始直後にアクセスが殺到し、ウェブサイトやアプリがつながりにくくなる事態も発生している。
背景——ベトナム航空業界の競争激化と夏の旅行シーズン
ベトナムの航空市場は近年、急速な拡大と競争激化が同時に進行している。国営ベトナム航空(Vietnam Airlines、ティッカー:HVN)、ベトジェット、バンブー・エアウェイズ(Bamboo Airways)の3社体制に加え、新規参入を目指す動きもある。人口約1億人を擁するベトナムでは中間層の拡大に伴い、国内旅行や近隣アジア諸国への海外旅行需要が年々増加しており、各社がシェア獲得にしのぎを削っている。
特に5月以降はベトナムの夏季休暇シーズンに突入する。学校の長期休みと重なるこの時期は、ダナン、ニャチャン、フーコック島といった国内ビーチリゾートへの旅行需要が急増する。ベトジェットが1,100万枚という大量の割引チケットを投入するのは、この繁忙期における座席稼働率を最大化し、付随する機内販売や手荷物オプション、ホテル・レンタカーなどのアンシラリー収入(付帯収益)を確保する戦略の一環と考えられる。
LCCのビジネスモデルでは、航空券そのものの運賃よりも、手荷物追加料金、座席指定料、機内食販売、保険商品の販売といったアンシラリー収入が利益の重要な構成要素となっている。0ドン運賃で大量の旅客を集客し、諸手数料やオプションサービスで収益を上げるというのはベトジェットが長年採用してきたモデルであり、今回のキャンペーンもその延長線上にある。
ベトジェットの業績動向と路線拡大
ベトジェットは2011年の就航以来、急成長を遂げてきたベトナム最大の民間航空会社である。CEOのグエン・ティ・フオン・タオ(Nguyễn Thị Phương Thảo)氏はベトナムを代表する女性実業家として国際的にも知られ、フォーブス誌のベトナム人富豪ランキングにも名を連ねる。同社は国内線ではベトナム航空と市場シェアを二分する存在であり、国際線ではインド、日本、韓国、オーストラリアなどへの路線を積極的に展開している。
日本路線に関しては、ハノイ・ホーチミンから東京(成田・羽田)、大阪(関西)、名古屋、福岡などへ直行便を運航しており、日本人観光客のベトナム訪問およびベトナム人の訪日旅行の両面で重要な役割を果たしている。今回のキャンペーンが国際線にも適用されるかどうかは元記事では明記されていないが、過去の同様のプロモーションでは国際線も対象に含まれるケースが多かった。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトジェット(VJC)はホーチミン証券取引所の主要銘柄の一つであり、時価総額はベトナム航空業界でトップクラスに位置する。今回のような大規模プロモーションは短期的にはイールド(1座席あたり収入)の低下要因となり得るが、座席稼働率の向上とアンシラリー収入の増加、さらにはブランド認知度の強化を通じて中長期的な収益拡大に寄与する可能性がある。
投資家にとっての注目点は、この施策が同社の2025年通期業績にどの程度のインパクトをもたらすかである。ベトナムの航空旅客数は2024年に過去最高を更新しており、2025年もその勢いが続く見通しだ。ベトジェットが積極的なプロモーションでシェアを拡大できれば、VJC株にとってはポジティブな材料となる。
また、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数へのベトナムの格上げ判断に向けて、ベトナム株式市場全体の流動性と時価総額の拡大が重要視されている。ベトジェットのような内需・観光セクターの成長企業が好調な業績を維持することは、市場全体の評価向上にも間接的に貢献する。日本からベトナム株に投資する投資家にとっても、航空セクターはベトナムの消費拡大を捉える有力なテーマの一つである。
日本企業の視点では、ベトナムへのビジネス渡航コストの低下や、駐在員・出張者の移動利便性向上という面でプラスに働く。また、ベトナムの観光産業の成長は、ホテル・リゾート開発や旅行関連サービスに進出する日本企業にとっても追い風となるだろう。
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出典: 元記事












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