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ホエイプロテイン価格が5倍に高騰―GLP-1ダイエット薬ブームが世界的供給危機を招く

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📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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GLP-1受容体作動薬と呼ばれるダイエット薬の世界的な普及が、ホエイプロテイン(乳清タンパク質)市場に前例のない価格高騰と供給逼迫をもたらしている。ホエイプロテイン濃縮物(WPC80%)の価格は2年間で約5倍に跳ね上がり、サプライチェーン全体が深刻な危機に直面している。

目次

ホエイプロテインとは何か――なぜGLP-1薬と結びつくのか

ホエイプロテインは、チーズの製造過程で生じる乳清から抽出されるタンパク質である。9種類の必須アミノ酸をすべて含み、体内での吸収効率が高いことから、筋力増強や体力回復を目的としたサプリメントとして世界中で広く利用されてきた。

近年、この市場に激震を与えているのが、Ozempic(オゼンピック)やMounjaro(マンジャロ)といったGLP-1受容体作動薬の爆発的な普及である。これらの薬は食欲を強力に抑制するため、使用者の総食事量が大幅に減少する。その結果、筋肉量の減少というリスクが生じ、医療専門家はGLP-1薬の使用者に対してタンパク質の積極的な補給を推奨している。ホエイプロテインは、少量で効率よく高品質なタンパク質を摂取できる手段として、GLP-1ユーザーにとって事実上の「必需品」となりつつある。

価格は5倍、供給は完全に逼迫

商品情報プラットフォームVesper(ベスパー)のデータによれば、ホエイプロテイン濃縮物(WPC80%)1トンあたりの価格は、2023年6月の4,302ポンド(約5,758ドル)から、2025年6月には23,751ポンドへと約5倍に急騰した。

西北ヨーロッパにおける食品用ホエイパウダーの価格も、DCA Market Intelligenceのデータによると約1,700ユーロ/トンと過去最高水準に達しており、年初来だけで50%超の上昇を記録している。

米国では、ホエイプロテイン濃縮物(WPC)およびホエイプロテイン分離物(WPI)が、2024年11月以降、新規顧客向けにはほぼ入手不可能な状態となっている。メーカーは2026年分まで事前契約で売り切っており、一部の供給業者は2026年の残り期間すべてについて在庫がゼロとなっている。さらに、ある製造業者が夏以降にWPC34%の生産を停止する見通しであり、業界関係者は供給がさらに縮小すると警戒している。

米国人口の12%がGLP-1薬を使用――需要の構造変化

現在、米国人口の約12%がGLP-1系ダイエット薬を使用しているとされる。これらの使用者の多くがホエイプロテインの併用を推奨されていることが、需要の急激な構造変化を引き起こしている。Grand View Researchの予測によれば、世界のホエイプロテイン市場は2025年から2033年にかけて年平均成長率(CAGR)7.5%で拡大する見通しである。

しかし問題は、この需要増に対して供給が全く追いついていない点にある。Vesperのアナリスト、ヤスパー・エンドリッヒ氏は「市場では商品は消化されているが、消費者が実際に購入したい量が供給可能量を明らかに上回っている。メーカーは生産能力の拡大と在庫の積み増しを望んでいるが、まだそれを実現できていない」と指摘する。

一方で同氏は「市場は反応し始めている。新しい製造工場が稼働を始めており、一部の製品ではホエイプロテイン100%からミルクプロテインを混合した処方に切り替える動きも出ている。全体のタンパク質含有量はほぼ変わらないが、原料コストは半分から3分の1に抑えられる。供給が追いつくまでの間、企業が工夫できる余地はある」とも述べている。

米国農務省(USDA)の乳製品市場レポートも、WPC34%を中心にホエイプロテイン市場の逼迫を確認しており、特にプレミアムセグメントでの価格上昇が顕著であると報告している。

中小企業に直撃する供給危機

この供給逼迫で最も深刻な打撃を受けているのは中小のプロテインブランドである。英国産原料にこだわるプロテインブランド「Hermosa(エルモサ)」の創業者エリカ・タマヨ氏は「過去2年間、毎四半期ごとに価格が上がり続けている。供給元は確保できているが、前四半期の2倍の価格で購入している。現在は以前の発注分の在庫があるため消費者への転嫁は避けているが、いずれそうせざるを得なくなる」と語る。

タマヨ氏はさらに「今は全員が限られた割り当て分を奪い合っている状況だ。大企業は選択肢が多く、妥協する必要がない。しかし製品ラインの少ない小規模企業にとっては遥かに厳しい。私たちは自社のプレミアムなポジショニングを失いたくない」と強調する。

同氏はまた、GLP-1薬の普及がもたらした消費トレンドの変化にも言及している。「GLP-1薬がブームになって以来、人々はタンパク質の重要性に目覚めた。スーパーマーケットではポップコーン、ポテトチップス、さらにはドーナツにまでホエイプロテインが添加されるようになった。ダイエットが注目の的となり、あらゆる食品にプロテインが入る時代になった」という。

供給正常化の鍵を握るのは、世界的な生産能力の拡大である。しかし、乳製品加工施設の新設には時間がかかり、一朝一夕には解決しない。それまでの間、価格の上昇圧力と大企業・中小企業間の格差はさらに拡大する見通しである。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のニュースはベトナム国内メディアが報じたグローバル市場の動向であるが、ベトナム経済・株式市場への示唆は少なくない。

第一に、ベトナムは乳業が成長産業であり、ビナミルク(Vinamilk、銘柄コード:VNM)をはじめとする乳製品企業にとって、ホエイ関連製品の価格高騰は原料コスト増というリスクと、高付加価値製品への展開チャンスという両面がある。ビナミルクは近年、プロテイン強化飲料やスポーツニュートリション分野への進出を模索しており、ホエイ市場の動向は同社の戦略に直結する。

第二に、ベトナムでもGLP-1薬の認知度は徐々に高まっており、健康志向・ダイエット志向の消費者が増加している。プロテインサプリメントや機能性食品の需要拡大は、ベトナム国内の食品・飲料セクター全体にとって追い風となり得る。

第三に、グローバルなサプライチェーンの混乱は、ベトナムに進出している日系食品メーカーにも影響を及ぼす可能性がある。ホエイプロテインを原料として使用する製品を展開する企業は、調達戦略の見直しを迫られるだろう。

2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判断を控え、ベトナム市場全体への海外資金流入が期待される中、食品・乳業セクターは内需型の安定成長銘柄として改めて注目を集める局面にある。グローバルなプロテイン需要の構造的拡大というメガトレンドを捉えられる企業が、中長期的に評価を高めていく可能性がある。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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