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ユニリーバ・ベトナムが「ベトナム持続可能な発展企業トップ50」および「Vietnam I4 Impact Awards 2026」の両賞を相次いで受賞した。FMCG(日用消費財)大手による製品ライフサイクル全体を通じたグリーン戦略は、ベトナムが掲げる2050年カーボンニュートラル目標と循環型経済の推進において、民間セクターの役割を示す好例である。
二つの受賞が示すユニリーバの一貫した戦略
ユニリーバ・ベトナムは、投資情報誌「ニップ・カウ・ダウ・トゥ(Nhịp Cầu Đầu Tư)」が主催する「ベトナム持続可能な発展企業トップ50 2026」において、「製品および責任ある消費のリーダーシップ」部門で選出された。これに先立つ2026年5月30日には、ホーチミン市タンミー(Tân Mỹ)区に設置したMRF(Material Recovery Facility=資源回収施設)技術を統合したリサイクル資源回収ステーションの取り組みが評価され、「Vietnam I4 Impact Awards 2026」も受賞している。
二つの受賞は、同社が「グリーン転換」と「デジタル転換」を組み合わせ、測定可能かつ日常生活に根ざしたソリューションを提供するという一貫した方向性を裏付けるものである。製品の処方改良、パッケージ改善から、使用後の素材分別・回収・リサイクルへの技術応用まで、環境責任と消費者行動の変革を同時に追求している点が特筆される。
製品レベルでの具体的な取り組み——Sunlight Thiên Nhiênの事例
ユニリーバ・ベトナムの持続可能性へのアプローチは、個別製品にとどまらず、研究開発・原材料選定・包装改良・製造最適化・流通・消費・回収・リサイクルという製品ライフサイクル全体に及ぶ。
具体例として、食器用洗剤「Sunlight Thiên Nhiên(サンライト・ティエンニエン)」が挙げられる。同製品は先進的な「Rhamno技術」を採用し、洗浄成分は100%植物由来で、合成着色料やパラベンを含まず、99.7%の生分解性を実現している。油汚れに対する洗浄力を維持しつつ、消費者と環境双方にやさしい設計となっている。
パッケージ面では、循環型経済の原則を取り入れ、再生プラスチック(PCR)を使用。750gボトルではPCR比率100%、3,500gボトルでは80%を達成しており、年間約1,400トンのバージンプラスチック削減に貢献している。消費者に「使用効果・品質・環境責任」のトレードオフを強いることなく、責任ある消費を促進する設計思想が際立つ。
MRFリサイクルステーション——デジタル技術で循環を可視化
製品の使用後こそが、循環型経済の真の課題である。2026年4月からユニリーバ・ベトナムはホーチミン市でMRFリサイクル資源回収ステーションの運用を開始した。単なる回収拠点の増設ではなく、家庭での分別から回収・引き渡し・リサイクルまでの全プロセスを「Grac」アプリ上でデジタル化・データ化している点が最大の特徴である。これにより、各段階の実績を定量的に把握し、関係者間で透明性のある情報共有が可能となる。
エコシステム全体での責任共有
「Cuộc đại chuyển đổi 3P(3P大転換)」サミットの討論セッションに登壇したユニリーバ・ベトナム副社長(家庭用品部門担当)のブイ・ティ・タイン・フエン(Bùi Thị Thanh Huyền)氏は、「持続可能な発展は、長期的な誓約だけでなく、企業とパートナーのエコシステム全体が日々の業務にその目標を落とし込む実行力にかかっている」と強調した。
同氏は「ユニリーバは製品の処方・包装・製造・運営の全行程を継続的に改善し、環境負荷を削減すると同時に、消費者・家庭・コミュニティに実質的な価値を生み出している。しかし、持続可能な発展は企業からの一方的な要求であってはならない。バリューチェーン内のパートナーの基準と実行能力を同時に引き上げ、各リンクが基準を理解し、データを共有し、責任を分担することが不可欠だ。そうして初めて、持続可能性はエコシステム全体の共通能力となる」と語った。
また同社は、ベトナム政府および各パートナーとともにグリーン成長・循環型経済・持続可能な発展の目標に引き続き伴走する姿勢を示し、「ベトナムは重要な市場であるだけでなく、ユニリーバが長年にわたり根を下ろし、成長してきた国であり、長期的なコミットメントを続ける場所である」と表明している。
投資家・ビジネス視点の考察
ユニリーバは英蘭に上場するグローバル企業であり、ベトナム株式市場の上場銘柄ではないが、同社の動向はベトナムのFMCGセクター全体に波及効果をもたらす。以下の視点が重要である。
1. ESG・サステナビリティの実装が競争力に直結する時代:ベトナム政府は2050年ネットゼロ目標やEPR(拡大生産者責任)制度の導入を進めており、包装廃棄物の回収・リサイクルは法的義務化が進む。ユニリーバのようなグローバル企業が先行的にシステムを構築することで、現地サプライヤーやパートナー企業にも基準が波及し、バリューチェーン全体の底上げにつながる。ベトナム上場のプラスチック・包装関連企業(例:アンファット・バイオプラスチックス=AAA等)にとっては、再生プラスチック需要の拡大が事業機会となり得る。
2. 日本企業への示唆:ベトナムに進出する日系消費財・素材メーカーにとって、ユニリーバの循環型モデルは競合ベンチマークであると同時に、協業の可能性を示すものでもある。特にリサイクル技術やデジタルプラットフォーム分野での日本の技術力は親和性が高い。
3. FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に最終決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げにおいては、ESG基準への対応力が外国機関投資家の銘柄選定に影響する。ユニリーバのような多国籍企業がベトナム国内でESG実践の水準を引き上げることは、市場全体のESG評価向上にも間接的に寄与し、格上げ後の資金流入の受け皿としてベトナム市場の魅力を高める要因となる。
4. 循環型経済はベトナムの構造転換の柱:世界銀行やADBもベトナムのグリーン成長を支援しており、廃棄物管理・リサイクル分野への投資は今後も拡大が見込まれる。MRFのようなテクノロジー統合型の回収モデルが全国展開されれば、関連するITプラットフォーム企業や環境サービス企業にも恩恵が及ぶだろう。
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