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世界の外貨準備に占めるドルの比率56.8%に低下——ベトナム含む新興国の通貨戦略への影響を読む

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2025年末時点で、世界各国の中央銀行が保有する外貨準備高は総額13兆1,000億ドルに達した。そのうち米ドル建て資産が56.8%を占め、依然として圧倒的な地位を維持している。一方で、10年前の約65%から着実に低下しており、「脱ドル」の潮流は統計上も明確に表れている。この構造変化は、ベトナムを含む新興国の通貨政策や投資環境にも大きな示唆を与えるものである。

目次

IMFデータが示す世界の外貨準備構成(2025年第4四半期)

IMF(国際通貨基金)が公表するCOFER(公的外貨準備の通貨構成)データによると、2025年第4四半期時点の外貨準備における通貨別シェアは以下の通りである。

米ドル(USD)は7兆4,600億ドル、全体の56.8%を占めた。米国経済の規模の大きさ、米国債市場の高い流動性、そして原油をはじめとする主要コモディティがドル建てで取引されている現実が、この圧倒的な地位を支えている。ただし前述の通り、10年前の約65%からは明確な低下傾向にある。

ユーロ(EUR)は2兆6,600億ドル、全体の20.2%で世界第2位の準備通貨である。ユーロ圏の経済規模と欧州国債市場の流動性がその裏付けとなっている。ドルとユーロを合わせると全体の77%、すなわち4分の3以上を占める計算である。

日本円(JPY)は5.8%、英ポンド(GBP)は4.4%と、伝統的な先進国通貨が続く。

人民元の存在感は期待を下回る

注目すべきは中国人民元(CNY)の動向である。2025年第4四半期時点で、各国中央銀行が保有する人民元建て資産は約2,570億ドル、全体のわずか2.0%にとどまった。2022年に記録したピークの2.9%からむしろ後退しており、米中対立の激化や地政学リスクの高まりが人民元への信認拡大にブレーキをかけている格好である。

「脱ドル」の受け皿として人民元が台頭するというシナリオは、少なくとも外貨準備の観点からは実現していない。代わりに、カナダドル、豪ドル、スイスフランなど複数の中小通貨に分散する形で多様化が進んでいる。

ベトナムへの影響——ドン安定と外貨準備戦略

ベトナム国家銀行(中央銀行)にとって、外貨準備の通貨構成は為替安定政策の根幹に関わる問題である。ベトナムドン(VND)は事実上、ドルに対する管理変動相場制を採用しており、準備資産の大部分がドル建てとみられる。世界的な脱ドル多様化の流れは、ベトナムにとっても準備通貨の分散を検討する契機となり得る。

また、ベトナムは米国から「為替操作監視リスト」に繰り返し掲載されてきた経緯がある。外貨準備の積み増しや対米貿易黒字の拡大が監視対象の基準に抵触するためだ。ドル偏重の準備構成を見直すことは、対米関係のリスク管理という側面でも意味を持つ。

投資家・ビジネス視点の考察

第一に、ドルの基軸通貨としての地位は依然として揺るがないものの、長期的な比率低下トレンドは確認された。これはドル金利やドルインデックスの長期見通しに影響し、ひいてはベトナムドンの対ドルレートにも波及する。ベトナム株に投資する日本人投資家は、VND/JPYの為替リスクに加え、USD/VNDの変動にも注意が必要である。

第二に、人民元の伸び悩みはベトナムにとってプラスに働く可能性がある。中国への資金集中が起きにくい環境は、相対的にベトナムを含むASEAN諸国への資金分散を促す。2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、グローバルファンドの資金流入はさらに加速するだろう。

第三に、日本企業のベトナム進出においては、貿易決済通貨の多様化が実務上のテーマとなる。従来のドル建て決済に加え、円建てや現地通貨建ての取引が増える可能性があり、為替ヘッジ戦略の再構築が求められる局面である。

世界の外貨準備構成の変化は、一見するとマクロ経済の遠い話題に思えるが、ベトナム投資のリターンに直結する為替・金利・資金フロー全体の基盤を形成している。中長期の投資判断においては、こうした構造的な変化を常にウォッチしておくことが肝要である。


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出典: 元記事

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