こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。
少し前、ハノイ在住の知人から「子どもをインターナショナルスクールに入れたいんだけど、ホーチミンって実際どのくらいかかるの?」という質問を受けました。ハノイでも最近は外国人家庭の学校選びが話題になることが増えてきたので、少し調べてみたんです。
出てきた数字に、正直驚きました。
最高年間授業料は、約600万円
2026〜2027年度のホーチミン市のインターナショナルスクール授業料データを見てみると、最高水準を記録しているのはブリティッシュ・インターナショナル・スクール(BIS)で、12年生(高校3年相当)の授業料が年間9億9,930万VND、日本円にして約600万円に達しています。これは昼食代・交通費を含まない金額です。
一方、最も手頃な学校の下限が年間1億5,580万VND(約93万円)ですから、同じ「インターナショナルスクール」というカテゴリの中でも、最安と最高で6倍以上の開きがあることになります。
ホーチミン市には英国・米国・オーストラリアのカリキュラムを採用したインターナショナルスクールが30校近くあり、今年度のデータによると、ほとんどの学校が前年比3〜6%の授業料引き上げを実施しています。据え置きを選んだのは南米インターナショナルスクールと南オーストラリア州インターナショナルスコッチAGSの2校のみという状況です。
これは「外国人向けの話」では、もうなくなっている
ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのですが、ベトナムのインターナショナルスクールってかつては「駐在員の子どもが通う場所」という認識が一般的でした。私がハノイに来た頃も、そういうイメージは強かったと思います。
ところが今は違います。
現地ベトナム人の富裕層家庭が、積極的にインターナショナルスクールを選ぶようになっています。英語教育の質はもちろん、卒業後に海外大学への直接進学ルートが開けるという点が、ベトナム人親世代に強く響いているんですね。Aレベル資格、国際バカロレア(IB)、オーストラリア各州の資格といった国際的に通用する卒業資格を取れること——これは国内の大学受験一本道とはまったく別の選択肢です。
年間600万円の学費を払えるベトナム人家庭が一定数存在するという現実。これをどう受け止めるか。
消費と格差の両面を見ること
ベトナム経済を追いかけていると、「消費が伸びている」「中間層が拡大している」という話は毎年のように出てきます。それは事実なのですが、今回のデータが示すのは、単純な中間層拡大ではなく、上層部への富の集中という側面でもあります。
授業料9億VNDというのは、ベトナムの一般的なホワイトカラー労働者の年収をはるかに超えた水準です。国家統計局のデータによれば、ベトナムの一人当たりGDP(名目)は2025年時点でおよそ5,000〜6,000米ドル程度。授業料最高額の約600万円は、その10倍近い金額に相当します。
つまり、インターナショナルスクールの市場は「ベトナムが豊かになった」という一般論より、もっと特定層の話です。上位数%の高所得層と、ベトナム進出外資の駐在員家庭が支える市場——そこに向けて、学校側が価格決定力を発揮し始めているのが今の状況です。
それでも毎年3〜6%値上げしながら充足できているということは、その特定層の購買力が持続していることを示しています。
投資目線で見えてくること
ここからは少し投資的な見方の話です。
ベトナムの教育関連企業、特にプレミアム教育サービスを展開する民間企業は、国内消費の中でも比較的安定したセグメントをターゲットにしています。景気後退局面でも富裕層の教育投資は削られにくい——先進国でも新興国でも共通して見られる傾向です。
また、インターナショナルスクールの需要が増えるということは、外国人居住者の流入(≒FDI・外資系企業の進出継続)を間接的に示すシグナルでもあります。ハノイ・ホーチミンへの外資企業進出が鈍れば、駐在員の子弟需要は細る。逆に今のように授業料が上昇しても定員が埋まっているなら、外国人コミュニティの規模は維持もしくは拡大していると読めます。
マクロ経済の「肌感覚」を補完するデータとして、こういう生活コスト指標は意外と有用なんです。
ハノイと比べて思うこと
私はホーチミンではなくハノイ在住なのですが、ハノイのインターナショナルスクール事情も大きく変わってきています。タイ湖(Tây Hồ)エリア周辺には外国人家庭が多く住んでいて、スクールバスが朝夕走り回っている光景は日常の一部です。
ただ率直に言うと、年間600万円の教育費というのは、日本の私立中高一貫校のトップ水準と比べても遜色ない金額です。「ベトナムに来て生活コストを下げてFIREを目指す」という文脈で語られることが多いですが、子どもをインターナショナルスクールに入れる選択をした瞬間に、その前提は大きく変わります。
子どもの教育をどう設計するか——これは、海外在住の日本人家庭にとって、資産形成と同じくらい重要なテーマだと個人的には思っています。
そういうことなんです。
いかがでしたでしょうか。今回のホーチミン市インターナショナルスクール授業料の話、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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