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日本が廃食用油から航空燃料を製造へ—2030年に供給10%目標、ベトナムにも波及する脱炭素の潮流

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📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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日本が家庭から出る廃食用油を「一滴も無駄にしない」方針のもと、持続可能な航空燃料(SAF=Sustainable Aviation Fuel)の原料として活用する取り組みを加速させている。2030年までに国内航空燃料供給の10%をSAFで賄うという野心的な目標を掲げており、資源に乏しい日本ならではの「廃棄物の価値転換」戦略として国際的にも注目を集めている。このニュースはベトナムの経済メディアVnExpressでも大きく報じられた。

目次

廃食用油がジェット燃料に変わる仕組み

SAFとは、化石燃料ではなく、廃食用油や農業残渣、都市ごみなどのバイオマス資源を原料として製造される航空燃料の総称である。従来のジェット燃料と比べ、ライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を最大80%削減できるとされ、国際民間航空機関(ICAO)が推進する航空分野の脱炭素化の切り札と位置づけられている。

日本では、家庭の調理過程で生じる使用済みの食用油——いわゆる「廃油」——を回収し、水素化処理やフィッシャー・トロプシュ合成などの化学プロセスを経てSAFに転換する技術の実用化が進んでいる。日本の家庭から排出される廃食用油は年間約10万トンとも推定されており、これまでは飼料用や石鹸原料として一部が再利用されるにとどまっていた。政府はこの「眠れる資源」を航空燃料に昇華させることで、エネルギー安全保障と脱炭素の両立を図る狙いである。

2030年・供給10%目標の背景

日本政府が掲げる「2030年にSAF供給10%」という目標は、国際航空の脱炭素ロードマップに沿ったものである。欧州連合(EU)は「ReFuelEU Aviation」規則により、2030年までにEU域内の空港で供給される航空燃料の6%をSAFとすることを義務化しており、日本もこれに追随する形で目標を設定した。

ただし、課題は大きい。現在の日本国内のSAF生産能力は目標に対して大幅に不足しており、廃食用油だけでは原料が圧倒的に足りない。そのため、日本の石油元売り各社やスタートアップ企業は、海外からの廃食用油の輸入ルート確保にも動いている。ここにベトナムをはじめとする東南アジア諸国が重要なサプライヤーとして浮上してくるのである。

ベトナムとの接点——廃食用油サプライチェーンの可能性

ベトナムは外食文化が極めて盛んな国である。ハノイやホーチミン市の路上には無数の屋台や食堂が並び、揚げ物料理(春巻き、揚げ豆腐、バインゴイなど)は日常的に消費されている。こうした飲食業から排出される廃食用油の量は膨大であり、現状では適切な回収・リサイクルの仕組みが十分に整備されていない地域も多い。

実際、中国やインドネシア、マレーシアといったアジア諸国はすでにSAF原料としての廃食用油(UCO=Used Cooking Oil)の主要輸出国となっており、ベトナムもこの流れに参入する潜在力を持つ。日本企業がベトナムの廃食用油回収ネットワークに投資・提携する動きが今後加速すれば、ベトナムの環境関連ビジネスにとっても新たな成長機会となり得る。

また、ベトナム政府自身も2050年までのカーボンニュートラル達成を国際社会に公約しており、ベトナム航空(Vietnam Airlines、ティッカー:HVN)やバンブー・エアウェイズ(Bamboo Airways)といった国内航空会社もSAF導入に向けた検討を始めている段階である。

日本のSAF関連プレーヤーと技術動向

日本国内では、ENEOS(旧JXTGエネルギー)、出光興産、コスモ石油といった石油元売り大手がSAF製造プラントの建設計画を相次いで発表している。また、ユーグレナ(微細藻類由来のバイオ燃料で知られる)は、すでに国産SAFの実証供給を実施済みである。スタートアップのサステイナブル・アビエーション・ジャパンなども含め、官民一体での開発競争が激化している。

日本政府は、SAFの国内製造を後押しするための補助金制度や税制優遇措置の整備も進めており、航空会社に対してSAFの一定比率使用を義務付ける法制化も検討段階にある。こうした制度的な後押しがあることで、関連産業への投資妙味は今後さらに高まると見られている。

投資家・ビジネス視点の考察

本ニュースは直接的にはベトナム株式市場に関するものではないが、以下の観点から、ベトナム投資家やベトナム進出日本企業にとって重要な示唆を含んでいる。

①ベトナム関連銘柄への波及効果:SAF原料としての廃食用油需要が国際的に拡大すれば、ベトナムの廃棄物処理・リサイクル関連企業にとって新規ビジネスの機会となる。また、ペトロリメックス(Petrolimex、ティッカー:PLX)やPVオイル(PV OIL、ティッカー:OIL)といったベトナムの石油・燃料流通大手が、SAFの流通・貯蔵インフラを担う可能性もある。ベトナム航空(HVN)やビエトジェット(VietJet Air、ティッカー:VJC)も、SAF調達コストの動向が中長期的な収益構造に影響を与え得る。

②日系企業のベトナム進出機会:日本のSAFメーカーやプラントエンジニアリング企業が、原料調達先としてベトナムに拠点を設ける可能性がある。廃食用油の回収・精製を手がける日越合弁事業が生まれれば、ベトナムの環境産業の底上げにも貢献するだろう。

③ESG・グリーン投資の潮流:2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げが実現すれば、ESG基準を重視するグローバル機関投資家の資金流入が見込まれる。その際、環境関連事業への取り組みを積極的に進めているベトナム企業は評価が高まりやすい。SAF関連のサプライチェーンに参画する企業は、まさにこの文脈で注目される可能性がある。

④ベトナム経済全体のトレンド:ベトナムは「世界の工場」としての製造業だけでなく、グリーンエネルギー・環境技術分野でも存在感を高めつつある。風力・太陽光発電に続き、バイオ燃料のサプライチェーンに組み込まれることは、ベトナム経済の多角化・高付加価値化にとってプラスとなる。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事

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