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日本企業がベトナムを「AIエンジニア工場」にする——売れるネット広告社グループの新戦略

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

ベトナムのオフショア開発市場に、また一つ注目すべき動きが出てきました。日本のダイレクトマーケティング大手グループがベトナムのオフショア企業と手を組み、AI開発体制を一気に強化するというニュースです。今日はこの提携が持つ意味と、ベトナムIT産業全体への含意を考えてみたいと思います。

売れるネット広告社グループ×JV-ITホールディングス、業務提携の概要

2026年5月19日、ダイレクトマーケティング領域に特化した事業を展開する売れるネット広告社グループ株式会社(福岡市)が、ベトナムで100人超のエンジニア開発体制を持つオフショア開発企業・株式会社JV-ITホールディングス(東京・新宿)と業務提携契約を締結したと発表しました。

目的は明快です。「AIを活用したソフトウェア開発体制の強化」です。

売れるネット広告社グループは、傘下の売れるAIマーケティング社やSOBAプロジェクトを中心にAI活用を積極的に進めてきました。AI技術の進化に伴ってグループ内の開発案件が急増し、「AIを使いこなせるエンジニアの確保」が成長の鍵を握る課題になっていたといいます。そこに手を挙げたのが、ホーチミン市に開発拠点を置くJV-ITでした。

JV-ITの強みと「3%の離職率」という数字

ここで少し、JV-ITというオフショア企業について整理しておきます。

JV-ITホールディングスは、ホーチミン市内にJV-ITテックス(JV-IT TECHS)という開発拠点を展開しています。報道で特に目を引いたのが「離職率3%」という数字です。オフショア業界の平均を大きく下回ると強調されていますが、この点は私がハノイで13年暮らしてきた肌感覚と照らし合わせても、かなり際立った水準です。

ベトナムのIT人材市場は競争が激しく、優秀なエンジニアは常に好条件を求めて動きます。離職率の低さは、単なる福利厚生の問題ではなく、プロジェクトの継続性と品質管理に直結する指標です。発注側の日本企業にとっては、担当エンジニアが頻繁に入れ替わることへの不安が、オフショア活用を躊躇させる最大の理由の一つだからです。

さらに「全案件に日本人PMを配置する」という体制も特徴として挙げられていました。これもまた、日本のクライアントが求める「コミュニケーションの安心感」に応える設計です。

AIエンジニアのリソースプールを「現行比数倍に」

今回の提携で最も注目すべきは、数字の野心です。

SOBAプロジェクトが構築した開発手法やナレッジをベトナムの開発拠点に展開し、AIを活用できるエンジニアのリソースプールを「現行体制比で数倍に引き上げる」という目標が示されています。

「数倍」という表現はやや曖昧ですが、逆にいえばそれだけ急いでいるということです。AI案件のスピード感は従来の受託開発とは次元が違います。スプリントが週単位で回り、モデルのバージョンが月単位で変わる世界です。日本国内でそのスピードに対応できるエンジニアを確保しようとすれば、採用コストと人件費はとても見合いません。

ホーチミンのベトナム人エンジニアをAI開発のリソースとして組み込むことで、開発コストの最適化と速度の両立を狙っているわけです。

少し脱線しますが、私がハノイでベトナムのIT業界を観察していて感じるのは、この数年でベトナム人エンジニアの「AI慣れ」が急速に進んでいるということです。若い世代を中心にCopilotやCursorを使いこなし、AIを前提とした開発スタイルが標準化しつつある。ベトナムの平均年齢が32歳という人口構造が、このデジタル適応の速さに直結しています。

この提携が意味すること——「AI×オフショア」は次のフェーズへ

今回のニュースが投資家の視点から見て興味深い理由は、「オフショア開発」というビジネスモデルがAI時代にどう進化するかを示しているからです。

従来のオフショアは「人件費の差額を取る」モデルでした。日本の単価と比べてベトナムが安い、その差分が利益になる。この構造は今も生きていますが、それだけでは差別化できない時代になりつつあります。

AI開発の案件においては、「量の確保」だけでなく「AIを実際に使いこなせるか」が品質を左右します。今回の提携は、日本側のAI開発ノウハウをベトナムの開発体制に移転することで、ただ「安い」だけではない「AI-ready」なオフショアチームを作ろうとしています。

この動きはJV-IT一社の話にとどまりません。ベトナムのオフショア市場全体が「コスト競争」から「AI開発能力競争」へとシフトするトレンドを象徴しています。そしてこのトレンドは、FPTやCMCテクノロジーといったベトナム上場ITセクターの成長ストーリーとも重なります。

今後、こういった日本企業との提携案件の積み上がりが、ベトナムITセクターの企業価値にどう反映されていくか、継続して注目していきます。

そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回の売れるネット広告社グループ×JV-IT提携について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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