ハノイ在住13年の現地投資家による、より深い企業分析・投資戦略は👉 メンバーシップで公開中
世界の銀(シルバー)市場が2026年も供給不足に陥る見通しであることが、最新の業界レポートで明らかになった。6年連続の供給不足という異例の事態は、在庫の枯渇と相まって価格の急騰リスクを高めている。ベトナムの主要経済メディアもこのニュースを大きく報じており、コモディティ市場への関心の高さがうかがえる。
World Silver Survey 2026が示す需給逼迫の全体像
コンサルティング会社メタルズ・フォーカス(Metals Focus)と業界団体シルバー・インスティテュート(Silver Institute)が公表した「World Silver Survey」によれば、世界の銀市場は総需要が総供給を上回る状態が続いており、2026年は6年連続の供給不足になると予測されている。在庫水準は低位にあり、新たな供給逼迫局面に入る条件が整いつつある。
メタルズ・フォーカスのCEOであるフィリップ・ニューマン(Philip Newman)氏は報告書の中で、「供給逼迫の新たな局面を引き起こし得る条件はかなり明確だ。この状態がどれほど続くかはまだ分からないが、供給リスクが完全に消えたわけではないことは明らかだ」と指摘している。
銀価格は今年1月に121 USD/ozの高値を記録
銀価格は昨年末から今年初頭にかけて連続的に最高値を更新し、2026年1月には1オンスあたり121 USDという高水準に達した。ただし、取引のボラティリティが激しく、大幅な調整局面も複数回経験している。
英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)の報道によれば、昨年10月にはインドの祭事シーズンに伴う銀需要の急増が、ロンドン市場——世界最大級の現物銀の取引・保管拠点——で深刻な品薄状態を引き起こした。この結果、銀価格は当時の史上最高値となる50 USD/ozを突破した。ロンドンの倉庫で取引可能な銀の量が長年の供給不足により低水準に落ち込んでいたことに加え、銀ETF(上場投資信託)への買い入れが市場に流通する現物銀をさらに減少させたことが、この急騰の背景にある。
銀市場の構造的特性——金との違い
銀は金と同方向に動く傾向があるものの、値動きの振幅はより大きい。その主な理由は、中央銀行による準備資産としての裏付けが存在しないことにある。さらに、銀の総需要の半分以上は太陽光パネルや電子機器といった産業用途から来ており、これら産業の需要変動がダイレクトに価格に反映されるため、ボラティリティが高くなりやすい。
2025年の需給実績——需要減も供給不足は継続
報告書によれば、2025年(昨年)の世界の銀需要は前年比2%減少した。価格高騰が産業用途と宝飾品の双方の需要を圧迫したためである。とりわけ太陽光パネル向け需要は6%減少し、高騰する銀価格を嫌った製造業者が代替金属への切り替えを進めた。
一方、投資需要は堅調であった。銀地金・銀貨の購入量は前年比14%増加し、銀ETFへの純資金流入は3倍に拡大した。しかし、この投資需要の増加は産業用需要の落ち込みを補うには至らなかった。
供給サイドでは、鉱山生産とリサイクルの双方が増加し、全体で7%の供給増となった。それでも需要を満たすには不十分であり、世界の銀在庫は引き続き減少した。ただし、供給不足の規模は前年に比べて縮小している。
2026年の見通し——約4,600万オンスの供給不足を予測
報告書は、2026年も高水準の価格が需要を抑制するとみている。太陽光パネル向け需要は19%減、宝飾品向け需要は16%減が見込まれている。それでもなお、市場全体では約4,600万オンス(46 million oz)の供給不足が生じると予測されている。
「今後、供給逼迫が途切れなく続くわけではないが、市場全体の流動性は以前より低下し、銀のリース金利はより大きく変動し、価格の上下の振れ幅もここ数年より大きくなる可能性が高い」と報告書は結んでいる。
投資家・ビジネス視点の考察
このニュースはベトナムの経済メディアVnEconomyが大きく取り上げたものであり、ベトナム国内の投資家層がコモディティ市場、特に貴金属に対して高い関心を持っていることを示している。以下の視点で整理したい。
ベトナム株式市場への影響:ベトナムには銀の大規模採掘企業は上場していないが、太陽光パネル関連銘柄や宝飾品関連企業には間接的な影響がある。銀価格の高止まりは太陽光パネルの製造コストを押し上げ、ベトナムで急拡大する再生可能エネルギー投資のペースに影響を与える可能性がある。
日本企業への影響:日本の電子部品メーカーやソーラーパネルメーカーにとって、銀の供給逼迫は原材料コストの上昇要因となる。ベトナムに生産拠点を持つ日系メーカーも例外ではなく、代替素材への移行や調達戦略の見直しが一層求められる局面である。
FTSE新興市場指数格上げとの関連:2026年9月に決定が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、海外資金のベトナム市場への流入を加速させる。コモディティ価格の変動がベトナム経済のファンダメンタルズに与える影響は、格上げ後の市場安定性を占ううえでも注目すべきポイントである。
マクロ的な位置づけ:銀の供給不足は、世界的なグリーンエネルギー転換と資源制約という大きなテーマの一部である。ベトナムは太陽光発電の導入が急速に進んでいる国の一つであり、銀価格の高騰は同国のエネルギー政策にも中長期的に影響を及ぼし得る。投資家としては、貴金属価格の動向をベトナムの産業構造変化と結びつけて注視する必要がある。
いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。
ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
✅ 個別銘柄の詳細分析 ✅ FTSE格上げ関連速報 ✅ 現地だからわかるリアルタイム情報
👉 月額980円でメンバーシップに参加する
出典: 元記事












コメント