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韓国のテクノロジー企業City Oil Fieldが、廃プラスチックを油に転換する独自技術「RGO(Regenerated Green Oil=再生グリーンオイル)」をベトナムで本格展開する計画を発表した。ホーチミン市、ダナン、ハノイの3都市を皮切りに3段階で全国展開を目指すもので、ベトナムをASEAN地域における循環型経済の「グリーン輸出拠点」に位置づける野心的な構想である。
プロジェクトの全体像と実施体制
ベトナムでの実地展開を担うのは2つの法人である。一つはCity Oil Agency(ベトナムにおける公式代理プラットフォーム)、もう一つはホーチミン市に本社を置くGreen Credit Authority(GCA)だ。GCAは2026年5月18日にCity Oil Fieldと独占代理店契約を締結し、プロジェクトの直接的な実行責任を負う。
このプロジェクトは単なる環境事業ではなく、2つの独立した収益源を持つ循環型経済のビジネスモデルとして設計されている。技術面では韓国産業通商資源部が発行する「新優秀技術(NET)認証」(認証番号:제1383호)を取得済みであり、加えて国際的に認知されたISCC PLUS認証も保有している。ISCC PLUSは、BASF、Shell(シェル)、Total(トタル)、LG Chem(LGケム)といった世界的な化学・石油大手がリサイクル原料を購入する際の必須条件とされている。
なぜベトナムなのか——3つの要因の同時収束
City Oil Agency VietnamのCEO、トニー・チャン氏は、ベトナムを東南アジア初の展開地として選んだ理由について「3つの強力な力が同時に収束している」と説明する。
第一に、廃プラスチックの規模である。ベトナムは年間約300万トンのプラスチックごみを排出しており、一人当たりの排出量はアジアでも最も高い水準にある。RGOシステムは、通常のリサイクル施設が受け入れを拒否する混合・汚染プラスチックを処理できるよう設計されており、この300万トンが高品質リサイクル油の原料として数十万トン規模の生産ポテンシャルを意味するという。
第二に、EPR(拡大生産者責任)の法制化である。ベトナムでは既にEPRが法的に発効しており、数千の製造業者・輸入業者が包装材や使用済み製品に対する環境対応を迫られている。マーケティングで作られた需要ではなく、政策と顧客双方が駆動する実需であり、技術的に検証済みのソリューションを持つCity Oil Fieldにとって即座に参入可能な市場環境が整っている。
第三に、政府のプラスチックリサイクル率85%達成目標である。国家がこの水準の定量目標を設定すると、地方政府レベルで新技術を積極的に探す圧力が生まれる。チャン氏は「我々が一軒一軒営業に回る必要はない。むしろ招かれている」と述べている。
タイミングについては、RGO技術が試験段階を脱し、韓国産業通商資源部からNET認証を受けたことで、商業規模での即時展開に十分な信頼性を確保したことが決定打となった。
RGO技術の3つの競争優位性
世界各地でプラスチックから油への転換技術が開発されている中、City Oil Fieldの技術的差別化は以下の3点にある。
①セラミック熱分解炉「R-101」:コア技術であるRGOシステムは、300℃未満で安定的に運転するセラミック熱分解炉を採用している。通常の熱分解が400℃以上で稼働しダイオキシンやフランといった有害副生成物を不可避的に発生させるのに対し、R-101は反応原理そのものを根本的に再設計することで、ハロゲン化反応を抑制する。結果として回収率70〜90%の高純度油が得られ、低品位燃料に格下げされることなく世界の石油化学サプライチェーンに直接投入できる品質を実現する。
②混合・汚染プラスチックの無選別処理:欧米で普及する多くの競合技術は比較的均質な原料を必要とし、前処理コストが高い。一方、RGOシステムはPP、PET、LDPE、PVC、ビニル混合物といった実際の廃プラスチックの全スペクトルを複雑な前処理なしに受け入れ可能である。分別収集がまだ十分に普及していないベトナムのような市場では、この点が決定的な優位性となる。
③コンテナ型モジュール設計:システム全体が20フィートまたは40フィートの標準輸送コンテナに収納され、ASME第VIII条(圧力容器規格)に準拠している。固定工場施設や大規模な土木工事が不要であり、この技術的なダウンサイジングは「12〜24カ月では再現不可能な、長年のR&Dの成果」だとチャン氏は強調する。
ISCC PLUS認証が開くグローバル市場とカーボンクレジット
ISCC PLUS(国際持続可能性・カーボン認証)は、EU、韓国、日本、そして世界最大級の石油化学企業がリサイクル原料の購入時に必須条件とする認証フレームワークである。単なる「グリーンラベル」ではない。
ベトナムのパートナーにとっての実質的意義は大きい。City Oil Fieldのサプライチェーンに参加することで、輸出先の開拓をゼロから始める必要がなくなる。ISCC PLUS認証は収集から最終製品までの全チェーンをカバーしており、パートナー企業は初日からその商業的地位を享受できる。チャン氏は「他の事業者が独自に構築するには何年もかかる競争優位を、当社との提携を通じて即座にアクセスできる」と述べている。
さらに見逃せないのがカーボンクレジットの側面である。ISCC PLUSは循環型経済プロセス(廃棄物を有用な素材に転換する行為)を通じて生成されるカーボンクレジットの登録を可能にする。ベトナムが国内カーボン市場の構築とNet Zero 2050目標に向けて動いている中、通常の商業収益に加えてカーボンクレジットという追加的な価値を生み出せるビジネスモデルは極めて稀である。
3段階の展開ロードマップとパートナーシップ構造
ベトナムでの展開は明確に3段階に分かれている。
第1段階:ハノイ、ホーチミン市などの3大都市において、住宅地や商業施設に「Plastic EX」と呼ばれるプラスチック収集ステーションを設置する。原料供給網の構築と、住民のリサイクル行動変容の促進が目的である。
第2段階:都市郊外にRGO処理施設を稼働させ、収集した全プラスチックをリサイクル油に転換する。集中処理方式に伴う輸送コストを排除する狙いがある。
第3段階:EPRの枠組みの下、地方政府との提携を通じて全国規模に拡大する。
パートナーシップの形態については、チャン氏は「機械を売りに来たのではなく、バリューチェーンを構築しに来た」と明言する。City Oil Fieldが技術・国際認証・輸出市場へのアクセスを提供し、ベトナム側パートナーが収集ロジスティクス・地方政府との関係・国内サプライチェーンの知見を持ち寄る合弁運営(JV)モデルを想定している。フランチャイズや設備売り切りではなく、双方による真の共同投資という位置づけである。GCAがこうしたパートナーシップ関係の構築を積極的に進めており、参入ポイントを整備している。
投資家・ビジネス視点の考察
本プロジェクトは複数の観点からベトナム市場に注目する投資家にとって示唆に富む。
循環型経済・ESG関連テーマの具体化:ベトナムではEPR法制化やNet Zero 2050宣言など、グリーン政策が急速に具体化している。廃棄物処理・リサイクル分野は、不動産やIT以上に今後の政策支援を受けやすいセクターとして注目に値する。ベトナム株式市場においても、環境関連事業を手掛ける企業や、EPR対応コストの恩恵を受けるリサイクル関連銘柄への波及効果が期待される。
日本企業への示唆:日本はベトナムにおける最大級のODA供与国であり、環境分野での協力実績も豊富である。廃棄物処理技術を持つ日本企業にとって、City Oil Fieldのモデルは競合であると同時にベンチマークともなる。また、ベトナムに製造拠点を持つ日本のメーカーはEPR義務の当事者でもあり、RGOのようなソリューションとの連携が現実的な選択肢として浮上する可能性がある。
FTSE新興市場指数との関連:2026年9月に判断が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げが実現すれば、海外からの資金流入が加速し、ESG基準を満たすプロジェクトや関連銘柄の評価がさらに押し上げられる可能性がある。ISCC PLUSやNET認証といった国際基準を備えた事業は、格上げ後のベトナム市場でグローバル機関投資家の投資基準に合致しやすいという利点を持つ。
リスク要因:一方で、技術の商業規模での実績がベトナム国内ではまだ存在しないこと、原料となるプラスチックの安定供給体制が未構築であること、そして地方政府との連携が計画通りに進むかは不確実性が残る。また、韓国のスタートアップが東南アジアで展開する際の文化的・制度的障壁も考慮が必要である。投資判断においては、第1段階の実績が可視化される段階まで注視する姿勢が賢明であろう。
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出典: 元記事












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