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韓国の観光産業が、K-popを筆頭とする韓流(Hallyu)コンテンツを原動力に過去最高の外国人観光客数を記録している。2026年3月の訪韓外国人は200万人超と前年同期比26.7%増を達成し、コロナ前の水準を大きく上回った。この波はベトナム市場にも直結しており、ベトナムからの訪韓客は急成長グループに位置づけられている。ベトナムの旅行業界や航空関連セクターへの波及効果にも注目が集まる。
BTS復帰が起爆剤――2026年3月の訪韓客が200万人突破
韓国文化体育観光部によれば、エンターテインメントと連動した観光が韓国の観光経済における最重要ドライバーの一つに成長している。従来型の「名所巡り」ではなく、アーティストの公演スケジュールを軸に旅行計画を立てる観光客が急増しているのだ。
2026年3月の訪韓外国人は200万人超を記録。前年同期比26.7%増で、コロナ前の水準をも凌駕した。この急伸の最大の要因は、世界的K-popグループBTS(防弾少年団)の約4年ぶりの活動再開であり、世界各国からファンがソウルに殺到した。
国別内訳――ベトナムは「最も成長が速い市場」の一角
2026年3月の国・地域別訪韓客数は以下のとおりである。
- 中国大陸:50万1,000人(首位)
- 日本:48万2,000人
- 台湾:19万2,000人
- 米国:15万2,000人
- ベトナム:7万5,000人(最速成長グループ)
ベトナムからの訪韓客は2026年第1四半期全体で16万7,000人超に達し、前年同期比約30%増という高い伸びを示した。MICE(会議・報奨旅行・国際会議・展示会)分野でも、韓国観光公社(KTO)ベトナム事務所が第1四半期に支援した団体客は5,485人と、前年同期の4,505人から21.75%増加している。
K-popコンサートが航空・ホテル需要を直接押し上げる構造
K-popの大型公演シーズンには、会場周辺のホテルが軒並み満室となり、航空各社の予約数も急増する。多くの観光客が航空券・ホテルをコンサート日程に合わせて予約しており、従来の「観光→宿泊」という因果関係が「公演→渡航→消費」へと変化している点が特徴的である。
ソウルでは弘大(ホンデ)や江南(カンナム)といったエンタメ産業の集積地が外国人観光客の定番スポットとなっている。旅行各社はK-pop専門ツアーを造成し、芸能事務所本社、撮影スタジオ、アイドルカフェ、MVロケ地などを巡る行程を提供。グッズショップやテーマカフェ、ファン交流スペースといったエコシステムも拡大中である。
ソウル以外でも、済州島(チェジュド)はMVや映画・バラエティ番組のロケ地として、釜山(プサン)は文化フェスティバルや大型音楽イベントの開催地として、それぞれ集客力を高めている。
在韓外国人258万人が「観光大使」に――韓国観光公社の新戦略
2026年5月13日に公表された韓国観光公社の調査によると、韓国に居住する外国人は約258万人に達し、総人口の約5%を占める。このうち66.3%が「母国の友人・親族を韓国に招待する計画がある」と回答した。韓国観光公社AI観光データチームのキム・ソンウン(Kim Sung-eun)チーム長は、在韓外国人が国内観光市場の重要な消費者であると同時に、韓国の魅力を海外に発信する「大使」としての役割を果たしていると評価している。
ベトナム人向け10年マルチビザ導入――訪韓リピーター増加へ
韓国政府は2026年3月30日より、ハノイ、ホーチミン市、ダナンに戸籍を有するベトナム国民を対象に、有効期限10年の数次ビザ(マルチプルエントリービザ)の発給を開始した。この政策は、個人旅行(FIT)客やリピーター層のニーズに直接応えるものであり、韓国がベトナム市場にとって「行きやすく、何度でも訪れたい目的地」としての地位を固める狙いがある。
ベトナムには韓国に嫁いだベトナム人花嫁も多く、彼女たちが両国間の「観光の架け橋」として機能している点も見逃せない。
ベトナム旅行各社がツアー刷新――KTO主催コンテストで革新的商品が続々
「行ってみるだけ」から「深い体験」へと旅行者のニーズが変化するなか、KTOベトナム事務所は2026年韓国旅行商品デザインコンテスト「Đổi sắc hành trình, Mở trời trải nghiệm(行程に新たな色を、体験に新たな空を)」を開催。ベトナムの旅行会社に対し、従来の定番ルートから脱却した革新的ツアーの設計を促した。
受賞した10作品の一部を紹介する。
- Hanoi Tourism:ソウルの聖水洞(ソンスドン)の最先端カルチャーとエンタメ体験を組み合わせた「Dive in Korea Tour」
- Tugo Travel:文化とエンタメの多様性を俯瞰する複数都市周遊ツアー
- HanoiSkyTours:釜山のスカイカプセル(海上モノレール)と全州(チョンジュ)韓屋村の歴史体験を融合
- Saigontourist Travel:高速鉄道KTXで慶州(キョンジュ)の古都遺産とソウルの現代文化を結ぶ旅
- TAS Media Tours:慶州・三光寺(サムグァンサ)でのヒーリング体験と釜山の港町ライフを組み合わせた「Unique Korea Tour」
- Vietrantour:鉄道で水原(スウォン)、世宗(セジョン)、全州、光州(クァンジュ)、木浦(モッポ)を巡るローカル文化発見ルート
こうした大手旅行会社の参入により、ベトナム人旅行者はクルーズ体験やユニークな建築の宿泊施設など、個人旅行の上級者でも発見しづらい深い体験にアクセスできるようになる。
投資家・ビジネス視点の考察
本ニュースは韓国の観光産業に関する内容だが、ベトナム側の経済・投資にも複数の示唆がある。
1. ベトナム航空関連銘柄への追い風。訪韓ベトナム人客が前年同期比30%増で推移していることは、ベトジェットエア(VJC)やベトナム航空(HVN)、さらにはバンブー・エアウェイズといったベトナム系キャリアのハノイ/ホーチミン―仁川路線の搭乗率向上に直結する。10年マルチビザの導入はリピーター需要を構造的に押し上げるため、中長期的な路線収益の安定化要因となりうる。
2. ベトナム旅行会社セクター。Saigontourist、Vietravel(VTR)など上場旅行会社がアウトバウンド韓国ツアーの高付加価値化を進めており、客単価の上昇が期待できる。MICE需要の拡大も法人向け旅行の利益率改善に寄与する。
3. 韓流消費とベトナム小売市場。韓国コンテンツへの親和性が高いベトナムの若年層は、帰国後も韓国ブランドの消費を継続する傾向がある。韓国系コスメ・ファッション・食品を扱うベトナム国内の小売チェーンやECプラットフォームにとってもプラス材料である。
4. FTSE新興市場指数格上げとの関連。直接的な関連は薄いものの、ベトナムの観光・航空セクターの業績改善は市場全体のEPS成長に寄与し、2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げ判断においてもポジティブな材料となる。海外投資家がベトナム市場を評価する際、内需セクターの成長ストーリーは重要な判断要素である。
5. 日本企業への示唆。日本はベトナムからの訪韓客に次ぐ規模で韓国を訪問しているが、韓国が「エンタメ×観光」で打ち出す戦略は、日本のインバウンド政策にとっても参考になる。また、ベトナムで事業展開する日系旅行会社(HIS、JTBなど)にとって、韓国ツアーの造成・販売はベトナム市場での収益多角化の手段となりうる。
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ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
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出典: 元記事












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