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ベトナム国内で暗号資産(仮想通貨)を悪用した詐欺事件が後を絶たない。高金利や高額な紹介手数料を謳う投資プロジェクトを立ち上げ、外国人を雇って「国際的な専門家」を演じさせたり、政府高官や公的機関の画像を無断で使用して信頼性を装ったりするなど、手口は年々巧妙化している。捜査当局はこのほど、暗号資産市場で頻発する典型的な詐欺の手口を3つのパターンに整理し、投資家に注意を呼びかけた。
巧妙化するベトナムの暗号資産詐欺の実態
ベトナムでは近年、スマートフォンの普及とデジタル金融リテラシーの向上を背景に、個人投資家の間で暗号資産への関心が急速に高まっている。しかし、その裏では法整備の遅れや金融知識の不足を突いた詐欺グループが暗躍しており、社会問題化している。捜査機関の分析によれば、詐欺グループは主に以下の3つの典型的なシナリオを使い分けて被害者を誘い込んでいるという。
シナリオ1:高利回りを謳う投資プロジェクトの創設
最も多いのが、実態のない、あるいは実体を大幅に誇張した暗号資産プロジェクトを立ち上げ、「元本保証」や「月利〇%」といった非現実的な高利回りを約束する手口である。多くの場合、初期段階では実際に配当や利息を支払い、投資家の警戒心を解いた上で、投資額を積み増しさせたところで資金を持ち逃げする、いわゆる「ポンジ・スキーム(自転車操業型の詐欺)」の構造を取っている。さらに、既存の投資家に新規の勧誘者を紹介させ、紹介料や高額なコミッションを支払うマルチ商法(ネズミ講)的な仕組みを組み合わせるケースも目立つ。友人や親族からの紹介であることが多いため、被害者は疑うことなく資金を投じてしまう傾向がある。
シナリオ2:外国人を雇い「国際専門家」を演出
2つ目の手口は、外国人を金銭で雇い入れ、あたかも国際的な金融専門家やブロックチェーン技術者であるかのように振る舞わせるという、視覚的な信頼演出である。セミナーやオンラインイベントに外国人を登壇させ、流暢な英語や専門用語を交えたプレゼンテーションを行わせることで、プロジェクトに国際的な権威と信頼性があるかのように錯覚させる。ベトナムの投資家の間には「外国人=専門性が高い」「海外発の技術は信頼できる」という一種のバイアスが根強く存在しており、詐欺グループはこの心理を巧みに利用している。
シナリオ3:政府要人や公的機関の画像を無断使用
3つ目の手口として特に悪質なのが、国家指導者や政府機関、公的機関の職員の画像・肩書を無断で使用し、あたかも当局の認可や後援を受けているかのように偽装するケースである。SNSやウェブサイト上で政府高官との「面会写真」を合成したり、公的機関のロゴを無断で掲載したりすることで、プロジェクトの正当性を演出し、投資家の警戒心を根本から解いてしまう。こうした偽装は名誉毀損や国家機関の権威を傷つける行為にもあたり、法的にも重大な問題をはらんでいる。
当局の対応と投資家への呼びかけ
捜査当局は、これら3つのシナリオが単独で用いられることもあれば、複合的に組み合わされて使われることもあると指摘している。特に暗号資産は国境を越えた取引が容易であり、匿名性も高いことから、資金の流れを追跡することが難しく、被害の回復が困難なケースが多い。当局は投資家に対し、「元本保証」「高利回り確約」を謳う投資案件には慎重に対応すること、プロジェクトの実態や運営主体の正当性を独自に確認すること、著名人や公的機関の関与を謳う場合は必ず公式ルートで真偽を確認することなどを呼びかけている。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナムの暗号資産市場は法整備が発展途上にあり、2024年以降、政府はデジタル資産に関する法制度の整備を進めている段階にある。こうした過渡期においては、規制の網をかいくぐる形で詐欺的スキームが横行しやすく、今回報じられた3パターンはその典型例と言える。日本からベトナムへの投資や進出を検討する企業・個人投資家にとっても、この種の詐欺情報は他人事ではない。特にベトナムでは日本企業や日本人に対する信頼度が高いことから、今後「日本人になりすます」「日系企業を騙る」詐欺が発生するリスクも否定できず、注意が必要である。
また、ベトナム株式市場は2026年9月に予定されるFTSE新興市場指数への格上げが期待されており、海外資金の流入拡大が見込まれる局面にある。こうした中で暗号資産詐欺のようなネガティブな金融犯罪が頻発すれば、投資家全体の心理に水を差し、ベトナム金融市場への信頼性に影響を及ぼしかねない。正規の証券市場・株式投資と、規制の緩い暗号資産市場とを明確に区別し、投資対象を見極める姿勢がこれまで以上に重要になってくるだろう。ベトナム政府としても、健全な資本市場の発展とFTSE格上げに向けた国際的信認の獲得を目指す上で、こうした金融犯罪の取り締まり強化は避けて通れない課題となっている。
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ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
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