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米国のトランプ大統領が、米国に輸入される医薬品に対して段階的に関税を引き上げ、最終的に200%の関税を課すという方針を発表した。ジェネリック医薬品(後発医薬品)を中心に、数年かけて関税をゼロから200%まで引き上げることで、製薬各社に生産拠点を米国内に移転させることを狙う政策だ。これは単なる貿易措置ではなく、米国の医薬品サプライチェーンを国内に取り戻すという、トランプ政権が繰り返し掲げてきた「製造業の国内回帰(リショアリング)」戦略の一環である。
トランプ氏が示した関税ロードマップの内容
報道によれば、トランプ氏は医薬品の対米輸入関税について、即座に200%を課すのではなく、段階的な引き上げスケジュールを設ける方針を明らかにした。現在ゼロに近い水準にある関税を、数年間にわたって徐々に引き上げていき、最終的には200%という極めて高い水準まで到達させる計画だという。この「猶予期間」を設ける狙いは明確だ。製薬企業に対し、米国外(特にインドや中国、欧州など)に構えている生産拠点を、時間をかけて米国内に移設する準備期間を与えるという意図がある。
トランプ政権は就任以来、半導体や自動車、鉄鋼など複数の産業分野で同様の関税戦略を採用してきたが、医薬品分野でこれほど高い関税率が明示されたのは今回が初めてに近い。新型コロナウイルス流行時に、米国が医薬品や医療用防護具の多くを中国やインドからの輸入に依存していた実態が浮き彻となり、それ以降、医薬品サプライチェーンの安全保障(ヘルスセキュリティ)という観点から国内生産を強化すべきだという声が米議会や産業界から強まっていた。今回の政策発表は、その延長線上にあるとみることができる。
世界の製薬業界へのインパクト
ジェネリック医薬品市場は、インドや中国が世界的なシェアを握っており、米国市場向けの原薬(有効成分)や最終製剤の多くもこれらの国で生産されている。200%という関税が実際に適用されれば、米国内での医薬品価格上昇や、一部薬剤の供給不足につながるリスクも指摘されている。一方で、米国内に生産拠点を持つ大手製薬企業や、これから米国内投資を計画している企業にとっては、競争環境が大きく変化する可能性がある。
ベトナムへの直接的な影響は限定的だが無関係ではない
ベトナムは現時点でジェネリック医薬品や原薬の対米輸出において、インドや中国と比較すると規模は小さい。しかし、ベトナム国内の製薬企業(例えばハウザン製薬(DHG Pharma)やイメクスファーム(Imexpharm)、DHT製薬などが挙げられる)にとっても、今回の政策は無視できないシグナルとなる。米国が医薬品サプライチェーンの多角化・国内化を進める中で、中国やインドからの供給リスクを分散させたい米国企業や政府が、ベトナムを含む「チャイナプラスワン」的な生産拠点候補として再評価する可能性もゼロではない。
投資家・ビジネス視点の考察
ベトナム株式市場(VN指数)における製薬セクターは、内需中心のディフェンシブ株として位置づけられており、対米輸出比率が高い企業は限られる。そのため、今回のトランプ発言による直接的な株価インパクトは限定的とみられる。ただし、中長期的な視点では、米国が医薬品サプライチェーンの脱中国・脱インド依存を進める中で、ベトナムが原薬生産や医薬品製造の新たな受け皿として注目される可能性があり、これは日本企業にとっても他人事ではない。日本の製薬・化学メーカーがベトナムに合弁工場を設立する動きが今後加速すれば、ベトナム製薬関連銘柄の再評価につながるシナリオも考えられる。
また、2026年9月に予定されているFTSE新興市場指数への格上げ判断とも関連付けて考える必要がある。ベトナム市場全体への海外資金流入が期待される中、米国の保護主義的な通商政策が強まることは、ベトナムの輸出主導型経済にとって一部リスク要因となる一方、サプライチェーン再編の受益国となる可能性という「両面性」を持つ点は投資家として押さえておきたいポイントだ。ベトナム政府としても、米国との貿易摩擦を回避しつつ、こうした産業移転の波をどう取り込むかが今後の政策運営の重要な論点となるだろう。
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出典: 元記事












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