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EU、中国発の低価格小包に最低3ユーロの手数料を導入——ベトナムの越境EC企業への波及は

EU áp phí tối thiểu 3 euro với kiện hàng giá trị thấp từ Trung Quốc
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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2025年7月1日より、EU(欧州連合)が中国から輸入される低価格小包に対し、1件あたり最低3ユーロの手数料を課す新制度を開始した。Temu(テム)やShein(シーイン)、AliExpress(アリエクスプレス)といった中国系越境ECプラットフォームを直撃する措置であり、ベトナムの輸出産業や越境EC関連企業にとっても無視できない動きである。

目次

新制度の概要——何が変わったのか

EUは2025年7月1日付で、域外から送られる低価格小包(いわゆる「デミニマス貨物」)に対して、1件あたり最低3ユーロの通関手数料を課す制度を正式に施行した。これまでEUでは、150ユーロ以下の小包には関税が免除される「デミニマス・ルール」が適用されていた。中国系ECプラットフォームはこの免税枠を最大限に活用し、極めて安価な商品を個別発送することで関税を回避してきた。EUはこの構造に対し、公正な競争環境の確保と域内産業の保護を理由に規制強化に踏み切った形である。

3ユーロという金額は一見小さいが、商品単価が数ユーロ程度の超低価格品にとっては、原価に匹敵する、あるいはそれを上回る負担となる。たとえば2ユーロのスマートフォンケースに3ユーロの手数料が上乗せされれば、消費者が支払う総額は2.5倍に膨れ上がる。これにより、中国系ECプラットフォームの「超低価格戦略」は根本から見直しを迫られることになる。

背景——なぜEUは動いたのか

EUが今回の措置に踏み切った背景には、複数の要因がある。第一に、中国系ECプラットフォームからの小包が爆発的に増加し、EU域内の税関・物流インフラに深刻な負荷をかけていたことが挙げられる。欧州委員会の推計によると、域外から届くデミニマス小包の数は年間40億件を超え、その大半が中国からの発送であるとされる。

第二に、域内の中小企業や小売業者からの不満が高まっていた。域内で製造・販売を行う企業はVAT(付加価値税)や各種規制を遵守しているのに対し、中国から直送される低価格品はデミニマス枠を利用して事実上の「税逃れ」を行っていると批判されてきた。フランスやドイツなど主要加盟国の産業団体は、長年にわたりこの不公平の是正を求めてきた経緯がある。

第三に、米国のトランプ政権がすでに中国製品への関税を大幅に引き上げ、さらにデミニマス免税枠の廃止に踏み切ったことが、EUの政策決定を後押しした。米中貿易摩擦が激化する中、EUも独自の通商防衛策を講じる必要性に迫られていた。

中国系ECプラットフォームへの影響

今回の措置で最も大きな打撃を受けるのは、Temu、Shein、AliExpressといった中国系越境ECプラットフォームである。これらのプラットフォームは、中国国内の工場から消費者に直接商品を発送する「工場直送モデル」を採用しており、中間マージンを極限まで削減することで驚異的な低価格を実現してきた。しかし、1件3ユーロの手数料が加われば、数ユーロ以下の商品群の競争力は大きく損なわれる。

すでにTemuは欧州市場向けの価格体系の見直しに着手していると報じられており、一部商品の最低注文金額を引き上げる動きも出ている。また、EU域内に倉庫を設置し、まとめて輸入した上で域内から配送する「フルフィルメントモデル」への転換を加速させる可能性も指摘されている。

ベトナムへの影響——チャンスとリスクの両面

一見すると、今回のEUの措置はベトナムに直接関係しないように見える。しかし、複数の経路を通じてベトナム経済に波及する可能性がある。

まず「チャンス」の側面として、中国からの直送品の競争力が低下することで、ベトナムで製造された衣料品や雑貨などがEU市場で相対的に有利になる可能性がある。ベトナムはEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の恩恵を受けており、多くの品目でEU向け関税が段階的に撤廃されている。中国系ECの超低価格品が減少すれば、EVFTAを活用したベトナム製品の競争力が一段と高まることが期待される。

一方で「リスク」の側面も無視できない。中国系ECプラットフォームが関税回避のために「ベトナム経由」で商品を出荷する迂回貿易が増加する懸念がある。すでに米国向けでは、中国製品がベトナムを経由して原産地を偽装するケースが問題視されており、EUが同様のパターンに対して警戒を強める可能性がある。ベトナム政府としても、迂回貿易のハブとして利用されることを防ぐための監視体制の強化が求められる。

また、ベトナム国内でもTemu、Shein、TikTok Shopなどの越境ECプラットフォームが急速に浸透しており、ベトナム政府自身も低価格輸入品への課税強化を検討している。EUの今回の措置は、ベトナム当局にとっても参考となる政策モデルとなり得る。

投資家・ビジネス視点の考察

今回のEUの措置は、以下の観点からベトナム株式市場や関連企業に影響を及ぼし得る。

1. ベトナム繊維・アパレル関連銘柄へのプラス材料:EU市場で中国系ECの超低価格衣料品が後退すれば、ベトナムの繊維・アパレル輸出企業にとって追い風となる。ビナテックス(Vinatex、VGT/ベトナム繊維公団)やTNG投資商業(TNG)といった銘柄が恩恵を受ける可能性がある。

2. 物流・EC関連企業への影響:越境ECの構造変化に伴い、ベトナム国内の物流インフラや倉庫需要にも変化が生じる可能性がある。ジェマデプト(Gemadept、GMD)やベカメックス(Becamex IDC、BCM)など、物流・工業団地関連銘柄は中長期的に注目に値する。

3. 日本企業への示唆:ベトナムに生産拠点を持つ日本企業にとって、EVFTA経由でのEU市場アクセスの価値が相対的に高まる局面である。「チャイナ+ワン」戦略の一環としてベトナムを活用する日本企業には、間接的な追い風と言える。

4. FTSE新興市場指数への格上げとの関連:2026年9月に判断が見込まれるベトナムのFTSE新興市場指数への格上げは、ベトナム市場全体の流動性と注目度を高める。今回のEU措置による貿易構造の変化は、ベトナムの輸出基盤の底上げにつながり得るものであり、格上げ後の市場評価にもプラスに作用する可能性がある。

ただし、迂回貿易リスクが顕在化した場合、EUがベトナム製品に対して追加的な原産地確認措置を課す可能性もあり、この点は引き続き注視が必要である。


いかがでしたでしょうか。今回のニュースについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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出典: 元記事(VnExpress)

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