MWG傘下バッハホアザン、2028年上場へ加速——ハノイ初出店と利益率改善が示す変化

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

バッハホアザンが、本格的に動き出しました。

5月8日にモバイルワールドグループ(MWG)が開催した2026年第1四半期の投資家向け説明会で、傘下の食品・日用品チェーン「バッハホアザン(Bach Hoa Xanh)」についていくつか注目すべき発表がありました。年間1,000店舗という規模での出店加速、ハノイへの初進出、そして2028年を目指すIPO計画。今回はこれらの内容を、ハノイ在住13年の現地感覚も交えながら整理していきます。

年間1,000店舗という数字の意味

MWGのCEO、ヴー・ダン・リン氏は説明会で、バッハホアザンが2026年に約1,000店舗の新規出店を計画していると明かしました。氏は「状況が良ければこの数を超える可能性もある」と付け加えており、上振れも射程に入れています。

2026年第1四半期だけで280店舗が新規オープンしていることを考えると、これは絵に描いた計画ではありません。年間1,000店舗というのは、1日あたり約2.7店舗をオープンし続けるペースです。店舗の選定、テナント契約、仕入れ体制の整備、スタッフの採用と教育——それを毎日回し続けるのは、相当な組織力が必要です。

特徴的なのは店舗配置の戦略です。2026年の新規出店のうち、約半数は引き続き南部地域に集中させる計画ですが、残りの半数を北部と中部に振り分けるとしています。これはバッハホアザンが「南部のチェーン」から「全国のチェーン」へと軸を移していく意志の表れとして読めます。

ハノイ初出店が持つ象徴的な意味

今回の発表の中で、個人的に最も注目したのがこの点です。バッハホアザンがハノイに初の店舗を出店しました。

バッハホアザンはもともとホーチミン発祥のチェーンです。南部の市場文化に適した品揃え、価格帯、店舗設計で成長してきました。そのチェーンがハノイに来るというのは、単なる地域拡大ではなく、「北部の消費者にも通用するか」というビジネスモデルの検証でもあります。

ハノイ在住の私から見ると、この街の食品・日用品小売市場はまだ混戦状態です。地域の市場(マーケット)、個人経営の食料品店、VinMart系列のスーパー、そして急増するコンビニエンスストア。それぞれが住み分けながら共存していて、大型チェーンが一気に席巻するような状況にはなっていません。

その中にバッハホアザンが入ってきたわけです。Vietcapのレポートによると、北部地域の店舗は規模こそ南部より小さいものの、購買力は非常に高いとのこと。MWGの経営陣も「北部の業績は他の2地域と同等になる」と見込んでいます。実際に店頭でどんな商品を並べてくるのか、価格帯はどう設定してくるのか、ハノイ在住者として実際に確かめに行く予定です。

利益率の改善と、グループ全体の体力

財務面での動きも確認しておきます。

バッハホアザンの2026年第1四半期の純利益率は2.9%に達しました。2025年第4四半期の2.4%から着実に改善しています。製品の劣化ロス削減、光熱費の管理、物流コストの最適化など、複数のコスト項目にわたる地道な改善が積み上がっているとのことです。

ただし、Vietcapは「主要なコスト改善策はすでに完了しており、今後の改善余地は小さくなる」とも指摘しています。これは率直な評価で、今後の利益成長は売上規模の拡大と営業レバレッジの効き方に依存していくことを示唆しています。

MWGグループ全体では、2026年の税引き後利益目標を約9兆2,000億VND(日本円換算で約552億円)と設定しており、これは前年比30%増に相当します。Vietcapのアナリストはこの目標を上回ると予想しており、グループ全体の体力は充実しています。成長の主エンジンはディエンマイザン(Dien May Xanh)の電子機器・ICTセグメントですが、中期的にはバッハホアザンをもう一本の柱に育てていくという方向性は、今回の発表からも明確に読み取れます。

2028年IPO計画の読み方

今回の最大の注目点は、バッハホアザンのIPO計画が具体的な時間軸とともに示されたことです。

MWGの経営陣は「今後3年以内、具体的には2028年のIPOを目指す」と明言しました。ただし、これには条件がついています。累積損失の解消を完了し、収益性の高い事業実績を継続して維持できるかどうかです。

バッハホアザンは2025年に黒字転換し、2026年もプラスを維持する見込みです。経営陣は「累積損失の解消を早期に完了させることがIPO計画の迅速な進展につながる」と述べており、2027年中の損失解消完了が2028年上場実現の鍵を握る構図になっています。

IPO後の方針も注目です。上場後は配当よりも再投資を優先し、規模拡大と業務効率の強化に資金を充てる方針とのこと。「成長企業」としての性格を維持する意志を、経営陣は明確に打ち出しています。

ベトナムの食品・日用品小売市場は、まだ成長の初期段階にあります。チェーン化率は先進国と比べてはるかに低く、バッハホアザンが全国1万店舗規模にまで成長していく余地は十分に残っています。そういう文脈でこのIPO計画を眺めると、2028年という時間軸が持つ意味の大きさを感じます。

今後のポイント

整理すると、バッハホアザンの今後を判断する上でウォッチすべき数字は明確です。

累積損失の解消ペースがどこまで加速するか。新規出店した北部店舗が、南部店舗と同等の業績を出せるか。そして毎月の既存店売上成長率が2026年後半にかけてどう推移するか。これらが2028年IPO実現の確度を左右する指標として、引き続き追っていく価値があります。

MWGはすでにHOSE上場企業として注目されていますが、バッハホアザン単独の動向まで深く追えている日本人投資家はまだ少ないと感じます。今回の発表はその意味でも、改めてアンテナを立てておくきっかけになりました。

次の四半期決算と、北部店舗の業績データが出てくるタイミングを楽しみにしています。


いかがでしたでしょうか。今回のバッハホアザン出店加速・IPO計画について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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