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【ベトナム株】マサングループが2026年利益目標を上方修正、タングステン高騰が追い風に

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

マサングループ、2026年通期利益目標を大幅上方修正

ベトナムの大手コングロマリット、マサングループ(HOSE:MSN)の取締役会が、2026年通期の連結事業計画を上方修正する案を承認しました。背景にあるのは、タングステン価格の急騰と主要事業セグメントの好調な業績です。

改訂案によると、2026年の税引き後利益目標は10兆~11兆5000億VND(日本円換算で約606億~697億円)に引き上げられました。従来の計画では7兆2500億~7兆9000億VND(約439億~479億円)だったので、上限ベースで最大3兆6000億VND、日本円にして約218億円の増額となります。純収益目標も98兆~105兆VND(約5939億~6363億円)へと修正され、こちらも従来比で最大7兆VND、約424億円の上振れです。

正直なところ、このニュースを見て「やっぱりそうきたか」という感覚がありました。というのも、2026年第1四半期のコミュニティデーイベントで、マサングループCEOのダニー・リー氏がすでに「利益目標は引き上げられる可能性がある」と言及していたからです。今回はその布石が現実になった形ですね。

タングステン価格が計画の前提を大きく上回った

今回の上方修正の最大の要因は、マサン・ハイテク・マテリアルズ(MSR)が扱うタングステン価格の急騰です。2026年の事業計画策定時点では1MTUあたり約385米ドルという前提で組まれていましたが、5月初旬までに市場価格は約3000米ドルまで上昇しました。実に8倍近い水準です。

マサン社の最高財務責任者ドアン・ティ・ミー・ドゥエン氏の説明によると、同社の計画策定プロセスは毎年9月上旬に始まり、トップダウンとボトムアップの両方向から進めて統一計画にまとめるとのことです。今回はその前提条件そのものが崩れるほどの価格変動があったため、MSRの業績予測を全面的に見直し、グループ全体の計画に反映させた、という流れになります。

タングステンはレアメタルの一種で、超硬工具や特殊鋼、半導体関連など幅広い産業で使われる素材です。価格変動要因は複雑ですが、こうした特定資源の国際価格が一企業の通期業績を左右するというのは、資源関連銘柄を見る上で改めて意識しておきたいポイントだと感じます。

各事業セグメントも軒並み好調

タングステンだけが要因ではありません。2026年第2四半期の見通しについて、CEOのダニー・リー氏はグループ全体の売上高が前年同期比約40%増、税引き後利益が約80%増になると予想しています。

セグメント別に見ると、スーパーマーケットチェーンを展開するWinCommerceが約30%成長、消費財事業のMasan Consumer Holdingsが20%超、食肉加工のMasan MEATLifeが約20%、カフェチェーンのPhuc Longが35~40%の成長を見込んでいます。特にMasan High-Tech Materialsについては、タングステン価格の想定外の変動を受けて成長率が3倍になると見られており、今回の計画修正のインパクトの大きさがうかがえます。

2026年第1四半期の実績では、グループ全体の売上高が前年同期比27%以上増加、親会社株主に帰属する純利益は倍増しています。2025年通期でも売上高81兆6210億VND(約4946億円)、税引き後利益6兆7640億VND(約410億円)を記録し、これは2024年の1.6倍にあたる水準でした。動物飼料事業の売却で特別利益が出た2021年に次ぐ、グループ史上2番目に高い利益水準だったとのことです。

ハノイから見えるベトナム消費・資源セクターの厚み

ハノイで暮らしていると、WinCommerceのスーパーやPhuc Longのカフェは本当にどこの街角にもあって、生活インフラの一部になっている感覚があります。今回のニュースを見て改めて感じたのは、ベトナムの内需成長エンジンと、タングステンのような資源輸出という異なる収益源を一つのグループが同時に抱えているという構造の強さです。

こうした複合的な成長ドライバーを持つ企業が次々と出てきているのは、資本が先進国から新興国、とりわけベトナムのようなグローバルサウスへと流れ込んでいる大きな潮流の一部だと個人的には見ています。このテーマについては「富の南下」という切り口でシリーズ記事にまとめていますので、興味のある方はそちらもご覧いただければと思います。
https://note.com/gonviet/m/m88eefc2a6c74

マサングループの企業概要

マサングループ(証券コード:MSN)は、消費財、小売、食肉加工からタングステンなどの資源事業まで幅広く展開するベトナム最大級のコングロマリットの一つです。2026年通期の連結純収益目標は98兆~105兆VND、税引き後利益目標は10兆~11兆5000億VNDに上方修正されており、傘下のMasan High-Tech Materials(MSR)はタングステン価格急騰の直接的な恩恵を受けています。今回の改訂計画は取締役会承認の段階であり、正式には次回株主総会での審議・承認を経る予定です。

今回の上方修正はあくまで会社側が公表した目標値であり、実際の業績がその通りに着地するとは限りません。タングステン価格は今後も変動しうる資源相場である点、また各セグメントの成長率も市況次第で変わりうる点には留意が必要です。私自身は、内需と資源の両輪を持つマサングループの事業構造には引き続き注目していますが、投資判断の材料の一つとしてご覧いただければと思います。

いかがでしたでしょうか。今回のマサングループの利益目標上方修正について、皆さんのご意見も
ぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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