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ベトナム、陸路で3カ国周遊観光を推進—「一つの旅程、三つの目的地」戦略とは

Thúc đẩy khai thác du lịch liên quốc gia: "Một hành trình, ba điểm đến"
📘 この記事は「ベトナム経済研究会」が提供するベトナム最新ニュース解説です。
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世界的な輸送コストの上昇を背景に、ベトナムの観光業界が新たな戦略に舵を切りつつある。近隣諸国と連携した「陸路による周遊観光」を促進し、「一つの旅程で、三つの目的地を巡る」というコンセプトを打ち出しているのだ。長距離の航空便に頼らない短期旅程が世界的に見直される中、周辺国からの観光客がベトナム観光業にとって安定した「クッション(緩衝材)」の役割を果たし、遠方市場への依存度を下げつつ成長を維持する鍵になると期待されている。

目次

世界的な輸送コスト上昇が生んだ「陸路シフト」

近年、燃料価格の高騰や航空業界の供給制約などを背景に、国際航空運賃は上昇傾向が続いている。これにより、特に短期間の旅行を計画する観光客にとって、遠方からの飛行機移動よりも、陸路(バスや自動車)で移動可能な近隣国への旅行がコストパフォーマンスに優れた選択肢として浮上している。ベトナムは地理的に、ラオス、カンボジア、中国(南部)といった国々と陸続きで接しており、こうした「陸路周遊観光」のポテンシャルを最大限に活かせる立地にある。

今回報じられた「一つの旅程、三つの目的地(Một hành trình, ba điểm đến)」という取り組みは、まさにこの地理的優位性を活かしたものだ。具体的には、ベトナムと隣接するカンボジアやラオスなど複数国をまたぐ形で、一度のビザ取得・一つの旅程で複数国を周遊できるルートを整備し、観光客の利便性を高める狙いがある。これにより、例えばタイやシンガポールなど東南アジアの遠方市場、あるいは欧米・日本といった長距離フライトが必要な市場からの観光客誘致に加え、近隣国から陸路で訪れる観光客層を新たな成長エンジンとして取り込むことが可能になる。

近隣諸国からの観光客が果たす「緩衝材」の役割

ベトナム観光業はこれまで、中国、韓国、日本、欧米市場からの観光客に大きく依存してきた経緯がある。特に新型コロナウイルス感染症の流行によって国際観光が大打撃を受けた際、遠方市場からの観光客が激減し、業界全体が深刻な打撃を受けた教訓は記憶に新しい。今回の記事が指摘する「地域観光客が緩衝材の役割を果たす」という視点は、こうした過去の経験を踏まえたリスク分散戦略と言える。

陸路で気軽に往来できる周辺国(ラオス、カンボジア、中国南部など)からの観光客は、航空便のスケジュールや運賃変動に左右されにくく、比較的短いリードタイムで旅行を決定する傾向がある。これにより、遠方市場からの観光客数が景気変動や為替、航空券価格の影響で増減した場合でも、近隣国からの安定した観光客流入が全体の観光収入を下支えする構造を作ることができる。ベトナム政府・観光当局にとって、これは持続可能な観光成長モデルを構築する上で重要な布石となる。

周辺国との連携強化とインフラ整備の課題

「一つの旅程、三つの目的地」を実現するためには、単に地理的な近さだけでなく、各国間のビザ制度の簡素化、国境検問所の通関手続きの迅速化、道路インフラの整備、そして観光商品としてのパッケージ化・プロモーションが不可欠である。ベトナムはすでにカンボジア、ラオスとの間で陸路国境における物流・人流の円滑化に向けた協議を進めてきた歴史があり、今回の観光分野での連携強化はその延長線上にあると考えられる。

また、メコン川流域国(ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国雲南省)を対象とした地域観光協力の枠組みは以前から存在しており、今回の取り組みはこうした既存の地域協力メカニズムをさらに具体化・実務化するものと位置づけられる。旅行会社や地方自治体レベルでの連携パッケージ商品の開発、多言語対応の観光案内整備なども今後の課題として浮上するだろう。

投資家・ビジネス視点の考察

今回の陸路周遊観光促進策は、ベトナム株式市場において観光・航空・運輸・宿泊関連銘柄に中長期的な追い風となる可能性がある。特にホーチミン証券取引所(HOSE)に上場する大手航空会社や、観光地開発を手がける不動産デベロッパー、ホテル・リゾート運営企業にとっては、地域観光客の安定的な流入増加が収益の下支え要因となり得る。加えて、バス・陸路運輸事業者や国境地域の物流インフラに関連する企業にも一定の恩恵が及ぶと見られる。

日本企業にとっても示唆は多い。すでにベトナムに進出している日系旅行会社、ホテルチェーン、交通インフラ関連企業は、こうした地域観光の一体化トレンドを踏まえ、ベトナム単独ではなくインドシナ半島全体(ベトナム・ラオス・カンボジア)を見据えた事業展開を検討する余地がある。特に日本人観光客向けに「多国周遊型ツアー」を企画する旅行会社にとっては、現地の陸路インフラ整備の進展は商品開発の追い風となるだろう。

また、2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数へのベトナム格上げとの関連性も見逃せない。格上げが実現すれば、海外機関投資家の資金流入が加速し、観光関連銘柄を含む幅広いセクターに資金が向かう可能性が高い。観光業がリスク分散型の成長モデルへと進化しつつあることは、外国人投資家がベトナム経済のレジリエンス(回復力・耐性)を評価する上でもプラス材料となり得る。ベトナム経済全体として見れば、製造業・輸出主導の成長モデルに加え、観光業を含むサービス産業の多角化・地域連携強化は、中長期的な経済安定性を高める重要なトレンドの一つとして位置づけられる。


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出典: 元記事

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