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ベトナムでSNSやブログ、YouTubeなどを通じて商品やサービスを紹介し、成果報酬を得る「アフィリエイト(提携マーケティング、ベトナム語ではtiếp thị liên kết)」に従事する個人に対し、税務当局が課税ルールを改めて明確化した。所得の性質によって、売上高に対して一律2%を課す方式と、給与所得と同様に最大35%まで適用される累進課税方式のいずれかが適用されるという、日本の制度とは異なる二重構造が注目されている。
アフィリエイト収入とは何か
アフィリエイトとは、企業やECプラットフォーム(電子商取引サイト)が提供する専用リンクやクーポンコードを、個人がSNSやブログ、動画配信サービスで拡散し、そのリンク経由で商品が購入された場合に、成果報酬(コミッション)を受け取るビジネスモデルである。ベトナムでは近年、ショッピー(Shopee)やティックトックショップ(TikTok Shop)などのECプラットフォームの急速な普及により、個人がインフルエンサーやレビュアーとして副業的にアフィリエイト収入を得るケースが急増している。特にコロナ禍以降、在宅ワークやライブコマース(ライブ配信による販売)の拡大がこの流れを後押しした。
課税方式は「事業所得」か「給与所得」かで分かれる
ベトナムの税務当局によれば、アフィリエイトによる所得は、その性質に応じて二つの異なる課税方式のいずれかが適用される。
第一に、個人が独立した「事業活動」としてアフィリエイトを行っている場合、これは「個人事業主(hộ kinh doanh、ホーキンドアイン)」と同様の扱いとなり、売上高(doanh thu、ドアンス)に対して一律2%の税率が課される。この2%は、付加価値税(VAT)と個人所得税を合算した簡易課税方式であり、経費を差し引く前の総収入に対して課される点が特徴だ。つまり、コミッション収入全体に対してシンプルに2%が課税される仕組みである。
第二に、個人がある企業や代理店と契約を結び、その指揮命令の下で継続的に業務を行っている場合、これは「給与・賃金所得(tiền công、ティエンコン)」とみなされる。この場合は、日本の所得税に近い累進課税(lũy tiến、ルイティエン)方式が適用され、所得水準に応じて税率は段階的に引き上げられ、最高税率は35%に達する。累進課税の税率区分は5%から35%まで7段階に分かれており、高額のアフィリエイト収入を得る「トップインフルエンサー」ほど、実質的な税負担が重くなる仕組みだ。
なぜ今、明確化が必要とされたのか
ベトナムでは近年、税務当局がSNSやECプラットフォームを通じた個人所得の捕捉を強化しており、インフルエンサーやライブコマース配信者、そしてアフィリエイターに対する税務調査が相次いで報じられてきた。実際、著名なKOL(キーオピニオンリーダー)や配信者が多額の追徴課税を受けた事例も過去に話題となっている。今回の指針は、こうした流れの中で「どのような所得区分に該当すればどの税率が適用されるのか」という納税者の疑問に答える形で示されたものであり、個人がどちらの区分に該当するかを自ら正しく判断し、適切に確定申告・納税することが求められている。
申告・納税の実務
事業所得として2%課税が適用されるケースでは、個人事業主として税務署に登録し、四半期または年次で申告・納税を行うのが一般的な流れとなる。一方、給与所得として扱われる場合は、支払者側(企業やアフィリエイトプラットフォーム)が源泉徴収を行い、年末に確定申告で精算する仕組みが想定される。いずれの場合も、収入の証憑(銀行振込記録やプラットフォームからの支払明細など)を適切に保管しておくことが、後の税務調査に備える上で重要になる。
投資家・ビジネス視点の考察
今回の税務ルールの明確化は、一見地味なニュースに見えるが、ベトナムのデジタル経済・EC市場の成熟度を測る上で重要な意味を持つ。ベトナムでは若年層人口が多く、SNS利用率とスマートフォン普及率が極めて高いため、ショッピーやティックトックショップといったECプラットフォームの取扱高は年々拡大しており、それに伴いアフィリエイト市場も急速に拡大している。税務当局がこの分野に本格的にメスを入れ始めたことは、インフォーマル経済(非公式経済)の課税ベース拡大という財政面での狙いだけでなく、デジタル経済の「正規化」を進める政府の姿勢の表れとも言える。
投資家目線で見れば、こうした課税の明確化はEC事業者やデジタルマーケティング関連企業にとって、コンプライアンスコストの増加要因となりうる一方、税務の透明性が高まることで、海外投資家から見たベトボードの市場信頼性向上にもつながる可能性がある。特に2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、ベトナムは資本市場・税務行政の透明性強化を進めている最中であり、今回のような個人所得課税ルールの整備も、その一連の「制度インフラ整備」の一環として位置づけられる。ECプラットフォーム関連銘柄やフィンテック企業、そしてベトナムでライブコマース事業を展開する日系企業にとっても、今後の税務コンプライアンス体制の構築が一段と重要になってくるだろう。
また、日本からベトナムに進出しEC・マーケティング事業を展開する企業にとっても、現地インフルエンサーやアフィリエイターとの契約形態(業務委託か雇用契約か)によって税務上の扱いが大きく変わる点は注意が必要だ。契約書の文言や実態次第で、事業所得(2%)扱いか給与所得(最大35%)扱いかが分かれるため、現地の会計士・税理士と連携した契約設計が求められる局面と言える。
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出典: 元記事












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