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ベトナム観光アプリ大手のトラベロカ(Traveloka)が発表した最新データによると、ベトナム中部を目的地とするゴルフ観光の需要が急速に拡大しており、ダナン(ベトナム中部を代表する港湾・観光都市)を中心に「スポーツ経済」と呼ぶべき新たな観光産業の潮流が生まれつつある。単なるレジャーとしてのゴルフ旅行にとどまらず、地域経済全体を巻き込む成長エンジンとしての可能性が注目されている。
中部一帯へと広がる「ゴルフ旅行ブーム」
トラベロカの分析によれば、これまでベトナム中部を訪れる観光客の多くは、ダナン市内やその近郊のホイアン(世界遺産の古都として知られる観光地)といった中心エリアに滞在を集中させる傾向が強かった。しかし近年は、観光客の行動範囲が明確に拡大しつつあり、クアンナム省(ホイアンを擁する中部の省)やフエ(ベトナム最後の王朝・グエン朝の古都)、クイニョン(ビンディン省の沿岸都市)といった周辺地域にまで足を延ばすケースが増えているという。
この背景には、ゴルフというアクティビティが持つ特性が大きく関わっている。ゴルフ旅行者は一般的に滞在日数が長く、宿泊施設のグレードも高いものを選ぶ傾向があり、さらにゴルフ場でのプレー費用に加え、宿泊、飲食、移動、周辺観光といった複数の消費活動を一度の旅行で発生させる。つまり、ゴルフ観光は「点」ではなく「面」で地域経済に恩恵をもたらす性質を持っているのである。
ダナンが果たす「ハブ」としての役割
ダナンは国際空港を擁し、中部地域全体への玄関口としての機能を担ってきた。近年は市内および近郊に国際基準のゴルフ場が複数整備されており、アジア太平洋地域のゴルフ愛好家からの認知度も高まっている。トラベロカのデータは、ダナンが単独の観光地としてだけでなく、フエやクアンナム、クイニョンといった周辺都市への周遊拠点、すなわち「ハブ」としての役割を強めていることを示している。
これは、観光客がダナンを起点として複数都市を組み合わせた周遊型の旅行プランを選択するようになっていることを意味し、従来の「点」の観光から「線」「面」の観光へと消費行動が変化していることを裏付けるものだ。
「スポーツ経済」概念への接近
今回の報道で注目すべきキーワードは「スポーツ経済(kinh tế thể thao)」という概念である。これは、スポーツそのものを核として、周辺産業(宿泊、飲食、交通、小売、不動産開発など)を巻き込みながら地域経済を活性化させるという考え方であり、ゴルフはその代表的な牽引役として位置づけられている。
ベトナム政府や地方自治体は近年、観光産業の高付加価値化を政策目標として掲げており、量的拡大だけでなく、一人当たりの消費額を引き上げる「質の観光」への転換を進めてきた。ゴルフ観光はまさにこの方向性と合致しており、富裕層・準富裕層をターゲットとした滞在型・周遊型の観光モデルとして、政策的にも重視されつつある分野だ。
中部地域のゴルフ場開発の広がり
ダナン近郊やクアンナム省、フエ、クイニョンなどでは、国内外の投資家によるゴルフリゾート開発が進んでおり、これらは単独のゴルフ場ではなく、ホテル、ヴィラ、コンドミニアム、商業施設などを併設した複合型開発として計画されるケースが目立つ。こうした複合開発は、ゴルフをきっかけとした不動産投資需要も同時に喚起する側面があり、観光業と不動産業が相互に連動して成長する構図が形成されつつある。
投資家・ビジネス視点の考察
今回のトレンドは、ベトナム株式市場においても複数のセクターに波及効果をもたらす可能性がある。まず直接的な恩恵を受けるのは観光・リゾート開発関連企業や、ホテル・不動産デベロッパーである。中部地域でリゾート型プロジェクトを展開する上場企業にとって、ゴルフ観光需要の拡大は客室稼働率や不動産販売の追い風となり得る。また、航空業界にとってもダナン発着路線の需要拡大は増収要因となるため、航空会社株にもプラスの影響が期待できる。
日本企業への影響という観点では、日本人富裕層・シニア層のゴルフ旅行需要は依然として根強く、円安環境下でもアジア域内の近距離ゴルフツアーへの関心は高い。ダナンを含むベトナム中部が「アジアの新ゴルフ観光地」として認知度を高めることは、日本の旅行会社やゴルフツアー企画会社にとって新たな商機となり得る。さらに、日系ホテルチェーンやディベロッパーがベトナム中部での複合リゾート開発に参画する余地も広がるだろう。
マクロ的な視点では、ベトナムが2026年9月に決定が見込まれるFTSE新興市場指数への格上げに向けて、外国人投資家からの注目度が高まっている中、観光業の高付加価値化・多様化は「ベトナム経済の成熟度」を示す一つの材料となり得る。単なる安価な労働集約型経済から、サービス業・観光業を含む高付加価値産業へのシフトが進んでいることは、中長期的な株式市場評価にもポジティブに働く可能性がある。ゴルフ観光という一見ニッチなテーマではあるが、地域経済への波及効果、不動産・観光・交通セクターへの連鎖的な影響という観点から、投資家としては注視すべきトレンドの一つと言えるだろう。
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ハノイ在住13年日本語で毎日配信。
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出典: 元記事












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