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ベトナムの証券会社KBSV(KBベトナム証券)は、現在の預金金利(huy động、銀行が個人・法人から資金を集める際の金利)はすでにピーク圏に達しており、2026年第3四半期も高水準を維持したのち、同年第4四半期入り後にわずかに低下していくとの見通しを示した。ベトナムの金融市場では長らく低金利環境が続いてきたが、ここにきて潮目が変わりつつあることを示唆する分析として注目される。
KBSVが示した金利見通しの概要
KBSVの分析によれば、ベトナムの商業銀行各行が提示する預金金利は、すでに「vùng đỉnh(頂点圏)」と呼べる水準に到達しているという。つまり、これ以上大幅に金利が上昇する余地は限定的であり、当面は高止まりが続く局面に入ったとの見立てだ。具体的には、2026年第3四半期(7〜9月)についても、この高金利水準が継続すると予測している。
一方で、KBSVは2026年第4四半期(10〜12月)の初めごろから、金利がわずかに低下(giảm nhẹ)に転じる可能性があるとも指摘している。つまり、金利のピークアウトは目前に迫っているものの、急激な利下げ局面に入るわけではなく、緩やかな調整にとどまるというシナリオが描かれている。
なぜ預金金利が上昇してきたのか
ベトナムでは近年、銀行間の資金調達競争や、国家銀行(ベトナム中央銀行、Ngân hàng Nhà nước Việt Nam)の金融政策運営、さらにはインフレ圧力や為替(ドン安)への対応など、複数の要因が絡み合う形で預金金利に上昇圧力がかかってきた。銀行は貸出資金を確保するため、預金者に対してより高い金利を提示することで資金を呼び込む必要があり、これが預金金利全体の底上げにつながってきたとみられる。
また、ベトナム経済は近年、輸出主導の製造業セクターや不動産市場の回復、インフラ投資の拡大などにより資金需要が旺盛な状態が続いている。銀行としても企業向け融資や個人向け住宅ローンなどへの資金供給を続けるためには、預金という形での資金調達コストを一定程度許容せざるを得ない状況が続いていたと考えられる。
今後のシナリオ:高止まりから緩やかな低下へ
KBSVの見通しが示唆するのは、「金利上昇局面の終わり」であり、同時に「急激な利下げは期待できない」という現実的なシナリオだ。2026年第3四半期までは企業や個人にとって借入コストの高い状態が続き、預金者にとっては相対的に有利な利回りが確保できる環境が継続する。その後、第4四半期に入るとわずかながら金利低下の兆しが見え始めるが、これはあくまで「緩やかな」調整であり、劇的な緩和局面への転換を意味するものではない点に留意が必要だ。
投資家・ビジネス視点の考察
この予測は、ベトナム株式市場、特に銀行株や不動産株の動向を占ううえで重要な材料となる。預金金利が高止まりする局面では、銀行にとっては資金調達コストの上昇要因となる一方、貸出金利も相応に高く維持されるため、利ざや(NIM)への影響は銀行ごとの資産構成やリスク管理能力によって差が出やすい。投資家としては、個別銀行の預貸金利差の動向や不良債権比率の推移を注視する必要があるだろう。
また、不動産セクターにとって金利の高止まりは、住宅ローン需要や不動産開発資金の調達コストに直結する問題であり、市場全体のセンチメントに影響を与えかねない。2026年第4四半期以降の緩やかな利下げが実現すれば、不動産市況にとってはポジティブな材料となる可能性がある一方、それまでの期間は資金繰りに敏感な中小デベロッパーにとって厳しい状況が続くと見られる。
ベトナムに進出する日本企業にとっても、現地法人の資金調達コストや、ベトナムドン建て資産の運用利回りに直結するテーマであり、金利動向は経営計画上の重要な変数となる。特に製造業などで現地銀行からの融資に依存する企業は、当面のコスト高を織り込んだ資金計画が求められるだろう。
さらに、2026年9月に決定が見込まれるFTSE(フッツィー、英国の株価指数算出会社)による新興市場(エマージング・マーケット)指数への格上げ審査との関連でも、金融市場の安定性や金利環境は間接的に重要な評価材料となり得る。金利が「ピークアウトから緩やかな低下」という比較的安定したシナリオで推移することは、外国人投資家にとってベトナム市場の予見可能性を高める材料となり、格上げ実現への追い風となる可能性もある。今後の中央銀行の政策運営や、実際の預金金利データの発表には引き続き注目していく必要がある。
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出典: 元記事












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