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新NISAで新興国に投資したい人が、必ずぶつかる三つの壁。インド・インドネシア・ベトナムを制度から比較しました

こんにちは、ベトナム経済&株式投資ニュース解説のベトテク太郎です。

検索データを国内の動画検索に絞って眺めてみたところ、前回とはまったく違う景色が見えてきました。急上昇している語句の上位に並んでいたのが、「新NISA 新興国」「新NISA」「投資信託 インド」「インド 投資信託」「インド株 インデックス」「インドネシア」、そして「ベトナム株」「ベトナム投資」だったのです。

ここには、はっきりとした流れがあります。まず新NISAという制度が入口になり、次に「新興国」という漠然としたカテゴリーで調べ、それでは物足りなくなって国名で検索を始める。この三段階です。つまり多くの方が、すでに「新興国をひとまとめで買う」段階を卒業しつつあるということです。

ただ、ここから先に進もうとすると、日本の制度と商品ラインナップの現実に阻まれます。今回はその壁を三つに整理して、インド、インドネシア、ベトナムという三カ国を並べながら見ていきます。

目次

壁その1 新NISAの二つの枠では、買える新興国がまったく違います

最初の壁は、制度そのものにあります。新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠という二つの枠があり、この二つで買える新興国商品の性格は根本的に異なります。

つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が定めた基準を満たしたものに限られます。信託報酬の上限、純資産額、運用実績の年数といった条件に加えて、連動対象となる指数が「指定インデックス」に含まれているかどうかが問われます。この指定インデックスには、全世界株式や先進国株式、そして新興国株式の広域指数が入っています。逆に言えば、インド単独やベトナム単独といった一国の指数は、原則としてここに含まれていません。

一方の成長投資枠は、対象商品の範囲がはるかに広く、単一国のファンドやアクティブ型のファンドも選べます。国名で検索している方が実際に選択肢を持てるのは、事実上この成長投資枠だけということになります。

つまり「新NISAで新興国」と検索して最初にたどり着くつみたて投資枠の新興国株式インデックスは、国を選ぶ商品ではありません。ここが第一の壁です。

つみたて投資枠で買える「新興国」の中身

では、その広域の新興国株式インデックスには何が入っているのか。ここは前回の記事で詳しく分解しましたが、要点だけ繰り返しておきます。

代表的な新興国株式指数の国別構成比は、上位四カ国だけで全体の四分の三前後を占めます。中国、台湾、インド、韓国。台湾と韓国は一人当たりGDPで見れば日本と並ぶか上回る水準にあり、中国の沿海部も先進国と変わりません。

新興国という名前から連想される、これから離陸していく若い国々。その部分が全体に占める比率は、実は驚くほど小さいのです。だからこそ、国名での検索が伸びている。この因果関係は、かなりはっきりしていると思います。

壁その2 国名で検索しても、日本で買える商品の数はまるで違います

第二の壁は、商品ラインナップの偏りです。同じ「新興国の一国」でも、日本の投資家が選べる商品の数には、国によって極端な差があります。

インドについては、ここ数年でインデックス型を含む選択肢がはっきり増えました。検索データで「インド 投資信託」「インド株 インデックス」が急上昇しているのは、単に関心が高いからだけではなく、実際に買える商品が増えて情報が出回るようになったから、という側面もあります。

インドネシアは事情が変わります。人口はASEAN最大で内需の規模も大きく、ニッケルをはじめとする資源を持つ国ですが、日本で買える単一国ファンドとなると本数はかなり限られます。新興国株式インデックスの中でも構成比は数パーセント程度にとどまるため、広域指数を通じて得られるエクスポージャーもわずかです。

そしてベトナムは、さらに選択肢が細くなります。単一国のファンドは存在しますが本数は少なく、その多くはアクティブ型で、信託報酬もインデックス型と比べれば高い水準にあります。新NISAの成長投資枠の対象になっているかどうかも商品ごとに異なるため、投資信託協会が公表している対象商品リストで一つずつ確認する必要があります。

この非対称性は、それ自体が一つの情報です。商品が多い国は、すでに多くの資金と関心が向かっている国です。商品が少ない国は、まだ資金の通り道が整備されていない国、という見方もできます。

壁その3 市場分類のステータスが、資金の流れを決めています

第三の壁は、あまり語られませんが、実は最も構造的なものです。

MSCIやFTSE Russellといった指数算出会社は、世界の株式市場を先進国、新興国、フロンティア市場に分類しています。この分類が、世界中のインデックスファンドの買い付け対象を機械的に決めています。

インドは新興国に分類されており、構成比も上位です。インドネシアも新興国に含まれますが、比率は小さい。そしてベトナムは、長らくフロンティア市場に分類されてきました。フロンティア市場は、新興国インデックスにも全世界株式インデックスにも、原則として組み入れられません。世界のパッシブ資金が構造的に素通りしてきた領域です。

その状況が、いま制度的に動いています。FTSE Russellはベトナムを二次新興市場へ格上げする決定を下しており、二〇二六年九月二十一日に発効、そこから二〇二七年九月にかけて段階的に導入される見通しです。MSCIの分類については引き続きフロンティア市場のままであり、こちらの動向は別途見ていく必要があります。

指数への組み入れは、企業の業績を直接改善するものではありません。ただ、これまで買えなかった資金が制度上買えるようになるという意味では、需給の構造が書き換わる出来事ではあります。私が現地でこの動きを注視しているのは、そのためです。

もっとも、格上げがどの程度の資金流入をもたらすのか、期待がすでに株価に織り込まれているのかについては見方が分かれます。過去に他国で起きた格上げでも、発効前に上昇して発効後に反落した事例と、上昇が続いた事例の両方がありました。この点は慎重に見ていきたいところです。

三カ国を並べて見ると、何が違うのか

ここまでの整理を、国ごとにまとめ直してみます。

インドは、人口十四億人規模、若い労働力、内需の拡大という材料が揃っており、日本からも買いやすい。ただし、これらはすでに世界中の投資家が知っている情報です。指数構成比も高く、価格には相応に織り込まれていると考えるのが自然でしょう。

インドネシアは、人口二億八千万人規模で資源と内需を併せ持ちますが、資源価格の変動に業績が左右されやすい面があります。日本からのアクセスは限定的です。

ベトナムは、人口一億人規模、平均年齢は三十代前半、製造業の集積が続いています。日本からのアクセスは三カ国の中で最も限られ、指数の中身にもほとんど反映されていません。裏を返せば、情報も資金も最も行き渡っていない国だということになります。

私は、この「行き渡っていなさ」そのものを一つの論点として見ています。誰もが同じ情報を持つ市場で平均以上の成果を出すのは容易ではありません。この考え方については「富の南下」という連載シリーズで詳しく扱っていますので、関心のある方はご覧ください。https://note.com/gonviet/n/ndcd64cc184eb

新NISAで新興国ファンドを見るときに、確認しておきたいこと

制度と商品の壁を踏まえた上で、実際にファンドの目論見書を開いたときに確認しておきたい項目を整理しておきます。判断そのものはご自身で行っていただくものですが、見落とされやすい点をいくつか挙げます。

一つ目は、NISA口座では損失が出ても損益通算や繰越控除ができないという点です。値動きの大きい資産をNISA枠に置く場合、この制度上の非対称性は事前に理解しておきたいところです。

二つ目は、信託報酬と実質コストの差です。単一国ファンド、とくに新興国のアクティブ型は、目論見書に記載された信託報酬に加えて、現地の売買コストや保管費用が実質コストとして上乗せされることがあります。運用報告書の実質コスト欄で確認できます。

三つ目は、純資産総額と資金流出入の傾向です。規模が小さいファンドは、繰上償還の可能性が相対的に高くなります。長期保有を前提とする場合、ここは無視できません。

四つ目は、為替ヘッジの有無です。新興国通貨のヘッジコストは、金利差が大きいぶん先進国通貨より高くつく傾向があります。ヘッジあり型を選ぶ場合、そのコストがリターンを削る構造は理解しておきたい点です。

五つ目は、外国人保有比率の制限です。ベトナムのように業種ごとに外国人の保有上限が設けられている市場では、ファンドが買いたい銘柄を買えない場面があります。運用報告書でどの程度この制約を受けているか触れられていることがあります。

まとめ 検索が国名に移った、その先にあるもの

「新NISA 新興国」から始まって、「インド」「インドネシア」「ベトナム」へと検索語句が移っていく流れは、投資家の視点が平均から個別へ移っている証拠だと思います。

ただ、日本の制度と商品ラインナップは、その視点の移動にまだ追いついていません。つみたて投資枠では国を選べず、成長投資枠でも国によって選択肢の数がまるで違う。そして市場分類という、投資家の目にはほとんど触れない仕組みが、資金の流れを静かに決めている。

この構造を知った上でどう動くかは、それぞれの判断です。ただ少なくとも、「新興国株式インデックスを積み立てているから新興国はカバーできている」という理解のままでは、いま起きていることの多くを取りこぼしてしまうのではないでしょうか。投資判断はご自身の責任でお願いします。

そういうことなんです。

いかがでしたでしょうか。今回の新NISAと新興国投資について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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本記事で提供される情報は、執筆者の個人的な分析と見解に基づくものであり、投資判断の最終的な決定は読者ご自身の責任において行ってください。ベトナム株式投資は価格変動が大きく、元本割れのリスクを伴います。

本記事の情報の正確性、完全性、最新性については最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者は一切の責任を負いません。

投資判断に際しては、金融商品取引業の登録を受けた専門家への相談を強く推奨いたします。本記事は法的、税務的、財務的なアドバイスを提供するものではありません。

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