こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
ベトナム株式市場にとって歴史的なニュースが飛び込んできました。世界3大指数提供会社の一つであるFTSE Russellが、ベトナム株式市場を「フロンティア市場」から「新興国市場(セカンダリー)」へ格上げすることを正式に発表したのです。
これは私が今年最大の注目を寄せいていたニュースです。私たちベトナム株投資家にどんな影響があるのかを詳しく解説していきます。
FTSE Russell格上げの重要ポイント
今回発表された格上げの詳細を見ていきましょう。
FTSE Russellは2026年9月21日を目処に、ベトナム株式市場をフロンティア市場から新興国市場(セカンダリー・エマージング)へ正式に格上げすることを発表しました。この決定は同社の定期的な市場分類レビューの中で明らかにされたものです。
ただし、この格上げには条件が付いています。2026年3月に最終審査が行われ、ベトナムが海外投資家のアクセス改善において十分な進展を遂げているかが評価されます。この審査をクリアすれば、その半年後の9月に正式な格上げが実施される運びとなります。
FTSE Russellの指数運営委員会は「ベトナムは市場改善において顕著な進歩を遂げており、新興国市場(セカンダリー)の全ての基準を満たしている」と評価しています。
格上げ後、ベトナムは中国、インド、インドネシア、フィリピン、カタールなど13カ国が属する新興国市場(セカンダリー)グループの一員となります。さらに上には新興国市場(アドバンスド)、そして最上位の先進国市場という分類があり、今回同時に発表されたギリシャは新興国市場(アドバンスド)から先進国市場への格上げが決定しました。
格上げまでの長い道のり
実は、この格上げは一朝一夕で決まったものではありません。ベトナム政府は1ヶ月前に「ベトナム株式市場格上げ計画」を承認し、2025年中にFTSE Russell基準での格上げを目標として掲げていました。そして長期目標として、2030年までにMSCI基準での新興国市場入り、FTSE Russell基準での新興国市場(アドバンスド)到達を目指しています。
ハノイに住んでいて肌で感じるのは、この1年ほどでベトナム政府と証券市場の運営側が本気で改革に取り組んできたことです。
以前のレビューでは、ベトナムは決済サイクルと取引失敗時の処理コストに関する基準を満たしていませんでした。これを受けて、財務省と関連機関は昨年から一連の障壁除去策を展開してきました。
具体的な改革内容を見てみましょう。まず、外国人投資家の市場アクセスを平等にするため、多くの新規則が施行されました。代表的なのが通達68号で、外国機関投資家に対する取引前の証拠金要件が撤廃されました。また通達03号では、外国人投資家の口座開設手続きが大幅に簡素化されています。
さらに今年5月からは、新しいIT システムが稼働を開始しました。このシステムは外国投資ファンドのニーズに対応し、中央決済パートナー(CCP)メカニズムを現物市場に導入する基盤を整え、国際基準に沿った新商品・サービス開発を可能にしています。
ハノイのロンビエン工業団地に日系企業の知人が何社かいるのですが、彼らも「この1年で本当に手続きが楽になった」と口を揃えて言っています。政府の本気度が伝わってきますね。
予想される資金流入と市場への影響
では、この格上げで実際にどれくらいの資金がベトナム市場に流入するのでしょうか。
国内の複数の証券会社は、60~80億ドル(約9,000億~1兆2,000億円)の外国資本がベトナムに流入すると予測しています。さらにHSBCのグローバル投資調査部門は、最も楽観的なシナリオでは104億ドル(約1兆5,600億円)に達する可能性があるとしています。
これらの推計には、アクティブファンドとパッシブファンドの両方からの資金が含まれています。ただし、FTSE Russellは市場分類変更の数ヶ月前に通知を行うため、実際の資金流入は段階的に配分されることになります。
多くのアナリストは、この格上げ情報が年末にかけてのVN-Index上昇を支える重要な原動力になると見ています。現在VN-Indexは1,685ポイント付近で推移しており、年初から約420ポイント(33%相当)上昇していますが、史上最高値までにはまだ26ポイントほど届いていません。
ハノイで投資仲間と話していても、「2026年9月に向けて、今から仕込んでおくべきだ」という声が多く聞かれていました。特に外国人投資家の保有比率が低く、格上げ後に買いが集中しそうな優良銘柄に注目が集まっています。
ベトテク太郎の見解と投資戦略
正直に言って、この格上げ決定は私にとって非常にポジティブなニュースです。ただし、手放しで喜べるわけでもありません。
まず良い点から話しましょう。格上げによって機関投資家の資金が大量に流入すれば、市場全体の流動性が改善され、株価の安定性も増すでしょう。また、国際的な注目度が上がることで、ベトナム企業のガバナンスや情報開示の質も向上していくはずです。
一方で注意すべき点もあります。2026年3月の最終審査があるため、それまでに何らかの問題が発生すれば格上げが延期される可能性もゼロではありません。また、格上げ期待で既に株価が上昇している銘柄については、「噂で買って事実で売る」という展開にも警戒が必要です。
私の投資戦略としては、以下の3点を重視していきます。
第一に、外国人保有比率が低く、格上げ後に買いが集中しそうな優良銘柄を中心にポートフォリオを構築します。特に時価総額が大きく、FTSE Russellの指数に組み入れられる可能性が高い銘柄に注目しています。
第二に、2026年3月の最終審査に向けて、ベトナム政府の改革進捗を注意深く監視します。追加の制度改正や市場改善策が発表されれば、それも投資判断の材料にしていきます。
第三に、格上げ実現後も長期保有を前提とした銘柄選択を心がけます。短期的な値上がり期待だけでなく、企業の成長性や配当利回りなど、ファンダメンタルズをしっかり見極めることが重要です。
ハノイで生活していると、街のインフラ整備や企業の設備投資が着実に進んでいるのを実感します。この格上げは、そうした地道な成長が国際的に認められた証だと思います。
まとめ:歴史的転換点を見逃すな
FTSE Russellによる格上げ決定は、ベトナム株式市場にとって間違いなく歴史的な転換点です。2026年9月という具体的な時期が示されたことで、投資家は明確なロードマップを持って準備することができます。
今後は2026年3月の最終審査に向けて、ベトナム政府と市場運営側のさらなる改革努力が期待されます。私たち投資家も、この動きをしっかりフォローしながら、最適なタイミングでポジションを構築していく必要があります。
格上げ実現まで約2年という時間があるのは、逆に言えばじっくり準備できるということです。焦らず、しかし着実に、ベトナム株式市場の成長機会を捉えていきましょう。
いかがでしたでしょうか。今回のFTSE Russell格上げについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。
【メンバーシップのご案内】 より詳細な投資分析や、ポートフォリオの具体的な銘柄情報、現地からのリアルタイム情報をお求めの方は、ぜひメンバーシップへのご参加をご検討ください。 https://note.com/gonviet/membership
一緒にベトナム株でFIREを目指しましょう!
【免責事項】 本記事の内容は、情報提供のみを目的としており、いかなる金融商品または仮想通貨への投資の推奨を意図するものではありません。ベトナム株式投資は価格の変動が大きく、リスクを伴う投資対象です。投資判断はご自身の責任に基づいて行ってください。本記事で提供される情報の正確性、完全性、または最新性については、最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。投資の際には、専門家への相談を推奨いたします。この記事は、法的、税務的、または財務的なアドバイスを提供するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者および当ウェブサイトは一切の責任を負いません。株式投資およびその関連商品に投資する際は、各国の規制および法律を確認し、法令を遵守することが重要です。
#ベトナム株 #投資 #アジア株 #FIRE











コメント