こんにちは、ベトテク太郎です。昨日の夜、家族でホーチミンの大型ショッピングモールに出かけた際、娘が「パパ、新しいiPhoneケースが欲しい」と言い出しました。そこで向かったのが、もはやベトナム人にとって当たり前の存在になっているthegioididong.com(テーゾイジードン・ドットコム)の実店舗でした。
店内は平日の夜にも関わらず若者で溢れかえり、スマートフォンアクセサリーから家電、さらには食品まで、生活に必要なあらゆる商品が所狭しと並んでいます。レジには長蛇の列ができていて、改めてこの会社の成長力を実感させられました。
今日は、私のポートフォリオでも重要な位置を占めるテーゾイジードン投資(MWG)について、現地在住12年の視点から詳しく分析していきたいと思います。この会社、数字で見ても凄いのですが、実際のベトナム社会での影響力を目の当たりにすると、その投資価値がより鮮明に見えてくるんです。
テーゾイジードン投資(MWG)とは?ベトナム小売業界の革命児
まず基本情報から整理していきましょう。テーゾイジードン投資(証券コード:MWG)は2004年3月に設立され、2014年に上場したベトナム最大級の小売チェーン運営会社です。
基本データ(2025年7月15日現在)
- 資本金:14兆7969億VND
- 流通株式数:14億7860万株
- 株価:69,300VND
- 時価総額:約102兆4676億VND
- 外国人保有率:48.00%
この外国人保有率48%という数字が物語っているのは、海外投資家からの注目度の高さです。実際、私が参加するベトナム株投資家のコミュニティでも、MWG株は常に話題の中心にあります。
事業内容
- 通信機器・IT製品・電子製品・家電製品・食品の販売
- オンラインとオフライン両方での小売事業
- ECプラットフォーム運営
圧倒的な店舗網:ベトナム全土を覆うリテールエンパイア
MWGの最大の強みは、その圧倒的な店舗展開力です。現地で生活していると、この会社の店舗に遭遇しない日はないと言っても過言ではありません。
主要ブランド・店舗数(2025年2月末現在)
- thegioididong.com(携帯端末販売):1018店舗
- Dien may XANH(家電販売店):2027店舗
- Bach hoa XANH(食品販売店):1864店舗
- An Khang(薬局チェーン):326店舗
- AvaKids(マタニティ・ベビー用品):62店舗
- Era Blue(インドネシアの家電販売店):95店舗
総店舗数:5392店舗
この数字、本当に驚異的です。ベトナムの人口が約9800万人ですから、人口約1万8000人に1店舗の計算になります。つまり、どこに住んでいても徒歩圏内にMWGの店舗があるということです。
実際、私が住むハノイでも、会社から自宅までの約15キロの道のりで、少なくとも7-8店舗は目にします。これほどまでに生活に密着した小売チェーンは、日本で言えばセブンイレブンやファミリーマートに匹敵する存在感です。
財務分析:力強い成長軌道を続ける優良企業
ここで数字を詳しく見てみましょう。MWGの財務データは、まさに「成長企業」の典型的なパターンを示しています。
売上高推移
- 2022年:133兆4048億VND
- 2023年:118兆2798億VND
- 2024年:134兆3412億VND
- 2025年Q1:36兆1350億VND(通年予想150兆2300億VND)
2023年に一時的な売上減少があったものの、2024年には過去最高を更新し、2025年もさらなる成長が見込まれています。この回復力の強さは、ベトナム消費市場での圧倒的なポジションを示しています。
利益面での改善傾向
- 営業利益率:2024年が3.0%
- 税引後利益:2024年が37億3328億VND(前年比+2124%)
2023年の低調な業績から一転、2024年には大幅な利益改善を達成しています。これは店舗運営効率化と商品構成の最適化が功を奏した結果と考えられます。
ROE・ROAの改善
- ROE:2024年が14.50%(前年0.71%から大幅改善)
- ROA:2024年が5.72%(前年0.29%から大幅改善)
これらの指標の劇的な改善は、経営陣の構造改革努力が実を結んだことを示しています。
成長戦略:2025年以降の野心的な展開計画
MWGの2025年以降の事業計画を見ると、さらなる成長への意欲が感じられます。
2025年業績目標
- 売上高:150兆VND(前年比+12%)
- 税引後利益:4兆8500億VND(前年比+30%)
主要戦略施策
アップル製品販売の拡大 2027年にアップル製品売上高10億USDを目指すという目標は、特に注目すべきポイントです。現在のアップル製品販売シェア50%をさらに拡大し、ベトナムにおけるアップル製品の最大販売チャネルとしての地位を確立する計画です。
実際、私も先月新しいMacBookを購入する際、thegioididongで購入しました。価格競争力、品揃え、アフターサービス、どれをとっても他の販売店より優位に立っています。
海外展開の加速
- インドネシア市場:2025年に売上成長率+50%、2027年までに500店舗体制
- 2025年にIPO実施予定
インドネシアでの事業拡大は、東南アジア市場での成長を見込んだ戦略的な動きです。人口約2億7000万人のインドネシア市場での成功は、MWGの次の成長ステージを支える重要な柱になると期待しています。
食品小売事業の強化 Bach hoa XANHチェーンは2025年の利益目標を5000億VND超に設定し、2030年までに売上高100億USDを目指しています。これは単なる家電販売会社から、総合生活サービス企業への転換を意味する重要な戦略です。
デジタル化戦略:オムニチャネルの先駆者
MWGの本当の強さは、単なる店舗数ではありません。デジタル化とオムニチャネル戦略において、ベトナム小売業界の先駆者的存在であることです。
ECプラットフォーム「MWGショップ」 2025年5月にECプラットフォーム「MWGショップ」を立ち上げ、2018年に閉鎖したVuivui.comの再挑戦を図っています。約6年ぶりのEC事業再参入は、オンライン・オフライン統合戦略の重要な一歩です。
デジタルバンキング提携 2024年10月にVPBank傘下のデジタルバンキングサービス会社ケイク(Cake)との事業提携を締結。MWGが運営する携帯端末販売店や家電販売店で購入者にクレジットローンを提供できるようになりました。
これは実際に店舗で体験したのですが、高額なiPhoneを購入する際の分割払い手続きが驚くほどスムーズで、若者の購買力向上に大きく貢献していると感じました。
現地で実感するMWGの革新性
数字だけでは表現できないMWGの真の価値は、現地での顧客体験にあります。
圧倒的な利便性 例えば、先日家のエアコンが故障した際、Dien may XANHで新しいエアコンを購入したのですが、注文から配送・設置まで24時間以内に完了しました。しかも設置作業員の技術力も高く、アフターサービスも充実しています。
価格競争力の高さ 同じ製品を他店と比較しても、MWG系列店舗の価格は常に最安値レベルに設定されています。大量仕入れによるコストメリットを消費者に還元する姿勢が徹底されています。
若者文化への浸透 特にthegioididong.comは、ベトナムの若者にとってもはや「生活インフラ」の一部です。新機種の発売情報、技術レビュー、価格比較まで、スマートフォンに関する情報の発信源としても機能しています。
投資リスクの検討:冷静な分析が必要
もちろん、投資判断には冷静な分析が必要です。現地にいるからこそ見えるリスクもあります。
競合の激化 FPT Shop、Cellphones.vnなど手強い競合が存在し、特にオンライン分野では激しい競争が続いています。
消費者の価格感度 ベトナム消費者は依然として価格に敏感で、経済情勢が悪化すれば購買行動が大きく変化するリスクがあります。
店舗運営コストの上昇 人件費や賃料の上昇により、店舗運営コストが増加傾向にあります。特にハノイやホーチミンなど主要都市部での賃料上昇は深刻です。
海外展開の不確実性 インドネシア事業の成功は保証されておらず、現地市場での競争は予想以上に厳しい可能性があります。
投資判断:長期成長への確信
結論として、私はMWG株を「ベトナム消費社会の成長を象徴する銘柄」として長期保有を継続しています。
投資の理由
- ベトナム小売市場での圧倒的なポジション
- デジタル化・オムニチャネル戦略の先進性
- 海外展開による成長余地
- 若年層への強いブランド訴求力
- 2024年の業績回復と2025年以降の成長期待
目標株価・投資戦略 現在の株価69,300VNDは、2025年の業績目標を考慮すると適正水準だと考えています。アップル事業の拡大、インドネシア展開の成功、食品事業の収益化が進めば、80,000-90,000VND程度は十分視野に入ると見ています。
ポートフォリオでの位置づけ 私のポートフォリオでは「ベトナム内需・消費関連株の中核」として位置づけており、VICやMSNと並ぶ主力銘柄として長期保有を継続します。
まとめ:ベトナム小売革命の最前線に立つ企業
テーゾイジードン投資(MWG)は、単なる小売チェーンではありません。ベトナムの消費文化そのものを変革し、人々の生活を豊かにしている革新企業です。
現地で生活していると、この会社がベトナム社会に与えている影響の大きさを日々実感します。スマートフォンの普及、家電の近代化、食品流通の効率化、どれをとってもMWGの貢献は計り知れません。
そして何より、ベトナムの中間層拡大と消費社会の成熟化という長期トレンドの最大の受益者になると確信しています。確かに短期的な業績変動や競合リスクはありますが、長期的な成長ストーリーは非常に魅力的です。
投資は自己責任ですが、ベトナムの消費関連株への投資を検討されている方にとって、MWG株は必見の銘柄だと思います。
皆さんはどう思われますか?ベトナム小売市場の成長性や、MWGの戦略についてぜひコメントで意見交換させていただければと思います。
この記事は2025年8月時点の情報に基づいており、投資判断は自己責任でお願いします。より詳細な分析や最新の投資情報については、メンバーシップで定期的にお届けしています。
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