こんにちは。ベトテク太郎です。
2025年8月28日に新宿で開催されたベトナムITデーに参加してきましたので、レポートを書いていきます。このイベントはベトナムと日本のITやAIに関する協力関係や今後の展望について語られていましたのでベトナム株投資や転職のヒントになる情報がたくさんありました。
今回の記事はFPTジャパンコンサルティングCEOの方の基調講演です。FPTに関する企業情報や現在の取組も多くありましたのでFPTへの投資判断や今後の展望についてヒントになる話がたくさんありました。
Vietnam IT Dayで聞いたNguyen Huu Long氏の講演内容から、ベトナムのAI・IT市場と投資機会についてお話しします。
FPT ジャパンコンサルティングCEO Long氏が語った「3つのベトナムAI戦略」の要点
講演内容を整理すると、Long氏はベトナムのIT企業として興味深い現状分析を提供していました。特に注目すべきは以下の3つのポイントです。
1. ベトナムIT企業の実力と規模
Long氏によると、現在FPTは全社員8万人の中で、ITサービス産業における社員数は3万3,000名とのことでした。この数字は非常に印象的で、日本市場向けに日本の企業と仕事を一緒にさせていただいているとの発言からも、FPTがいかに日越ビジネスの橋渡し役として重要な位置にあるかが分かります。
実際に私も現地でFPTの社員の方と仕事をする機会がありますが、彼らの技術力と日本語対応能力の高さは確かに印象的です。
2. AI・デジタルトランスフォーメーションの本格展開
特に興味深かったのは、FPTが10年以上前からITとAIの統合プラットフォームを立ち上げており、最近ではNVIDIAのGPOを活用したAIのデータセンターなど、包括的に事業を進めているという言及でした。
これは単なる計画ではなく、既に実行段階にあることを示しており、FPT株への投資価値を考える上で重要な情報です。
ベトナム国家AI戦略2021の位置づけ
Long氏の説明では、ベトナムが2021年に発表したベトナム国家AI戦略は2030年に向けた戦略だということでした。そのミッションとしては、AI産業を国家戦略産業として取り上げており、2030年までに東南アジアだけでなく先進国にも並べられるような形の国家戦略という内容になっているとのことです。
3. グローバル企業の積極的なベトナム参入
講演で特に注目したのは、先日日経新聞にも報道された内容として、神様(日本企業のこと)がベトナムのAIスタートアップを買収し、ハノイで自社のAI研究開発センターをオープンさせたという話でした。
昨年12月には同じ日経新聞に報道されていた内容として、NVIDIAがベトナムのAI企業を買収し、自分たちのセンターもこれから立ち上げるという話も紹介されていました。
これらの動きは、多くの日本企業だけでなく、多くのグローバル企業が今かなりベトナムに注目している状況に変わったことを示しています。
4. AI人材育成戦略の野心的目標
講演で最も印象的だったのは、ベトナムナショナルイノベーションセンター(NICT)から発表された「ベトナムAI経済2025年レポート」の内容でした。このレポートによると、年間毎年20%以上の大体25%くらいの成長率で、2021年から2025年まで、またはこれから40年まで見込まれたという成果が上げられているとのことです。
この中で、AI人材について特に言及されており、2000年(2024年?)の数字としてAIエンジニア人材、AI人材の現状について触れられていました。
FPTのAI教育戦略の展開
Long氏は、FPTの4つの事業(半導体、デジタル、グリーン自動車)の全てにAIファーストの考え方を導入し、全ての事業においてビジネスモデルを構築し、AIの人材をそこで活用させたという状況について説明していました。
特に教育については非常に重要なテーマになっており、自分たちの人材を自分たちで育成するだけでなく、社会的にも最高峰のディープラーニング、AI教育機関と連携を取って教育を進めたという特徴があると述べていました。
ベトナム初AI大学の設立
真ん中の方にあるのが、ベトナム初AI大学だということです。これがFPT大学の構想の中で、キュリオンというAIボディ構想がベトナムにはあるということで、そちらで94キャンパスを立ち上げており、AI大学を提供させていただいているとのことでした。
さらにNVIDIAとのパートナーシップを進めているのが一番の特徴になっており、こうした形で今後日本の企業とともに、AIトランスフォーメーションを実現していくことを目指しているという話がありました。
投資への示唆とFPT株の展望
短期的な投資機会(2025-2026年)
政府支援による事業拡大 ベトナム政府のAI戦略と連動したFPTの事業展開は、確実に収益拡大につながると考えられます。特にNVIDIAとの戦略提携は技術面での競争優位性を高めるでしょう。
日本市場での売上拡大 Long氏の発言にあった日本企業との協業拡大は、FPTの海外売上高比率向上に直結します。これは株価にとってプラス材料です。
中長期的な成長ポテンシャル(2027-2030年)
AI人材教育市場でのプレゼンス拡大 ベトナム初のAI大学設立は、単なる教育事業ではなく、将来のIT人材供給を自社でコントロールできる戦略的優位性を意味します。これは長期的な競争力の源泉となるでしょう。
アジア地域でのハブ機能 東南アジアから先進国レベルへの飛躍という国家戦略の中で、FPTは確実に中核的役割を担うことになります。これは株価の長期的な上昇要因です。
現地での実感と投資判断
Vietnam IT Dayでの講演を聞いて改めて感じたのは、ベトナムのAI・IT戦略が単なる政策文書ではなく、具体的な企業活動と連動した実行可能な戦略だということです。
FPTのような民間企業が政府戦略と歩調を合わせて事業展開していることで、投資家にとっては政策リスクが軽減され、成長期待が現実的なものになっています。
現在のFPT株価126,000VNDは、こうした長期的な成長ポテンシャルを考慮すると、まだ割安水準にあると判断しています。特に2025年の売上高20%増目標と、AI関連事業の本格収益化を考慮すると、150,000-160,000VND程度までの上昇は十分視野に入ると考えています。
ベトナムのAI・IT分野への投資を検討されている方にとって、FPT株は最も有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
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