こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
今回は読者からリクエストをいただいた、ベトナムのイメージと実際の違いについて、私のベトナム現地経験を踏まえて書いてみたいと思います。
ベトナム共産党に対して複雑な感情を持つ日本人が少なくないのは事実です。しかし、感情と冷静な現実分析は分けて考える必要があります。ここで、私がベトナム在住12年で実感した3つの事実をお話ししたいと思います。
事実1:「共産主義」ではなく「社会主義市場経済」という独特なシステム
第一に、ベトナム共産党が実際に運営しているのは理論的な「共産主義」ではなく「社会主義市場経済」(通称:ドイモイ政策)です。1986年から始まったこの政策により、ベトナムは国家が経済の大枠を統制しつつも、市場原理と民間企業の活力を積極的に導入する独自の経済システムを築いています。
実際、私が現地で見ているビジネス環境は非常にダイナミックです。外資系企業が自由に投資できる分野は多岐にわたり、民間企業の成長も著しい。例えば、私のポートフォリオの主力銘柄であるFPTコーポレーションは民間企業ですし、テーゾイジードン投資(MWG)のような小売チェーンも完全に市場競争の中で成長してきました。
共産党一党制という政治システムはありますが、経済運営の実態は「国家資本主義」に近く、理念的な共産主義批判だけでは現実を見誤る可能性があります。
事実2:経済発展の実績は否定できない歴史的事実
第二に、ベトナム共産党政権下でのベトナムの経済発展は、統計的にも体感的にも否定できない成果です。1990年代後半には最貧国レベルだったベトナムが、現在は中進国入りを果たし、2024年のGDP成長率は7.09%を記録しています。
私が初めてベトナムを訪れた2000年代初頭と現在を比較すると、その変化は圧倒的です。ホーチミン市には高層ビルが林立し、地下鉄が開通し、若者たちがスマートフォンでデジタル決済を使いこなしています。ハノイでも同様で、この12年間だけでも街の景観は劇的に変わりました。
もちろん、環境問題や格差問題、汚職などの課題は存在します。しかし、1人当たりGDPが約4,300ドルまで向上し、中間層が急拡大している現実は、多くのベトナム人が政権の正統性を一定程度認める背景となっています。
事実3:日本との経済的相互依存は既に深い現実
第三に、日本とベトナムの経済関係は既に切っても切れない水準まで深化しているという現実があります。ベトナムは日本にとって第4位の投資先国であり、日本企業の進出数は約2,400社に達しています。
私自身もベトナムのIT企業で働いており、日本向けのオフショア開発事業に携わっています。この分野では、「政治体制への感情」よりも「ビジネス上の実用性」が重視されているのが現実です。優秀なエンジニア、コストパフォーマンス、時差の少なさなどが評価され、多くの日本企業がベトナムを重要なパートナーとして位置づけています。
また、投資面でも私のポートフォリオが示すように、ベトナム企業への投資を通じて日本人投資家も恩恵を受けています。感情的な「反共」姿勢を取りつつ、経済的にはベトナムの成長を享受するという矛盾は現実的ではありません。
現地在住者として感じること
12年間ベトナムで生活していて感じるのは、政治システムと日常生活、経済活動は相当程度分離されているということです。
確かに、表現の自由や政治的な権利については制約があります。しかし、経済活動の自由度は非常に高く、起業や投資、消費行動において市民は多くの選択肢を持っています。街中では活発な商業活動が展開され、若い世代は世界中の情報にアクセスし、国際的な感覚を身につけています。
ビジネス環境も、法治主義の浸透とともに改善が続いています。外国企業が直面する課題もありますが、透明性や予見可能性は年々向上しているというのが現地で働く実感です。
投資家としての視点
投資家として重要なのは、イデオロギー的な好き嫌いではなく、経済の実態と成長性です。ベトナム経済は構造的な成長要因(人口ボーナス、中間層拡大、産業高度化、インフラ整備など)を多数抱えており、政治システムの安定性も投資環境にとってはプラス要因として機能しています。
実際、私のポートフォリオは総資産9,153万円まで成長していますが、これは「ベトナム経済の成長性を評価している」結果です。
結論:感情と現実のバランス
ベトナム共産党に対する感情的な反応は理解できます。しかし、現実的な経済分析と将来性の判断においては、感情論を一度脇に置き、データと実体験に基づいた冷静な評価が必要です。
政治システムへの価値判断と経済的な現実認識は分けて考えることで、より建設的な日越関係の構築と、個人レベルでの投資機会の活用が可能になると考えています。
皆さんはこの問題についてどう思われますか?政治と経済の関係について、ぜひコメント欄や@viettechtaroのDMでご意見をお聞かせください。
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