ベトナムでEC経由の月餅販売がすごい事になってるらしい。【TikTokショップ活用事例】

こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。

中秋節の月餅商戦が終わり、興味深いデータが明らかになりました。オンライン販売で約2.9億円を売り上げた月餅市場ですが、そこから見えてくるベトナム消費者の実態と、投資家として注目すべきポイントをお伝えします。

目次

ECプラットフォーム別の明暗、TikTokショップが圧勝

今回発表された重要ポイントは以下の通りです。

8月24日から9月22日の1か月間で、ベトナムのEC大手4社は月餅だけで約80万個を販売し、売上高は517億VND(約2.9億円)に達しました。

プラットフォーム別の売上を見ると、TikTokショップが299億VND(約1.7億円)で圧倒的なトップ。2位のShopeeが205億VND(約1.2億円)、3位のLazadaが13億VND(約730万円)、そして4位のTikiはわずか3,460万VND(約20万円)という結果になりました。

この数字を見て、私は正直驚きました。TikTokショップとTikiの売上差が実に800倍以上もあるんです。同じECプラットフォームでありながら、ここまで差がつくとは。

ベトナムに住んでいると、この結果には納得できる部分があります。街を歩けば、若者はもちろん、おじさんおばさんまでTikTokを見ている光景が日常です。バイクタクシーのおっちゃんですら、待機中はTikTokをスクロールしていますからね。

低価格志向が鮮明に、200万VND以上は売れず

価格帯別の分析も非常に興味深い結果となりました。

最も売れたのは5万~10万VND(約280~565円)の価格帯で、売上高は155億VND(約8.8億円)。次いで10万~20万VND(約565~1,130円)が140億VND(約7.9億円)を記録しました。

驚くべきは、1万~5万VND(約56~280円)という超低価格帯が105億VND(約5.9億円)も売れたことです。この価格帯はTikTokショップだけで81億VND(約4.6億円)を売り上げています。

一方で、1個200万VND(約1万円)以上の高級月餅は1個も売れませんでした。ゼロです。

この現象、ベトナムの消費者心理を端的に表していると思います。「見栄を張るなら実店舗、自宅用ならオンラインで格安品」という使い分けが完全に定着しているんです。

先日、うちの会社のベトナム人スタッフに聞いたら、「月餅を贈るときは有名店で箱入りを買う。でも自分で食べる分はTikTokショップで安いのを探す」と言っていました。まさにその通りの結果が数字に表れています。

ブランド力が勝敗を分ける、Kinh Doが3割超のシェア

ブランド別ではKinh Do(キンド)が34.1%で首位、続いてLam Thuy(ラムトゥイ)が26.2%、Tan Dan Loi(タンザンロイ)が17.9%でした。

Kinh Doは1993年創業のベトナムを代表する菓子メーカーで、ホーチミン証券取引所に上場しています(証券コード:KDC)。月餅だけでなく、ビスケットや即席麺なども手がける総合食品企業です。

直近の業績を見ると、2024年第3四半期の売上高は2兆5,000億VND(前年同期比+8%)、営業利益は約300億VND(同+12%)と堅調に推移しています。PERは約15倍、PBRは1.8倍程度で、食品セクターとしては適正な水準です。

ただ、正直に言うと、Kinh Doは投資対象としては「安定しているが面白みに欠ける」というのが私の見方です。配当利回りも3%程度で特別高いわけではありません。

ベトナムEC市場から読み取る投資のヒント

今回の月餅商戦データから、投資家として押さえておくべきポイントは3つあります。

第一に、TikTokの圧倒的な影響力です。TikTokショップがわずか1か月で1.7億円を売り上げたという事実は、ソーシャルコマースがベトナムで急速に浸透していることを示しています。

第二に、低価格志向の強まりです。ベトナムは高成長を続けていますが、消費者の財布の紐は意外と固い。これは小売・消費財セクターへの投資判断において重要な視点になります。

第三に、ブランド力の重要性です。Kinh Doのように確立されたブランドは、オンライン販売でも強さを発揮します。新興ブランドがシェアを奪うのは容易ではありません。

個人的には、今回のデータを見てEC関連銘柄への投資意欲が少し冷めました。Tikiの惨敗ぶりを見ると、EC業界は勝者総取りの世界であり、2番手以下は厳しい戦いを強いられることが分かります。

むしろ注目すべきは、TikTokのようなプラットフォームを活用できる食品メーカーや消費財企業かもしれません。ただし、Kinh Doのような大手よりも、SNSマーケティングに長けた新興企業の方が成長余地は大きいと見ています。

ベトナム株への投資を考える際、こうした消費トレンドの変化を肌で感じられるのは、現地在住者の特権だと思っています。数字だけでは見えない、リアルな消費者の行動パターンが投資判断の大きなヒントになるんです。

いかがでしたでしょうか。今回の月餅市場分析について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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