米国籍ETFで新興国投資を考える:8つの選択肢を徹底検証

こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。

最近、X(旧Twitter)で「米国籍ETFを使った新興国投資」について質問をいただくことが増えてきました。新NISAの開始以降、海外ETFへの注目度が高まっているのを肌で感じています。

私自身、ベトナムに12年住んでいる立場から、現地の状況と投資商品の両面を見てきました。今回は、気になる米国籍ETFを8つピックアップして、それぞれの特徴とリスクを現地視点で解説していきます。

目次

注目の米国籍ETF、実際どうなのか

ベトナム株ETF「VNM」:現地在住者が見る投資価値

まず最初に取り上げたいのが、ベトナム株ETF「VNM」です。ベトナムに住んでいる私としては、当然ながら最も関心が高い銘柄になります。

VNMの構成銘柄を見ると、ビナミルク、ビングループ、ベトコムバンクといった、現地で誰もが知る大手企業が並んでいます。これらの企業は、ホーチミン市内を歩けば必ず目にする存在です。

ビナミルクの製品は、どのスーパーマーケットでも一番良い場所に陳列されていますし、ビングループが開発したビンホームズの高層マンションは、サイゴン川沿いにそびえ立つランドマークになっています。こうした現地での圧倒的な存在感を考えると、VNMへの投資は「ベトナム経済の成長に乗る」という意味で理にかなっていると感じます。

ただし、注意点もあります。ベトナム株市場は流動性がそれほど高くないため、VNM自体の出来高も限定的です。大きな金額を一度に投資すると、思ったような価格で約定しない可能性があります。この点は、米国株や日本株に慣れている投資家にとっては違和感があるかもしれません。

フィリピン株ETF「EPHE」:治水投資不正が影を落とす

フィリピン株ETFのEPHEについては、正直なところ慎重にならざるを得ない状況です。最近、大規模な治水プロジェクトをめぐる不正疑惑が報じられており、これが政治的な不安定要因になっています。

フィリピンは人口増加と英語圏という強みがありますが、インフラ投資の透明性に課題を抱えています。こうした不正は一度発覚すると、外国人投資家の信頼を大きく損なう要因になります。マルコス政権の対応次第では、さらなる混乱も予想されるため、今の時点でEPHEに新規投資するのはリスクが高いと考えています。

アセアン諸国の中では、フィリピンは経済成長のポテンシャルが高い国の一つですが、ガバナンスの問題が解決されるまでは様子見が賢明ではないでしょうか。

インドネシア株ETF「EIDO」:財政難がネックに

インドネシア株ETFのEIDOも、現時点では投資を控えたい銘柄の一つです。インドネシアは人口2.7億人を擁する巨大市場ですが、財政状況の悪化が懸念されています。

プラボウォ新政権が発足しましたが、前政権から引き継いだ財政赤字の問題は簡単には解決しません。新首都ヌサンタラへの遷都プロジェクトも、資金面で難航しているとの報道があります。

インドネシアは資源国でもあるため、商品価格の変動による影響を大きく受けます。原油価格や石炭価格が下落すると、財政がさらに悪化するリスクがあります。こうした構造的な問題を考えると、今はEIDOへの投資タイミングではないと判断しています。

ポーランド株ETF「EPOL」:EU内の隠れた高成長国

意外と注目されていないのが、ポーランド株ETFのEPOLです。ポーランドはEU加盟国の中でも高い経済成長率を維持しており、製造業の集積地として発展を続けています。

ウクライナ情勢の影響で地政学的リスクが意識されがちですが、逆に言えばNATO加盟国として安全保障の枠組みがしっかりしているとも言えます。ドイツをはじめとする西欧諸国からの投資も活発で、自動車産業や電子部品産業の拠点になっています。

EPOLは、新興国ETFの中では比較的安定性が高く、それでいて成長性も期待できるバランスの良い選択肢だと考えています。ただし、ユーロ圏の景気動向に左右されやすい点は留意が必要です。

アフリカ株ETF「AFK」:南アフリカ比率の高さが課題

アフリカ株ETFのAFKは、アフリカ大陸全体への投資を想定していますが、実際には南アフリカの比率が非常に高くなっています。これは流動性や時価総額の観点から、必然的にそうなってしまう構造です。

南アフリカは政治的な不安定さや電力不足の問題を抱えており、経済成長も停滞気味です。「アフリカ全体の成長に投資したい」と考えてAFKを買っても、実質的には南アフリカの課題をそのまま引き受けることになってしまいます。

アフリカには確かに将来性がありますが、投資対象として選ぶには時期尚早だと感じています。もう少しアフリカ各国の株式市場が成熟してから検討しても遅くはないでしょう。

国内籍商品で代替できる選択肢

インド株:国内籍投資信託が充実

インド株については、わざわざ米国籍ETFを選ぶ必要はありません。国内籍の投資信託が多数設定されており、新NISAの成長投資枠でも購入できます。

「iFreeNEXT インド株インデックス」や「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」など、低コストで優良なファンドが揃っています。これらは為替ヘッジなしで、インド株市場の成長を直接享受できる商品設計になっています。

インドは人口動態が非常に良好で、今後数十年は高成長が期待できる市場です。国内籍投資信託なら、確定申告の手間も省けますので、わざわざ米国籍ETFを選ぶ理由は少ないと思います。

台湾株ETF:国内籍で十分対応可能

台湾株についても、国内籍ETFで対応できます。「NEXT FUNDS 台湾株式指数連動型上場投信」など、東京証券取引所に上場している商品があります。

台湾はTSMCをはじめとする半導体産業が強く、世界経済における重要性が増しています。地政学リスクは確かにありますが、それを踏まえても投資価値は高いと考えています。

国内籍ETFなら、配当金の二重課税の問題もなく、シンプルに投資できます。米国籍を選ぶメリットは特にないでしょう。

米国株:国内籍投資信託が最適解

米国株についても、国内籍の投資信託が最も合理的な選択肢です。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」など、超低コストのファンドが充実しています。

これらのファンドは信託報酬が年率0.1%前後と非常に低く、米国籍ETFと比較しても遜色ありません。しかも、自動的に再投資されるため、複利効果を最大限に活かせます。

新NISAのつみたて投資枠でも購入できるため、長期的な資産形成には国内籍投資信託が最適だと断言できます。

米国籍ETFを選ぶべきケースとは

ここまで8つの選択肢を見てきましたが、正直なところ「米国籍ETFを積極的に選ぶべき理由」は限定的です。

米国籍ETFのメリットは、リアルタイムで取引できることや、成長投資枠を使わずに投資できる点です。しかし、デメリットとして確定申告の手間、為替手数料、配当金の二重課税などがあります。

私の個人的な見解としては、以下のケースに該当する場合のみ、米国籍ETFを検討する価値があると考えています。

「VNMでベトナム株にピンポイント投資したい」 「EPOLでポーランド株というニッチな市場に投資したい」 「どうしてもリアルタイム取引がしたい」

これらに当てはまらない場合は、素直に国内籍の投資信託やETFを選んだ方が、手間もコストも少なくて済みます。

ベトナム在住者としての本音

ベトナムに12年住んでいる立場から言えば、VNMは非常に魅力的な投資対象です。ベトナム経済の成長を肌で感じているだけに、この国の将来性に賭けたいという気持ちがあります。

ただし、VNMだけに集中投資するのはリスクが高いため、私自身はベトナム株を個別で保有しつつ、VNMも少額保有するという形でポートフォリオを組んでいます。

フィリピンやインドネシアについては、今後の政治情勢次第で投資判断を変える可能性があります。ポーランドは面白い選択肢ですが、まだ調査が必要だと感じています。

いかがでしたでしょうか。今回の米国籍ETFについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。

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【免責事項】 本記事の内容は、情報提供のみを目的としており、いかなる金融商品または仮想通貨への投資の推奨を意図するものではありません。ベトナム株式投資は価格の変動が大きく、リスクを伴う投資対象です。投資判断はご自身の責任に基づいて行ってください。本記事で提供される情報の正確性、完全性、または最新性については、最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。投資の際には、専門家への相談を推奨いたします。この記事は、法的、税務的、または財務的なアドバイスを提供するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者および当ウェブサイトは一切の責任を負いません。株式投資およびその関連商品に投資する際は、各国の規制および法律を確認し、法令を遵守することが重要です。

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