こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
今回は、ドラゴンキャピタルが運用する3つ目のベトナム株ETF「VN30 ETF(E1VFVN30)」の2025年8月レポートを詳しく解説します。これまでのVEILとVNダイアモンドETFに続き、このVN30 ETFはベトナムの大型株30銘柄に特化した特徴的なETFです。
【VN30 ETFとは】
VN30 ETFは、VN30トータルリターン指数に連動するETFで、ホーチミン証券取引所に上場するベトナム最大級の企業30社で構成されています。
指数の選定基準
- 流動性(取引のしやすさ)
- 浮動株比率(市場で実際に取引可能な株式の割合)
- 時価総額(企業規模)
注目すべきは、30銘柄中6銘柄(ファンドの23.2%)が外国人保有枠の90%以上を埋めている点です。VNダイアモンドETF(61.8%)と比較すると、外国人保有枠制限の影響は相対的に小さいと言えます。
【ファンド基本情報】
- 運用資産総額: 6兆3,148億VND(2億3,970万ドル)
- 1口あたりNAV: 32,821.2 VND(1.2ドル)
- ファンドコード: E1VFVN30
- 上場市場: ホーチミン証券取引所(HOSE)
- カストディアン銀行: スタンダードチャータード・ベトナム
- 運用報酬: 0.65%
- 経費率(TER): 0.83%
- トラッキングエラー: 0.34%
他のETFとのコスト比較
| ETF | 運用報酬 | 経費率(TER) | トラッキングエラー |
|---|---|---|---|
| VEIL | 非開示 | 非開示 | 非開示 |
| VNダイアモンド | 0.80% | 1.04% | 0.49% |
| VN30 | 0.65% | 0.83% | 0.34% |
VN30 ETFは3つのETFの中で最も低コストです。運用報酬0.65%、経費率0.83%、トラッキングエラー0.34%と、いずれも最も優れた数値を示しています。これは大型株30銘柄という比較的シンプルな構成によるものでしょう。
【8月のパフォーマンス】
驚異的な上昇率
2025年8月、VN30 ETFは月次で15.7%という素晴らしい上昇を記録しました。これは3つのETFの中で最も高いリターンです。
期間別リターン(VND建て):
- 1ヶ月: +15.7%(3つのETF中1位)
- 3ヶ月: +31.2%
- 年初来: +39.6%
- 12ヶ月: +41.3%
- 設定来: +228.2%
特に注目すべきは**年初来で39.6%、12ヶ月で41.3%**という驚異的なリターンです。これは、大型株が市場をリードしていることを明確に示しています。
3つのETFパフォーマンス比較
| 期間 | VEIL | VNダイアモンド | VN30 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 14.6% | 15.5% | 15.7% |
| 3ヶ月 | 31.1% | 25.9% | 31.2% |
| 年初来 | 26.6% | 20.0% | 39.6% |
| 12ヶ月 | 26.8% | 20.3% | 41.3% |
| 設定来 | 259.2% | 303.8% | 228.2% |
重要な発見:
- 短中期(1ヶ月~12ヶ月): VN30が圧倒的に優れたパフォーマンス
- 長期(設定来): VNダイアモンドが最も高いリターン(303.8%)
これは、2025年の市場環境が大型株に有利に働いていることを示しています。
ベンチマーク比較
| 期間 | E1VFVN30 | VN30 TRI | 差異 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | +15.7% | +15.6% | +0.1% |
| 3ヶ月 | +31.2% | +31.5% | -0.3% |
| 年初来 | +39.6% | +40.5% | -0.9% |
| 12ヶ月 | +41.3% | +42.5% | -1.2% |
| 設定来 | +228.2% | +252.1% | -23.9% |
短期的にはベンチマークをほぼ完璧に追跡していますが、設定来では23.9%下回っています。これは主に運用報酬や経費率の累積効果と考えられます。ただし、トラッキングエラーが0.34%と非常に小さいことから、ETFとしての運用品質は極めて高いと評価できます。
【セクター別構成比】
VN30 ETFのセクター別構成(2025年8月末時点):
- 銀行: 38.1%
- コングロマリット: 12.6%
- 現金及び現金同等物: 9.7%
- 鉄鋼・金属: 7.8%
- 不動産(住宅): 7.2%
- IT: 7.1%
- 小売: 5.8%
- 消費財: 3.9%
- 運輸: 2.7%
- 証券: 2.0%
- 化学: 1.5%
- エネルギー: 0.8%
3つのETFのセクター比較
| セクター | VEIL | VNダイアモンド | VN30 |
|---|---|---|---|
| 銀行 | 40.0% | 44.9% | 38.1% |
| 小売 | 7.6% | 22.4% | 5.8% |
| IT | – | 12.1% | 7.1% |
| 不動産 | 23.6% | 6.8% | 7.2% |
| 現金 | – | 0.5% | 9.7% |
VN30 ETFの特徴:
- 銀行セクター比率が3つの中で最も低い(38.1%)
- 現金比率が9.7%と高め(機動的な運用が可能)
- セクター分散が最もバランス良い
私の見解では、この**現金比率9.7%**は重要なポイントです。これは、ファンドマネージャーが市場の過熱感を意識し、次の調整局面での買い増しに備えている可能性を示唆しています。
【トップ10保有銘柄】
| 順位 | 銘柄 | セクター | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | ビングループ(VIC) | コングロマリット | 8.1% |
| 2 | ホアファット(HPG) | 鉄鋼・金属 | 7.8% |
| 3 | FPT | IT | 7.1% |
| 4 | モバイルワールド(MWG) | 小売 | 5.8% |
| 5 | ビンホームズ(VHM) | 不動産 | 5.3% |
| 6 | テクコムバンク(TCB) | 銀行 | 5.1% |
| 7 | VP銀行(VPB) | 銀行 | 5.1% |
| 8 | マサングループ(MSN) | コングロマリット | 4.5% |
| 9 | リエンビエットポスト銀行(LPB) | 銀行 | 4.3% |
| 10 | アジア商業銀行(ACB) | 銀行 | 4.1% |
銘柄構成の特徴
1. ビングループ(VIC)が最大保有銘柄 構成比8.1%で、ベトナム最大のコングロマリットです。不動産開発(ビンホームズ)、リゾート運営(ビンパール)、小売(ビンマート)、自動車製造(ビンファスト)など多角的に事業を展開しています。
2. ホアファット(HPG)が2位 ベトナム最大の鉄鋼メーカーで、建設ブームの恩恵を受けています。私がハノイ・ホーチミンで見る限り、至る所で建設工事が行われており、鉄鋼需要は旺盛です。
3. 銀行株が4銘柄ランクイン トップ10のうち4銘柄が銀行株で、合計で約18.6%を占めます。VNダイアモンドETF(37.4%)と比較すると、銀行セクターへの集中度は低めです。
他のETFとの保有銘柄比較
最大保有銘柄:
- VEIL: ビンホームズ(VHM) 7.8%
- VNダイアモンド: モバイルワールド(MWG) 14.4%
- VN30: ビングループ(VIC) 8.1%
VN30 ETFは、ベトナム経済全体を代表するコングロマリットを最大保有銘柄としている点が特徴的です。
【ポートフォリオ統計分析】
VN30 ETFとVN-Indexの比較:
| 指標 | E1VFVN30 | VN-Index | 優劣 |
|---|---|---|---|
| PER(株価収益率) | 15.1倍 | 15.2倍 | ほぼ同じ |
| PBR(株価純資産倍率) | 2.3倍 | 2.1倍 | やや割高 |
| 配当利回り | 1.6% | 1.5% | やや高い |
| ベータ値 | 0.9 | 1.0 | 低ボラティリティ |
| 標準偏差 | 22.0% | 20.5% | やや高い |
| シャープレシオ | 0.4 | 0.3 | 優れている |
3つのETFの統計比較
| 指標 | VEIL | VNダイアモンド | VN30 |
|---|---|---|---|
| PER | – | 14.2倍 | 15.1倍 |
| PBR | – | 2.2倍 | 2.3倍 |
| 配当利回り | – | 2.0% | 1.6% |
| ベータ値 | – | 1.1 | 0.9 |
| 標準偏差 | – | 21.6% | 22.0% |
| シャープレシオ | – | 0.4 | 0.4 |
重要な発見:
1. ベータ値0.9 = 低ボラティリティ VN30 ETFのベータ値0.9は、市場全体よりも値動きが穏やかであることを示します。これは大型株の安定性を反映しています。市場が1%上昇すると、VN30 ETFは約0.9%上昇する傾向があります。
2. バリュエーションは市場並み PER 15.1倍は市場平均15.2倍とほぼ同じで、VNダイアモンドETFの14.2倍よりはやや割高です。ただし、これは大型優良企業のプレミアムと考えられます。
3. 配当利回りは控えめ 1.6%という配当利回りは、VNダイアモンドETFの2.0%よりは低いものの、市場平均1.5%は上回っています。
4. リスク調整後リターンは優秀 シャープレシオ0.4は、VNダイアモンドETFと同じで、市場平均0.3を上回っています。これは、取ったリスクに見合った十分なリターンを得られていることを示します。
【8月の市場環境】
レポートから読み取れる市場環境は、先ほどのVNダイアモンドETFと同じ内容ですが、VN30の視点から改めて整理します:
大型株が市場をリード
株価指数の動き
- VN-Indexが繰り返し過去最高値を更新
- 一時1,700ポイントに接近
- 月末に利益確定売りが入るも、堅調を維持
VN30 ETFが15.7%上昇した理由
- 大型株への資金流入が加速
- 外国人投資家の売りを国内投資家が吸収
- 銀行、不動産、IT、鉄鋼など主要セクターが軒並み上昇
- 流動性が極めて高い水準を維持(1日平均19億ドル)
IPOラッシュの恩恵
テクコム証券(TCBS)のIPO
- 予想時価総額40億ドル超
- ベトナム最大の上場証券会社になる見込み
- VN30指数に組み入れられる可能性が高い
これは重要なポイントです。TDCBSがVN30指数に組み入れられれば、VN30 ETFは自動的にこの銘柄を購入することになり、さらなる上昇要因となります。
マクロ経済の追い風
公共投資の急増(前年同期比+34.5%) これは、建設、鉄鋼、セメントなどのセクターに直接的な恩恵をもたらします。VN30 ETFの2位保有銘柄であるホアファット(HPG)は、この恩恵を最も受ける企業の一つです。
信用成長の加速(年初来11.1%) 銀行セクター(VN30 ETFの38.1%)にとって追い風です。貸出が増えれば、銀行の利息収入が増加し、業績改善につながります。
貿易黒字の継続(8月37億ドル) 輸出企業が多いVN30構成銘柄にとってポジティブです。特にFPT、ホアファットなどの企業は、輸出の増加から直接的に恩恵を受けます。
【VN30 ETFの投資妙味】
メリット
1. 最も低いコスト構造
- 運用報酬0.65%(業界最低水準)
- 経費率0.83%(3つのETF中最低)
- トラッキングエラー0.34%(ベンチマークを高精度で追跡)
2. 大型優良株30銘柄への分散投資
- ベトナムを代表する企業に一括投資可能
- 個別株リスクを大幅に低減
- 流動性が高く、いつでも売買可能
3. 低ボラティリティ(ベータ値0.9)
- 市場全体よりも値動きが穏やか
- リスク許容度が低い投資家に適している
- 長期保有に向いている
4. 2025年の優れたパフォーマンス
- 年初来で39.6%の上昇
- 12ヶ月で41.3%の上昇
- 3つのETFの中で最高のリターン
5. バランスの取れたセクター配分
- 銀行38.1%、コングロマリット12.6%、現金9.7%
- 特定セクターへの過度な集中がない
- 現金比率が高く、機動的な運用が可能
デメリット
1. 設定来リターンは3番目
- 設定来228.2%(VNダイアモンド303.8%、VEIL 259.2%)
- 長期では他のETFに劣後
2. 配当利回りが最も低い
- 1.6%(VNダイアモンド2.0%、市場平均1.5%)
- インカムゲイン重視の投資家には不向き
3. 銘柄数が30に限定
- VEILのような広範な分散投資はできない
- 小型成長株への投資機会を逃す
4. 外国人保有枠制限の影響
- 30銘柄中6銘柄(23.2%)が保有枠の90%以上を埋めている
- 今後、外国人投資家の買いが制限される可能性
【投資戦略:3つのETFをどう使い分けるか】
ここで、ドラゴンキャピタルの3つのETFの使い分け戦略を提案します。
パターン1:シンプル戦略(初心者向け)
VN30 ETF 100%
- 最も低コスト
- 大型優良株に分散投資
- ベトナム株投資の入門に最適
パターン2:バランス戦略(中級者向け)
VN30 ETF 50% + VNダイアモンドETF 50%
- 大型株(VN30)と厳選中型株(ダイアモンド)のバランス
- セクター分散効果
- 配当利回りも確保(平均1.8%)
パターン3:積極戦略(上級者向け)
VEIL 40% + VNダイアモンドETF 40% + VN30 ETF 20%
- 最大限の分散効果
- あらゆる時価総額帯をカバー
- リバランスで相対的に割安なETFを買い増し
パターン4:コア・サテライト戦略(私の推奨)
コア: VN30 ETF 60%(安定した大型株で基盤を構築) サテライト1: VNダイアモンドETF 25%(厳選銘柄で高リターン狙い) サテライト2: VEIL 15%(市場全体の成長を捉える)
この戦略のメリット:
- 低コストのVN30をコアに据える
- 高配当のVNダイアモンドでインカムゲイン確保
- VEILで小型成長株へのエクスポージャーも確保
- 全体として最適なリスク・リターンバランス
【2025年残り4ヶ月の見通し】
ポジティブシナリオ(確率60%)
前提条件:
- 大型IPO(TCBS、VP Bank証券)が成功裏に実施
- 公共投資が引き続き加速(前年比+30%以上)
- 信用成長が年間15%に達する
- FTSE新興国市場への格上げが実現
予想される動き:
- VN-Indexが1,800ポイントを突破
- VN30 ETFが年末までにさらに10-15%上昇
- NAVが36,000-37,000 VND程度まで上昇
投資戦略:
- 調整局面での押し目買いを継続
- 特に現金比率が高いVN30 ETFは買いやすい
ニュートラルシナリオ(確率30%)
前提条件:
- 現状の成長トレンドが継続
- 大きな政策変更なし
- 外国人投資家の売り圧力が継続
予想される動き:
- VN-Indexが1,650-1,750ポイントのレンジで推移
- VN30 ETFは±5%程度のボックス圏
- 年末NAVは32,000-34,000 VND
投資戦略:
- 既存ポジションを維持
- 大きな調整(10%以上)があれば追加投資
ネガティブシナリオ(確率10%)
前提条件:
- グローバル景気後退の兆候
- 米中対立の激化
- ベトナム国内の政策混乱
- インフレ率が5%を超える
予想される動き:
- VN-Indexが1,400ポイント付近まで調整
- VN30 ETFが15-20%下落
- NAVが27,000-28,000 VND程度まで低下
投資戦略:
- 短期的にポジション縮小
- ただし、長期投資家は買い増しの好機と捉える
【現地在住者としての肌感覚】
ベトナム・ハノイに住んで12年になりますが、2025年8月の市場の盛り上がりは近年でも特に顕著でした。
街中で感じる変化
1. 株式投資の大衆化 カフェやレストランで、若者たちがスマホで株価チェックをしている光景が日常的になりました。特に20-30代の参加が目立ちます。
2. 不動産市場の活況 週末になると、新築コンドミニアムのショールームは家族連れで賑わっています。これは、ビングループ(VIC)やビンホームズ(VHM)などの不動産企業の好業績につながっています。
3. 消費の拡大 モバイルワールド(MWG)の店舗は常に混雑しており、ベトナム人の消費意欲の高さを実感します。特にスマートフォンや家電製品の売れ行きが好調です。
4. 建設ラッシュ 至る所でクレーンが稼働し、新しいビルが建設されています。これは、ホアファット(HPG)などの鉄鋼メーカーにとって追い風です。
5. IT人材の需要増 私の勤務先(IT企業)でも、採用が非常に活発です。FPTなどの大手IT企業も積極的に人材を採用しており、セクター全体の成長が実感できます。
これらの現地での観察は、VN30 ETFの構成銘柄の業績好調を裏付けるものです。数字だけでなく、実際の経済活動として株価上昇の背景を確認できることは、投資家として大きな安心材料です。
【リスク要因の再確認】
もちろん、楽観的な見方だけでなく、リスクも冷静に認識しておく必要があります:
短期的リスク(今後1-3ヶ月)
1. 急騰後の調整リスク(確率:高)
- 8月に15.7%も上昇した後、利益確定売りは自然な動き
- VN-Indexが1,700ポイントを超えると売り圧力が強まる傾向
- 10-15%程度の調整は健全な範囲
2. 外国人投資家の売り越し継続(確率:中)
- ビングループの大口取引など、まとまった売りが出る可能性
- ただし、国内投資家の買いが吸収する構図は継続見込み
3. IPOによる資金吸収(確率:中)
- TCBS、VP Bank証券などの大型IPOが株式市場から資金を吸収
- 一時的に既存銘柄への売り圧力となる可能性
中期的リスク(今後3-12ヶ月)
1. インフレ加速(確率:中)
- 現在3.2%のCPIが4-5%台に上昇する可能性
- 公共投資の急増や信用拡大がインフレ圧力に
- 中央銀行が利上げに転じるリスク
2. 為替リスク(確率:中)
- VNDが年初来で3.3%減価
- さらなる減価が続けば、外貨建て投資家にはマイナス
- ただし、輸出企業にはプラスに働く
3. 政策リスク(確率:低)
- 不動産市場の過熱を警戒した規制強化
- 銀行セクターへの貸出規制
- ただし、現政権は成長重視の姿勢
長期的リスク(今後1年以上)
1. グローバル景気後退(確率:低~中)
- 米国経済の減速がベトナムの輸出に影響
- 中国経済の停滞が波及
- ただし、ベトナムは内需も強く、影響は限定的
2. 地政学的リスク(確率:低)
- 米中対立の激化
- 南シナ海問題
- ただし、ベトナムは両国とバランス外交を展開
【具体的な投資アクション】
では、具体的にどう行動すべきか、投資家タイプ別に提案します。
新規投資家(まだVN30 ETFを保有していない)
推奨アクション:
- まず少額から開始(投資予定額の20-30%)
- 調整局面を待つ(VN-Indexが1,600以下、またはVN30 ETFのNAVが30,000以下)
- 段階的に買い増し(3-6ヶ月かけて目標額まで)
注意点:
- 一括投資は避ける(現在の水準は高値圏)
- 急落時に慌てて売らないメンタルの準備が必要
既存投資家(すでにVN30 ETFを保有している)
含み益が大きい場合(+30%以上)
推奨アクション:
- 部分利益確定を検討(保有額の20-30%)
- 残りは長期保有継続
- 利確資金は次の調整局面での買い戻しに備える
注意点:
- 全額売却は避ける(上昇トレンドが続く可能性)
- 税金を考慮に入れる
含み益が小さい場合(+10-30%)
推奨アクション:
- 基本的に継続保有
- 定期的な積立投資を継続
- 大きな調整(10%以上)があれば買い増し
注意点:
- 短期的な値動きに動揺しない
- 長期的な成長ストーリーを信じる
含み損の場合(-10%以下)
推奨アクション:
- 損切りはしない(ファンダメンタルズは健全)
- 平均取得単価を下げるナンピン買いを検討
- 投資期間を延ばす覚悟を持つ
注意点:
- ベトナム経済の長期成長トレンドは変わっていない
- 含み損は一時的な可能性が高い
- ただし、追加資金は生活に支障がない範囲で
長期FIRE目指し投資家(私のようなタイプ)
推奨アクション:
- コア・サテライト戦略を採用
- コア: VN30 ETF 60%
- サテライト: VNダイアモンド 25%、VEIL 15%
- 毎月定額の積立投資を継続
- 年1回のリバランス(各ETFの比率を調整)
- 配当金は再投資
目標設定例:
- 5年後: 総資産5,000万円
- 10年後: 総資産1億円
- 15年後: FIRE達成(資産1億5,000万円)
前提条件:
- 年間投資額: 300万円
- 期待リターン: 年率12%(配当込み)
- ベトナム経済成長率: 7-8%継続
【税金と確定申告】
ベトナム株ETFへの投資では、税金面の理解も重要です。
日本居住者の場合
譲渡益課税:
- 税率: 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
- 確定申告: 特定口座(源泉徴収あり)なら不要、一般口座なら必要
配当課税:
- ベトナムでの源泉徴収: 5%
- 日本での課税: 20.315%(ベトナムでの源泉税は外国税額控除の対象)
- 実質的な税負担: 約20%
ベトナム居住者の場合(私のケース)
譲渡益課税:
- 税率: 0.1%(売却額の0.1%、利益額ではない)
- 非常に低い税負担
配当課税:
- 税率: 5%
- 確定申告: 不要(源泉徴収で完結)
ベトナム居住のメリット: ベトナム居住者は、譲渡益課税が極めて低いため、頻繁に売買しても税負担が少ないというメリットがあります。これは、長期投資だけでなく、短中期のトレーディングにも有利です。
【VN30 ETFの購入方法】
ベトナム国内で購入する場合
手順:
- ベトナムの証券会社に口座開設
- HSC証券
- SSI証券
- VNDIRECT証券など
- ベトナムの銀行口座開設(資金送金用)
- 証券口座に資金を入金
- 取引アプリでE1VFVN30を購入
メリット:
- VND建てで投資可能(為替リスクなし)
- 取引手数料が安い(0.15-0.20%)
- リアルタイムの取引
デメリット:
- 口座開設にベトナム訪問が必要(一部証券会社)
- 言語の壁(ベトナム語または英語)
- 資金送金の手続きが複雑
日本から購入する場合
残念ながら、VN30 ETFは日本の証券会社では取り扱いがありません。
代替手段:
- ベトナム株式投信を購入
- 「キャピタル・ベトナム・ファンド」(三菱UFJ国際投信)
- 「ベトナム株式ファンド」(大和証券投資信託)
- ただし、信託報酬が1.5-2.0%と高い
- VEILをロンドン市場で購入
- 英国や米国の証券会社口座が必要
- Interactive Brokers、Saxo Bankなどで可能
- ベトナム訪問時に口座開設
- 旅行や出張のついでに口座開設
- オンラインで取引可能に
私の推奨は、ベトナム訪問時に現地で証券口座を開設することです。手続きは意外と簡単で、パスポートと住所証明があれば1-2時間で完了します。
【実際の投資例:シミュレーション】
具体的な投資シミュレーションを示します。
ケース1: 一括投資(100万円)
投資条件:
- 2024年9月初(NAV: 23,390 VND)に100万円を一括投資
- 為替レート: 1 VND = 0.006円
- 購入口数: 100万円 ÷ (23,390 × 0.006) = 約7,124口
2025年8月末の評価:
- NAV: 32,821.2 VND
- 評価額: 7,124口 × 32,821.2 × 0.006 = 約140万円
- 含み益: 40万円(+40.3%)
- 配当金: 約1.6万円(配当利回り1.6%)
1年間のトータルリターン: +41.9%
ケース2: 積立投資(毎月10万円×12ヶ月)
投資条件:
- 2024年9月から2025年8月まで毎月10万円を投資
- 各月の平均NAVで購入(ドルコスト平均法)
概算結果:
- 投資元本: 120万円
- 2025年8月末評価額: 約155万円
- 含み益: 35万円(+29.2%)
- 配当金: 約2.0万円
1年間のトータルリターン: +30.8%
ケース3: コア・サテライト戦略(300万円)
ポートフォリオ構成:
- VN30 ETF: 180万円(60%)
- VNダイアモンドETF: 75万円(25%)
- VEIL: 45万円(15%)
1年後の評価(概算):
- VN30: 180万円 → 255万円(+41.7%)
- VNダイアモンド: 75万円 → 90万円(+20.3%)
- VEIL: 45万円 → 57万円(+26.8%)
- 合計: 300万円 → 402万円
1年間のトータルリターン: +34.0%
所感: この3つのケースを見ると、2024年9月から2025年8月という期間は、ベトナム株投資にとって非常に良い時期だったことが分かります。特に一括投資が最も高いリターンを得ていますが、これは後知恵です。実際の投資では、タイミングを完璧に読むことは不可能なので、積立投資やコア・サテライト戦略でリスクを分散することが重要です。
【VN30 ETFへの投資:Q&A】
Q1: VN30 ETFは初心者に向いていますか?
A: はい、非常に向いています。理由は以下の通り:
- 30銘柄に分散投資できる
- 低コスト(運用報酬0.65%)
- 大型優良株のみで構成
- ベータ値0.9で比較的安定
ベトナム株投資の入門として最適なETFです。
Q2: VEILとVN30、どちらを選ぶべき?
A: 投資目的によります:
VN30を選ぶべき人:
- 低コストを重視
- 大型株の安定性を求める
- ベトナム国内で取引したい
VEILを選ぶべき人:
- より広範な分散を求める
- 小型成長株も含めたい
- ロンドン市場で取引したい
私の意見では、両方に分散投資するのがベストです。
Q3: 現在の水準(NAV 32,821 VND)は高値圏ですか?
A: はい、短期的には高値圏と言えます。
判断基準:
- 8月に15.7%も急騰した後
- 年初来で39.6%上昇
- PER 15.1倍は市場平均並み
推奨:
- 新規投資家は調整を待つか、少額から開始
- 既存投資家は部分利益確定も検討
- 長期投資家は気にせず積立継続
Q4: どれくらいの期間保有すべき?
A: 最低5年、できれば10年以上を推奨します。
理由:
- ベトナムのGDP成長率7-8%が継続見込み
- 企業の利益成長率も10%以上期待できる
- 短期的な変動を乗り越えられる
設定来228.2%のリターンは、長期保有の威力を示しています。
Q5: 為替リスクをどう考えるべき?
A: VNDは長期的には緩やかに減価する傾向があります。
対策:
- 株価上昇が為替減価を上回ることを期待
- 複数通貨に分散投資
- ベトナム居住なら為替リスクなし
過去のデータでは、株価上昇が為替減価を大きく上回っています。
Q6: 配当金はどうなりますか?
A: VN30 ETFの配当利回りは約1.6%です。
配当の扱い:
- ベトナムで5%源泉徴収後、投資家に支払い
- 日本居住者は外国税額控除を申請可能
- 再投資することで複利効果を最大化
配当よりも値上がり益を重視するETFです。
Q7: いくらから投資できますか?
A: 1口から購入可能です。
必要金額(2025年8月末時点):
- 1口: 32,821.2 VND(約197円)
- 実際には100口単位などでの取引が一般的
- 最低投資額: 約2万円程度から
少額から始められるのも魅力の一つです。
【最終判断:VN30 ETFの投資評価】
すべての分析を踏まえて、最終的な投資判断を示します。
総合評価: ★★★★☆(5段階中4)
高評価ポイント:
✓ 2025年の驚異的なパフォーマンス(年初来+39.6%)
✓ 3つのETF中最も低いコスト構造
✓ 大型優良株30銘柄への分散投資
✓ 低ボラティリティ(ベータ値0.9)
✓ ベトナム経済の高成長(GDP+7-8%)を享受
✓ 大型IPOラッシュという追い風
✓ トラッキングエラー0.34%という高い運用品質
懸念ポイント:
⚠ 短期的には高値圏(調整リスク)
⚠ 外国人投資家の継続的な売り越し
⚠ 配当利回りが低い(1.6%)
⚠ 為替リスク(VND減価)
⚠ 設定来リターンは他のETFに劣後
投資判断:【条件付きBUY(買い推奨)】
推奨する投資家:
✓ ベトナム株投資の初心者
✓ 低コストを重視する投資家
✓ 大型株の安定性を求める投資家
✓ 5年以上の長期投資ができる投資家
✓ ベトナム国内で取引できる投資家
推奨しない投資家:
✗ 短期的な利益を求める投資家
✗ 高配当を重視する投資家(配当利回り1.6%は低い)
✗ 小型成長株への投資を重視する投資家
✗ 為替リスクを極度に嫌う投資家
具体的な投資アクション(タイミング別)
今すぐ(2025年9月):
- 投資予定額の20-30%を購入
- 様子を見ながら段階的に
調整局面(NAV 30,000以下):
- 積極的に買い増し
- 投資予定額の50-70%まで
大幅調整(NAV 28,000以下):
- 残りの資金を全額投入
- 長期投資家には絶好の買い場
【まとめ:VN30 ETFの魅力と展望】
VN30 ETF(E1VFVN30)は、ベトナムを代表する大型優良企業30社に低コストで分散投資できる優れたETFです。
主要ポイントの再確認
- 2025年8月のパフォーマンス: 月次+15.7%、年初来+39.6%
- 最低コスト構造: 運用報酬0.65%、経費率0.83%
- 安定した値動き: ベータ値0.9で市場より穏やか
- バランスの取れた構成: 銀行38.1%、現金9.7%など
- 今後のカタリスト: 大型IPOラッシュ、FTSE格上げ期待
ベトナム経済の長期的な魅力
人口動態:
- 人口約1億人、平均年齢32歳(日本は49歳)
- 若い労働力と拡大する中間層
経済成長:
- GDP成長率7-8%が今後も継続見込み
- 製造業の拠点としての地位確立(チャイナ+1)
政治的安定:
- 共産党一党支配による政策の継続性
- 親ビジネスの姿勢
地理的優位性:
- ASEANの中心に位置
- 日本、中国、韓国など主要国との良好な関係
これらの要因が、VN30 ETFの構成企業の長期的な成長を支えています。
最後に:ベトナム株投資の醍醐味
私がベトナムに住んで12年、ベトナム株に投資して10年以上になりますが、この国の成長を目の当たりにしてきました。
2013年当時、ハノイの街並みは今とは全く違っていました。地下鉄はなく、高層ビルも少なく、外資系のカフェやレストランもまだ限られていました。
それが今では、地下鉄が開通し、次々と超高層ビルが建ち、世界中のブランドが進出し、若者たちはスマホで株式投資をしています。この変化のスピードは驚異的です。
そして、この成長はまだ始まったばかりです。ベトナムの1人当たりGDPは約4,500ドル。これが10年後には1万ドル、20年後には2万ドルに達する可能性があります。この過程で、VN30の構成企業も大きく成長するでしょう。
もちろん、リスクもあります。短期的な調整もあるでしょう。しかし、長期的な視点で見れば、ベトナム株投資、特にVN30 ETFのような大型優良株への投資は、極めて魅力的な選択肢だと確信しています。
いかがでしたでしょうか。今回のVN30 ETF分析について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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