こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
ハノイで生活していると、最近の株式市場の動きが街の雰囲気にも影響を与えているのを肌で感じます。先月までの熱気が少し落ち着き、投資家たちの間でも慎重な空気が漂っています。今回は、2025年9月のベトナム株式市場とアクティブファンドのパフォーマンスについて、現地在住者の視点で詳しく分析していきます。
9月の市場調整でファンド成績に明暗
2025年9月、VNインデックスは4か月連続の上昇から一転、前月末比1.22%下落の1661.7で終了しました。この調整局面で、多くのアクティブファンドがVNインデックスを下回るパフォーマンスとなり、プロの運用者でも市場の波を読むことの難しさが浮き彫りになりました。
調査対象となった26ファンドのうち、実に21ファンドの純資産価値が9月にマイナスとなり、下落幅が最大で約5%に達しました。特に大きな落ち込みを見せたのは、ビナキャピタルのVMEEFやVESAF、ドラゴンキャピタルのDCDE、そしてSSIAMのVLGFやNTPPFといったファンドです。
これらのファンドに共通していたのは、銀行株やバオベトグループ、ドゥックザン化学、カンディエン不動産といった大型株への高い配分比率でした。9月はこれらの銘柄が軒並み調整したため、ファンドのパフォーマンスを大きく押し下げる結果となったのです。
ハノイのオフィス街で同僚たちと話していても、「せっかく含み益が出ていたのに、9月で一気に吹き飛んだ」という声をよく聞きます。特に大型株に集中投資していた投資家ほど、今回の調整の影響を強く受けているようです。
一方で、明るい材料もありました。TVAMが運用するTVGF3とTVGF4は約2%上昇し、VCAMDF、MBVF、BMFFも小幅ながらプラスを確保しました。これらのファンドは銘柄分散やセクター配分のバランスが良かったことが、下落相場でも耐性を示した要因と考えられます。
年初来パフォーマンスでVN指数を上回ったのはわずか2ファンド
年初来の成績を見ると、さらに興味深い結果が見えてきます。VNインデックスが9月末までに31.2%という素晴らしい上昇を記録したのに対し、これを上回ったアクティブファンドはBVFEDの37.1%とDCDEの31.6%のわずか2ファンドのみでした。
この結果は、「プロが運用するアクティブファンドでも、市場平均を上回るのは容易ではない」という投資の基本原則を改めて示しています。特にベトナムのような新興国市場では、市場全体の成長が著しいため、個別銘柄選択よりも市場全体への投資の方が効率的な場合が多いのです。
年初来で好調だったファンドを見ると、TVGF3とTVGF4が約29%、Pyn Elite Fundが27.3%、VEILが22.6%、MBVFが26.3%といった成績でした。これらは決して悪い数字ではありませんが、VNインデックスの31.2%には及ばなかったわけです。
下位グループではNTPPF、VCBF-MGF、VDEFが9~10%の上昇にとどまり、VLGFやBVPFは約7%という成績でした。これらのファンドは運用戦略やタイミングの問題で、市場の上昇局面を十分に捉えきれなかったと言えるでしょう。
ハノイのカフェで投資仲間と話していると、「インデックスファンドで十分じゃないか」という声が増えているのを実感します。実際、私自身もポートフォリオの一部はVNインデックスに連動するファンドで運用しており、個別株選びとのバランスを取っています。
格上げ期待は依然として高い
市場が調整局面にある一方で、投資ファンドの運用者たちはベトナム株式市場の中長期的な見通しについて楽観的な姿勢を維持しています。特に注目されているのが、FTSEによる新興国市場への格上げの可能性です。
Pyn Elite Fundの運用者ペトリ・デリング氏は、年初8か月の輸出額が約15%増加し、貿易黒字が140億米ドル(約2.06兆円)に達したことを指摘し、ベトナムのマクロ経済基盤は極めて安定していると強調しました。
私もハノイで生活していて、この輸出の好調さを実感する場面が多々あります。ノイバイ空港近くの工業団地では、サムスンやLGといった韓国企業だけでなく、日本企業の工場も次々と拡張工事を進めており、生産活動の活発さが目に見えて分かります。
FTSEは10月、または遅くとも2026年3月までにベトナムを新興国市場に格上げする可能性があると見込んでいます。この格上げが実現すれば、グローバルな投資資金がベトナム市場に流入し、株価を大きく押し上げる可能性があります。
海外機関の予測によれば、2026年の市場予想PERは約11.8倍と割安水準にあり、GDP成長率が10%超と予想されていることや、大規模な公共投資計画も市場の追い風になるとされています。
ベトナム株投資で重要な3つのポイント
今回のファンド成績の分析から、ベトナム株投資において重要なポイントが3つ見えてきました。
第一に、「アクティブファンドでも市場平均を上回るのは難しい」という事実です。特に新興国市場では、市場全体の成長が著しいため、インデックス投資も有効な選択肢となります。個別株投資とインデックス投資のバランスを考えることが重要です。
第二に、「短期的な調整は避けられない」という点です。9月のような調整局面は、長期的な上昇トレンドの中で必ず訪れます。こうした局面で慌てて売却するのではなく、むしろ追加投資のチャンスと捉える冷静さが求められます。
第三に、「ファンダメンタルズの強さを見極める」ことです。ベトナムの輸出増加や貿易黒字の拡大といったマクロ経済の好調さは、短期的な株価変動を超えて、中長期的な投資価値を支える基盤となります。
ハノイのタイ湖エリアで外国人投資家と話していると、多くの人が「短期的な値動きよりも、ベトナム経済の成長ストーリーに投資している」と語っています。私自身も12年間のベトナム株投資経験から、この考え方の重要性を痛感しています。
今後の投資戦略
9月の市場調整を経て、今後の投資戦略をどう考えるべきでしょうか。
まず、格上げ期待を過度に織り込むのは避けるべきです。FTSEの決定は10月または2026年3月と予想されていますが、これはあくまで予想であり、確実なものではありません。格上げが実現すれば大きなプラス材料となりますが、それまでの期間も着実に企業業績の成長を享受できる銘柄を選ぶことが重要です。
次に、ポートフォリオの見直しを検討する時期かもしれません。9月に大きく下落したファンドの多くは、大型株への集中投資が裏目に出ました。分散投資の重要性を改めて認識し、セクター配分やファンドの運用方針を再確認することをおすすめします。
また、割安水準にある現在は、中長期的な視点で買い増しを検討する好機とも言えます。2026年の予想PER11.8倍という水準は、アジア新興国の中でも魅力的な投資機会を示しています。
いかがでしたでしょうか。今回のファンド成績分析について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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