こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
Xで参考にさせていただいている、ぴっぴっさんから「Vingroup鉄鋼生産会社ヴィンメタルを設立」の情報を聞き頂きました。情報ソースからニュースをまとめ考察してみます。
ベトナム最大の民間企業グループVingroupが、また新たな一手を打つようです。今度は鉄鋼業界への参入です。Vingroupの動きを見ていると、この企業の挑戦意欲には本当に驚かされます。
Vingroupが鉄鋼生産会社VinMetalを設立
2025年10月6日、Vingroup(証券コード:VIC)は、鉄鋼生産・販売を手がける新会社「VinMetal株式会社」の設立を発表しました。投資総額は10兆VND(約600億円)という大規模なもので、ハティン省ブンアンに年間生産能力約500万トンの鉄鋼生産複合施設を建設する計画です。
この発表を見たとき、正直「Vingroupはどこまで広げるつもりなんだろう」と思いました。不動産、小売、自動車、そして今度は鉄鋼。一見バラバラに見えるビジネスですが、実はこれらすべてが戦略的につながっているんです。
VinMetalが生産する鉄鋼製品
新会社が生産する主な製品ラインナップは以下の通りです。
建設用の一般民生用鉄鋼に加えて、熱間圧延鋼、高強度鋼、電気自動車生産や高速交通インフラ向けの特殊合金鋼に注力します。具体的には、高品質の鋼板や自動車ボディ用プレス鋼、国際基準を満たす鉄道レール、橋梁・港湾・鉄道構造用鋼などを生産する計画です。
これらの製品は輸入代替を目指し、段階的に地域への輸出も視野に入れています。Vingroupの副会長兼CEO、そしてVinMetalのCEOでもあるグエン・ヴィエット・クアン氏は「VinMetalは単なる鉄鋼工場ではなく、ベトナムの将来の近代的でグリーンかつ持続可能なインフラのための戦略的準備」だと語っています。
ハノイ郊外の工業団地を訪れると、サムスンやLGなど韓国企業の巨大工場が立ち並んでいます。ベトナムは製造業の一大拠点になっていますが、これまで高品質な鉄鋼材料は多くを輸入に頼っていました。VinMetalの設立は、この状況を変える可能性を秘めています。
Vingroupの戦略的意図
VinMetalの設立は、まずVingroupグループ内の中核事業である不動産開発を手がけるVinhomesや電気自動車生産のVinFastへの鉄鋼材料供給を目的としています。
さらに長期的には、現在研究・提案されている南北高速鉄道、ホーチミン市-カンゾー線、ハノイ-クアンニン線などの産業、エネルギー、交通プロジェクト向けの高品質鋼材供給の自主性を確保することを目指しています。
これは実に理にかなった戦略です。VinFastの電気自動車工場はハイフォンにありますが、高品質な鋼板を安定供給できれば、製造コストの削減と品質管理の両面でメリットがあります。Vinhomesの不動産開発でも同様です。
長期的には、国内市場でグリーンスチール生産のリーディングカンパニーとなることを目標に、炭素排出削減技術や再生可能エネルギー源からのエネルギー再利用を応用し、ベトナムの冶金産業ひいては重工業の発展を促進することに貢献する考えです。
Vingroupの5本柱戦略とVinMetalの位置づけ
VinMetalの設立は、Vingroupの5本柱戦略における新たなマイルストーンとなります。この5本柱とは、テクノロジー・産業、商業サービス、社会貢献、インフラ、グリーンエネルギーです。
産業・テクノロジー部門に属するVinMetalは、Vingroupが投資を拡大しているインフラ部門、特に高速鉄道、橋梁、港湾、物流プロジェクトを直接支援する基盤となります。
国内での鉄鋼生産を自主的に行うことで、大規模プロジェクトの材料供給を確保するだけでなく、ベトナム重工業の内生的能力を強化し、国家競争力の優位性を高め、世界地図上でのベトナムの地位向上に貢献することが期待されています。
ハノイのロッテセンターから街を見下ろすと、至る所で建設クレーンが稼働しています。ベトナムの建設ブームは今後も続くでしょう。そこで使われる鉄鋼をベトナム企業が供給できるようになれば、産業構造が大きく変わります。
ベトナム株投資家として注目すべきポイント
私がこのニュースで特に注目したのは以下の3点です。
まず、Vingroupの垂直統合戦略です。不動産から自動車、そして鉄鋼まで、サプライチェーンを自社で管理しようとする姿勢は、長期的な競争力の源泉になります。
次に、グリーンスチールへの言及です。世界的に脱炭素が進む中、環境配慮型の鉄鋼生産は将来の輸出市場でも優位性を持つでしょう。
そして、ベトナムの産業高度化です。これまで労働集約型の軽工業が中心だったベトナムが、重工業分野にも本格参入することで、一人当たりGDPの向上につながる可能性があります。
実際、ハノイ郊外のバックニン省やバクザン省には、すでに電子機器や自動車部品の工場が集積しています。そこに高品質な鉄鋼が加われば、製造業のエコシステムがさらに強化されるはずです。
ただし、懸念点もあります。鉄鋼業は装置産業で初期投資が巨大です。10兆VNDという投資額は、Vingroupの財務にどの程度の負担になるのか、注意深く見守る必要があります。また、国際的な鉄鋼市況の変動リスクや、中国の過剰生産能力との競争も無視できません。
今後の展開と投資判断
VinMetalの工場が稼働を始めるまでには、まだ時間がかかるでしょう。しかし、この動きはVingroupの長期ビジョンを理解する上で重要です。
Vingroup(VIC)の株価は、VinFast問題で一時期大きく下落しましたが、こうした新規事業への投資は、同社の成長ストーリーに新たな章を加えるものです。ベトナム株投資家として、Vingroupの動向からは目が離せません。
ちなみに、ハノイのタイ湖エリアのカフェで投資家仲間と話していると「Vingroupは何をやっても中途半端だ」という意見もよく聞きます。確かにVinFastは苦戦していますし、VinMartも一部撤退しました。しかし、失敗を恐れずに挑戦し続ける姿勢こそが、Vingroupの強みでもあるのです。
皆さんは、Vingroupの鉄鋼事業参入についてどう思われますか。投資対象として魅力的でしょうか、それともリスクが大きすぎると感じますか。
いかがでしたでしょうか。今回のVingroupの鉄鋼事業参入について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
この記事が参考になったら、ぜひXでシェアしていただけると嬉しいです。より多くの方にベトナム投資の魅力を伝えたいと思っています。
【メンバーシップのご案内】 より詳細な投資分析や、ポートフォリオの具体的な銘柄情報、現地からのリアルタイム情報をお求めの方は、ぜひメンバーシップへのご参加をご検討ください。 https://note.com/gonviet/membership
一緒にベトナム株でFIREを目指しましょう!
【免責事項】 本記事の内容は、情報提供のみを目的としており、いかなる金融商品または仮想通貨への投資の推奨を意図するものではありません。ベトナム株式投資は価格の変動が大きく、リスクを伴う投資対象です。投資判断はご自身の責任に基づいて行ってください。本記事で提供される情報の正確性、完全性、または最新性については、最大限の注意を払っていますが、保証するものではありません。投資の際には、専門家への相談を推奨いたします。この記事は、法的、税務的、または財務的なアドバイスを提供するものではありません。本記事の情報に基づいて行われた投資による損失や損害について、執筆者および当ウェブサイトは一切の責任を負いません。株式投資およびその関連商品に投資する際は、各国の規制および法律を確認し、法令を遵守することが重要です。
#ベトナム株 #投資 #アジア株 #FIRE












コメント