こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
ベトナムと日本、距離にして約3,300キロ。時差はたった2時間。でも、文化やビジネス環境は想像以上に違います。
僕がハノイに移住して12年。この間、ベトナムは驚くべき速度で発展し、日本企業のオフショア開発先として、また投資先としても注目を集めています。今回は、現地在住者だからこそ分かる、ベトナムと日本の本当の違いについて、体験談を交えながらお伝えします。
ベトナムの基本データ|若さとITが国を動かす
まず知っていただきたいのが、ベトナムの人口構成です。人口は1億人を突破し、なんと平均年齢は32歳。日本の平均年齢49歳と比べると、その若さは際立っています。
街を歩けば、活気に満ちた若者たちの姿が目に入ります。ハノイの中心部、ロッテセンター周辺のカフェには、ノートパソコンを開いて作業する20代、30代の姿が溢れています。
特筆すべきは、IT人材の輩出数です。日経XTECHの調査によると、ベトナムでは年間5万人以上のIT系卒業生が誕生しています。なぜこれほどまでにIT人材が豊富なのか。
理由は明確です。ベトナムではIT職が高給職なんです。
理系トップ大学の学生たちは、こぞってIT業界を目指します。つまり、国内の優秀な頭脳がIT分野に集中する構造ができあがっているわけです。これは日本とは大きく異なる点です。
位置関係について補足すると、ベトナムは東南アジアの中心に位置し、日本との時差はマイナス2時間。朝9時に日本でメールを送れば、ベトナムでは午前7時。この時差の少なさは、リアルタイムコミュニケーションを可能にし、ビジネス上の大きなメリットとなっています。
経済発展のリアル|この12年で見た変化
「12年前のハノイには、信号のない大通りがありました」
こう言うと、日本の方は驚かれます。でも、これは本当の話です。当時は交通ルールもあいまいで、バイクが我が物顔で走り回っていました。
今はどうか。主要な交差点にはしっかり信号が設置され、2024年にはハノイ初のメトロも開通しました。まだ小規模ですが、これは大きな一歩です。
ビルや住宅の建設ラッシュも凄まじいものがあります。僕が住むタイ湖エリアでも、毎年新しい高層マンションが建ち、街の風景が刻々と変わっていきます。
数字で見ると、ベトナム経済は過去10年間、年平均5〜6%の高成長を維持してきました。一人当たりGDPは約2倍に増加し、製造業が成長を牽引しています。輸出入も大幅に拡大し、特にサムスンやLGといった韓国企業、そして日系企業の進出が目立ちます。
ハノイ郊外のロンビエン工業団地に行けば、日本の製造業の名だたる企業の工場が立ち並んでいます。この光景を見るたび、ベトナムが世界のサプライチェーンにおいて重要な位置を占めていることを実感します。
物価の違い|日本の3分の1という現実
「ベトナムは物価が安い」とよく言われますが、具体的にどれくらい安いのか。
ハノイのローカル食堂でランチを食べると、1食200円から400円ほどです。フォー1杯が約250円、バインミーなら150円程度。一方、日本経済新聞の調査によると、東京でのランチ平均は1,250円。つまり、約3分の1の価格なんです。
食費以外も似たような比率です。タクシーの初乗りは約100円、映画のチケットは500円程度、ジムの月会費は3,000円から5,000円。全体的に見て、ベトナムの物価は日本の3分の1と考えていただければ、大きく外れません。
ただし、注意点があります。
現在進行中の円安と、ベトナムの年間インフレ率が5〜6%で推移していることです。僕がベトナムに来た12年前、1万円は約200万VND(ベトナムドン)に両替できました。今は170万VND前後。この物価差は今後徐々に縮まっていく可能性が高いです。
実際、ハノイの高級レストランやカフェの価格は、もはや日本とそれほど変わりません。ビンコム・メガモールのような大型ショッピングモールに入っているブランドショップの商品価格は、日本とほぼ同じか、むしろ高い場合もあります。
働き方と文化|勤勉さと時間の使い方
ベトナム人は勤勉で向学心が高い。これは12年間の実体験から、自信を持って言えます。
特に若い世代は、新しい技術やスキルを学ぶことに積極的です。僕が働くIT企業の同僚たちを見ていても、業務時間外に自主的にオンライン講座を受講したり、資格取得に励んだりする姿をよく目にします。
IT業界の平均年齢は26歳から28歳程度。エネルギッシュで吸収力の高い人材が豊富です。日本のIT業界では30代、40代がボリュームゾーンですから、この年齢構成の若さは大きな違いです。
ただし、日本と決定的に異なる点があります。それは残業に対する考え方です。
ベトナムでは、定時で帰ることが一般的です。日本のように「残業は当たり前」という文化はありません。プロジェクトの重要な局面では柔軟に対応してくれますが、それも事前のコミュニケーションとマネジメント次第です。
これは文化の違いとして理解しておく必要があります。日本側が「なぜ帰るんだ」と考えるのではなく、「定時で成果を出す働き方」を前提にプロジェクト設計をすることが求められます。
逆に言えば、無駄な残業を排除し、効率的な働き方を追求するきっかけにもなります。実際、僕自身もベトナムに来てから、働き方の効率性を考えるようになりました。
言語とコミュニケーション|英語が共通言語になる理由
ベトナムの公用語はベトナム語です。アルファベットを利用した言語で、文法構造は英語と同じです。
これが何を意味するか。ベトナム人は英語の読み書きが得意な人が多いということです。特に大学を出ている人であれば、英語でのビジネスコミュニケーションは問題なくこなせます。
僕が働くIT企業では、日本のクライアントとのやり取りは基本的に英語です。仕様書も英語、会議も英語。日本語を話せるベトナム人もいますが、技術的な詳細を議論する際は英語の方がスムーズなことが多いです。
これは日本企業にとって、実は大きなメリットです。日本語に翻訳するコストや時間を削減でき、グローバルスタンダードな開発体制を構築できます。
ただし、日本語が通じないことに不安を感じる方もいるでしょう。その場合は、ブリッジSE(日本語とベトナム語、英語を橋渡しする人材)を配置することで解決できます。多くのベトナムIT企業には、日本語が堪能なブリッジSEが在籍しています。
ビジネスマナーの違い|名刺よりZalo
日本では名刺交換がビジネスの基本ですよね。初対面の挨拶で、丁寧に名刺を差し出し、相手の名刺を両手で受け取る。
ベトナムでは、名刺を持たない人が多いんです。
代わりに使われるのが、Zaloという日本で言うLINEのようなメッセージアプリです。初対面でも、「Zaloで連絡先を交換しましょう」と、スマホのQRコードをスキャンし合います。あるいは電話番号を教え合うだけ、ということも珍しくありません。
最初は戸惑いましたが、これが意外と便利なんです。名刺は紛失することもありますし、後で整理する手間もかかります。Zaloなら、すぐにメッセージを送れますし、連絡先も確実に残ります。
会食文化については、ベトナム人はお酒が好きな人が多いです。ビジネスの場でも、ビールを飲みながら打ち解けるスタイルは日本と似ています。ただし、日本ほど「飲みニケーション」が重視されるわけではなく、あくまで選択肢の一つといった感じです。
そして、絶対に押さえておくべきが旧正月、いわゆる「テト」です。
テトはベトナム最大の行事で、毎年1月末から2月にかけて、約1週間から10日間の長期休暇となります。この時期はほとんどのビジネスが停止します。プロジェクトのスケジュール管理には、テトを考慮することが必須です。
日常生活と気候|ハノイには四季がある
「ベトナムは一年中暑い」と思っていませんか。実は、南北に長いベトナムは、地域によって気候が大きく異なります。
南部のホーチミンは確かに年間を通じて暑く、雨季と乾季があるだけです。しかし、僕が住む北部のハノイには四季があるんです。
春は過ごしやすく、夏は非常に暑く、秋は快適で、冬は意外と寒い。冬場は気温が10℃前後まで下がることもあり、ダウンジャケットが必要になります。湿度も高いので、体感温度はさらに低く感じます。
この気候の違いは、日本企業がベトナムに進出する際、意外と見落とされがちなポイントです。「常夏の国」というイメージで来ると、冬の寒さに驚くことになります。
食文化では、フォーやバインミー、生春巻きなど、日本でもお馴染みの料理があります。ただし、現地で食べるフォーの美味しさは格別です。ローカル食堂で朝食に食べるフォーは、僕のハノイ生活の楽しみの一つです。
交通事情については、バイク社会として知られています。確かに、街中を走るバイクの数は圧倒的です。しかし最近は、EVバイクやEV自動車の普及が進んでいます。環境意識の高まりと政府の支援策により、今後さらに増えていくでしょう。
また、メトロの整備も進み始めています。ハノイでは2024年に最初の路線が開通し、今後複数路線の建設が予定されています。インフラ面でも、ベトナムは着実に発展を続けています。
オフショア開発のメリット|コストと品質の両立
さて、ここまでベトナムと日本の違いを見てきましたが、最後にオフショア開発のメリットについて改めて整理します。
ベトナムは勤勉な国民性を持ち、宗教的な違いも日本とほとんどありません。仏教が主流で、儒教文化の影響も残っています。これにより、価値観や仕事に対する姿勢が日本と近く、非常に仕事がしやすい環境が整っています。
冒頭で触れたように、IT職は高給ですが、物価水準が日本の3分の1のため、エンジニアのコストは日本の約半分です。円安の影響はあるものの、依然としてコスト面でのメリットは大きいです。
品質についても、ベトナムのIT人材は優秀です。国際的なプログラミングコンテストでも上位に入賞する実績があり、技術力は折り紙つきです。若く吸収力の高い人材が多いため、最新技術へのキャッチアップも早いです。
つまり、ベトナム企業と協業することで、品質を保ちながらコスト最適化が図れるということです。
僕自身、ベトナムのIT企業でマーケティングを担当していますが、日本のクライアントから「想像以上に品質が高い」という声をよくいただきます。これは、ベトナムIT人材のポテンシャルを示していると思います。
ベトナム投資の可能性|経済成長の恩恵を受ける
ビジネスだけでなく、投資先としてもベトナムは魅力的です。
過去10年間の高成長は、今後も続くと予想されています。人口ボーナス、製造業の集積、インフラ整備の進展、中間層の拡大など、成長を支える要素が揃っています。
僕自身、ベトナム株に投資し、総資産9,153万円のうち大部分をベトナム関連資産が占めています。この12年間、ベトナム経済の成長を肌で感じながら、その恩恵を投資リターンとして享受してきました。
もちろん、新興国投資にはリスクもあります。政治リスク、為替リスク、流動性リスクなど、日本株にはない要素を考慮する必要があります。しかし、それらを理解した上で適切にポートフォリオを組めば、長期的には大きなリターンが期待できます。
ベトナム株については、僕のnoteメンバーシップで詳しい分析や銘柄情報を発信しています。現地在住者だからこそ得られる情報やインサイトを提供していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
まとめ|違いを理解し、チャンスに変える
ベトナムと日本、文化もビジネス環境も大きく異なります。しかし、その違いは決して障害ではなく、むしろチャンスです。
若く優秀なIT人材、コスト競争力、高い経済成長率、時差の少なさ。これらの要素は、日本企業にとって大きなメリットとなります。
重要なのは、違いを理解し、尊重し、それを前提にビジネスを設計することです。日本のやり方をそのまま持ち込むのではなく、ベトナムの文化や働き方を理解した上で、最適な協業体制を築くことが成功の鍵です。
僕自身、12年間のベトナム生活を通じて、この国の可能性を確信しています。ビジネスでも投資でも、ベトナムは今後さらに注目される存在になるでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナムと日本の違いについて、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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