こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
10月15日夜、ベトナムの主要企業から2025年第3四半期(Q3)の決算発表が相次ぎました。注目すべきは、ビンミンプラスチック(BMP)が四半期ベースで過去最高益を更新した一方、鉄鋼セクターのトンニャット・シート・スチール(TNS)が前年同期比91%の大幅減益となったこと。同じベトナム市場でも、業種によって明暗がくっきり分かれる結果となりました。
ハノイで生活していて肌で感じるのは、製造業の二極化です。プラスチック製品を扱う工場は相変わらず忙しそうですが、鉄鋼関連は明らかにトーンダウンしている。この決算数字は、まさにその現場感覚を裏付けるものでした。
今回発表されたQ3決算の注目ポイント
ビンミンプラスチック(BMP):四半期過去最高益を達成
2025年Q3業績
- 純収益:1兆5,320億VND(前年同期比+9%)
- 税引後利益:約3,510億VND(同+21%)←四半期ベースで過去最高
2025年1-9月累計業績
- 純収益:4兆2,240億VND(前年同期比+19%)
- 税引後利益:9,670億VND(同+27%)
ビンミンプラスチック(証券コード:BMP)は、プラスチック包装材や工業用プラスチック製品を製造するベトナム大手企業です。特に食品・飲料向けの包装材で高いシェアを持ち、近年は輸出市場の開拓にも積極的。今回のQ3決算では、売上の伸び(+9%)以上に利益率が改善し(+21%)、過去最高益を更新しました。
正直なところ、プラスチック製品って地味なビジネスに見えるじゃないですか。でも実は、ベトナムの経済成長と消費拡大に直結する「勝ちやすい構造」を持ってるんです。人口が増えて、中間層が拡大すれば、必然的に包装材の需要は増える。こういう構造を持ってる企業は強い。
VPバンク(VPB):金融セクターの優等生
2025年Q3業績
- 税引前利益:9兆1,660億VND(前年同期比+77%)
2025年1-9月累計業績
- 税引前利益:20兆3,960億VND(同+47%)
VPバンク(VPB)は、ベトナムの民間商業銀行大手。個人向けローンやクレジットカード事業で急成長を遂げています。第3四半期単独で前年比77%増という驚異的な利益成長を達成し、年初来でも47%増と高水準を維持。ベトナムの金融デジタル化の波に乗り、若年層の取り込みに成功している模様です。
ハノイの街を歩いていると、VPバンクのATMやデジタル広告をあちこちで見かけます。特に若者向けのマーケティングが上手で、スマホアプリの使い勝手も良い。この「現地での存在感」が、そのまま業績数字に表れているんです。
VPS証券:証券ブームは継続中
2025年Q3業績
- 税引前利益:1兆3,950億VND(前年同期比+70%)
2025年1-9月累計業績
- 税引前利益:3兆1,920億VND(同+52%)
VPS証券は、ベトナムの大手証券会社。2024年後半から続く個人投資家の株式市場参入ブームの恩恵を受け、Q3も前年比70%増の大幅増益。ベトナム株市場の取引高増加が直接業績に反映される構造です。
鉄鋼セクター:トンニャット・シート・スチール(TNS)は大苦戦
2025年Q3業績
- 税引前利益:13億VND(前年同期比▲91%)←ほぼ利益消失
2025年1-9月累計業績
- 税引前利益:170億VND(同▲48%)
トンニャット・シート・スチール(TNS)は、鋼板製造を主力とするベトナムの鉄鋼メーカー。しかし今回のQ3決算では、前年同期比91%という壊滅的な減益を記録しました。背景には、中国からの安価な鉄鋼製品の流入、建設需要の伸び悩み、原材料コストの上昇などが重なっています。
実は、これって想定内なんです。ベトナムの鉄鋼業界は2024年後半から厳しい状況が続いていて、現地のニュースでも頻繁に取り上げられています。ハノイ郊外の工業団地でも、鉄鋼関連工場の稼働率が落ちているのが見て取れます。
水力発電:ソンバ(SBA)は好調、SHP水力は伸び悩み
ソンバ水力発電(SBA)
- Q3税引前利益:前年同期比+91%
- 1-9月税引前利益:同+64%
SHP水力発電
- Q3税引前利益:前年同期比+2%
- 1-9月税引前利益:同+31%
同じ水力発電セクターでも、明暗が分かれました。ソンバ水力(SBA)は雨季の降水量が多かったことで発電量が大幅増加し、利益も91%増。一方、SHP水力は伸びが鈍化しています。
水力発電って、ベトナムでは季節による業績変動が大きいんです。雨季(5月~10月)にどれだけ発電できるかで年間業績が決まる。今年はソンバの発電エリアで雨が多かったんでしょうね。
イディコ・インフラストラクチャー(HTI):建設需要復活の兆し
2025年Q3業績
- 税引前利益:350億VND(前年同期比+76%)
2025年1-9月累計業績
- 税引前利益:1,550億VND(同+162%)
イディコ・インフラストラクチャー(HTI)は、道路・橋梁などのインフラ建設を手掛ける企業。今回の決算では、Q3で76%増、年初来では162%増という高成長を達成しました。ベトナム政府のインフラ投資予算執行が進んでいることが追い風になっています。
セクター別パフォーマンスまとめ
| セクター | 代表企業 | Q3業績 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| プラスチック製造 | BMP | +21% | 🔥好調 |
| 金融(銀行) | VPB | +77% | 🔥好調 |
| 金融(証券) | VPS | +70% | 🔥好調 |
| 鉄鋼 | TNS | ▲91% | ❄️苦戦 |
| 水力発電 | SBA | +91% | 🔥好調 |
| 水力発電 | SHP | +2% | 😐横ばい |
| インフラ建設 | HTI | +76% | 🔥好調 |
ハノイ在住者の視点:現地で感じる経済のリアル
正直言って、鉄鋼の苦戦は予想通りでした。ハノイ郊外のロンビエン工業団地あたりを車で通ると、鉄鋼関連の工場が明らかに静かなんです。一方で、プラスチック製品を扱う工場は24時間稼働してるところも多い。
もっと言うと、ハノイの街中ではVPバンクのデジタル広告があふれてます。若者がスマホでローンを組んだり、投資を始めたり。この「金融デジタル化」の波が、VPバンクやVPS証券の業績を押し上げてるんです。
タイ湖エリアのカフェで投資仲間と話してると、「証券口座を開設した」って人がこの1年で明らかに増えました。それがそのまま、VPS証券の+70%という数字に表れてる。数字って、現地の肌感覚と一致すると妙に納得するんですよね。
投資家として注目すべきポイント
1. ビンミンプラスチック(BMP)は「勝ちやすい構造」を持つ
プラスチック製造って、地味だけど強いんです。なぜか?
理由はシンプル:
- ベトナムの人口増加 → 消費財需要増 → 包装材需要増
- 中間層の拡大 → 食品・飲料消費増 → さらに包装材需要増
この「構造的に成長してしまう」ビジネスモデルが、BMPの強さ。しかも今回、売上+9%に対して利益+21%。利益率が改善してるってことは、コスト管理も上手くいってるってこと。
2. 金融セクター(VPB、VPS)は2025年後半も期待できる
ベトナムの個人投資家ブームはまだ続いてます。政府も資本市場の活性化を政策目標に掲げてるし、若年層の金融リテラシーも上がってきてる。
VPバンクのQ3利益+77%って、正直すごすぎる数字です。でも、現地の「銀行アプリで何でもできる」という便利さを体験すると、納得なんです。
3. 鉄鋼セクター(TNS)は当面厳しい
中国からの安価な鉄鋼流入、建設需要の伸び悩み、原材料高。この三重苦は簡単には解決しません。TNSのような鉄鋼株は、今は避けるべきセクターだと思います。
もちろん、長期的には「ベトナムのインフラ需要」というテーマは生きてますが、少なくとも2025年中はまだ厳しいでしょう。
4. 水力発電は「天候次第」というリスクを忘れずに
ソンバ水力(SBA)の+91%は素晴らしいですが、これって「雨が多かった」という要因が大きい。来年も同じ伸びが期待できるかは分かりません。
水力発電株は配当利回りが魅力的なことも多いですが、業績の変動リスクは常に意識しておくべきです。
まとめ:2025年Q3決算から見える投資戦略
今回の決算発表で明らかになったのは、「ベトナム経済の二極化」です。
勝ち組セクター:
- プラスチック製造(消費財関連)
- 金融(銀行・証券)
- インフラ建設
苦戦セクター:
- 鉄鋼
投資するなら、明らかに「勝ちやすい構造」を持つセクター・企業を選ぶべき。ビンミンプラスチック(BMP)やVPバンク(VPB)のような、現地で実際に成長が実感できる企業が狙い目です。
逆に、鉄鋼のように「中国の影響」や「政府の予算執行」という外部要因に左右されやすいセクターは、今は避けるのが賢明でしょう。
というかですね、投資で大事なのって「勝ちやすい戦場を選ぶ」ことなんです。PERが低いとか、配当利回りが高いとか、そういう数字も大事。でも、もっと大事なのは「その企業が構造的に成長してしまう環境にあるか」ってこと。
ビンミンプラスチックは、まさにその典型例。ベトナムの人口が増えて、消費が拡大すれば、勝手に売上が伸びる。そういう構造。
そういうことなんです。
いかがでしたでしょうか。今回のQ3決算速報について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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