こんにちは、ベトナム株投資アドバイザーのベトテク太郎です。
「ベトナムって人件費が安いんでしょ?」
12年前、僕がハノイに来た時、日本の友人によく言われた言葉です。確かに当時はそうでした。でも今、状況が大きく変わろうとしています。
ベトナム政府が先日発表した新しい科学技術人材政策を見て、正直ゾクッとしました。なぜか? 「これ、日本企業のベトナム戦略、根本から変わるんじゃないか?」って。
今回発表された内容で分かったのは、ベトナムが「人件費が安い国」から「優秀な人材に世界最高水準の報酬を払う国」へと大転換しようとしているということです。
ベトナム政府の新人材政策:その衝撃的な内容
科学技術・イノベーション法が国会で可決され、2025年から施行される新しい人材政策。その内容を見て、僕は何度も読み直しました。
給与上限なし。
これ、ベトナムで働いたことがある人なら、その衝撃度が分かるはずです。これまでベトナムの公的機関は給与体系がガチガチに決まっていて、どんなに優秀でも給与の天井が低かった。でも今回、科学技術分野の人材に限り、給与は交渉制で上限なしという方針が打ち出されたんです。
それだけじゃありません。
年間ボーナスは最大で6ヶ月分の給与。日本企業の平均が2〜3ヶ月分ですから、その倍です。さらに、優秀な人材を海外から呼び戻す場合、初期支援金として**国内からなら最大2億ドン(約200万円)、海外からなら最大5億ドン(約500万円)**を支給。
子どもの教育支援、健康管理パッケージ、住居支援、家族の就労支援まで。至れり尽くせり。
先日、ハノイのカフェで会った日系IT企業の人事担当者がこう言っていました。「ベトテク太郎さん、うちの会社、このままじゃベトナム人エンジニア、誰も残らないかもしれない」って。
そういうことなんです。
これ、日本企業にとって何を意味するのか?
実は、僕が気になってるのは人事政策だけじゃないんです。むしろこっちを伝えたくて書いてるような気がしますが、この政策、ベトナム株投資にも大きな影響があるんです。
なぜか?
ベトナム政府が優秀な人材に世界水準の報酬を払うということは、ベトナムのテック企業も同じことをしないと人材が流出するということです。つまり、これから数年で、ベトナムのテック企業の人件費は急上昇します。
「じゃあ、ベトナム企業の利益率が下がるんじゃないの?」
そう思いますよね。僕も最初はそう思いました。でも、待ってください。
ここから先が重要なんですが、人件費が上がる=高度な人材が集まる=イノベーションが加速する=付加価値の高いビジネスができる=利益率が向上する、という好循環が生まれる可能性があるんです。
実際、韓国やシンガポールがたどった道がまさにこれです。人件費が上がったけど、イノベーション力が上がって、結果的にGDPも企業価値も急上昇した。
ベトナム、今まさにその入り口に立ってます。
注目すべき3つのポイント
政府が特に力を入れているのが以下の分野です:
1. AI・半導体分野の人材
半導体設計、AI、ビッグデータなどの重点プロジェクトに関わる人材は、所得税が5年間免除されます。5年間ですよ? しかも、国際競争力のある給与体系、研究環境の提供、住居、交通手段の支援まで。
ハノイには現在、サムスンやLGなど韓国企業の大型工場がありますが、これからはベトナム企業が半導体設計やAI開発の拠点になる可能性があります。実際、FPTやVinGroupなどの大手がすでにAI研究センターを拡大中です。
2. 若手研究者への投資
若手科学者・エンジニアは研究主任やエンジニア主任のポジションに優先配置され、最大2段階の昇給スピードアップが可能。国際学会への参加費、論文発表費、知的財産保護費も100%支援されます。
これ、かなり大胆です。普通、こういう支援は「実績を出してから」なんですが、ベトナムは「まず環境を整えて、実績を出してもらう」というスタンス。
3. 外国人専門家の積極活用
外国人専門家やベトナム系外国人には、国際機関と同等以上の給与、住居提供、家族の教育・就労支援、国立研究所の無料利用など、徹底した優遇策を用意しています。
グエン・マン・フン科学技術大臣はこう言っています。「ベトナムは大きな課題を抱えている。国内の研究者だけでは20%しか対応できない。残り80%は国際協力に頼らざるを得ない。だからこそ、世界中の優秀な人材を呼び込む必要がある」
正直なところ、この発言、僕は好きです。変なプライドを捨てて、実利を取る。これができる国は強い。
日本企業への影響は?
ここで問題なのが、日本企業です。
僕が働いているLUVINA SOFTWAREのような日系オフショア開発企業は、これまで「コストメリット」を武器にしてきました。でも、ベトナムが世界水準の報酬を払い始めたら?
正直、日本企業の多くは対応できないんじゃないかと思います。
なぜか? 日本の給与体系は年功序列が基本で、「若手に高給を払う」という発想が弱いから。ベトナムの優秀な20代エンジニアが、年収1,000万円以上を提示されたら、日本企業の多くは出せない。
「でも、日本には技術力があるから」って言う人がいます。でもね、AI、半導体、量子コンピューティングみたいな最先端分野で、日本がベトナムより圧倒的に進んでるって言えます? 少なくとも5年後はどうなってるか分からない。
投資家として見るべきポイント
さて、投資家としてどう見るか。
短期的には: 人件費上昇で利益率が圧迫される企業が出てくる。特に労働集約型のビジネスモデルを持つ企業は要注意。
中長期的には: 高度人材が集まる企業、特にFPT、VinGroup、Viettel、MobiFoneなどのテック系大手は、イノベーション力が大幅に向上し、付加価値の高いビジネスへシフトできる可能性が高い。
僕自身、FPTの株を長期保有していますが、この政策は追い風だと見ています。FPTはすでにAI研究センターを持ち、グローバル展開も進めている。この政策で優秀な人材が集まれば、さらに成長が加速するはずです。
一方で、単純な製造業や労働集約型のビジネスは厳しくなる。ここは見極めが必要です。
ベトナムは「次のステージ」へ
ハノイの街を歩いていると、最近、若いベトナム人がスタートアップの話をしているのをよく耳にします。5年前には考えられなかった光景です。
「人件費が安い国」から「イノベーションを生み出す国」へ。ベトナムは確実に変わろうとしています。
日本企業は、この変化にどう対応するのか。正直、今のままじゃ厳しい。でも、逆に言えば、この変化を理解して先回りできる企業には大きなチャンスがあります。
投資家としても同じ。この変化を「リスク」と見るか、「チャンス」と見るか。その判断が、今後のリターンを大きく左右するはずです。
いかがでしたでしょうか。今回のベトナム政府の人材政策について、皆さんのご意見もぜひお聞かせください。コメント欄や@viettechtaroのDMでお待ちしています。
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